NVIDIA「GPU Technology Conference 2018」

【GTC 2018】NVIDIA、ワークステーションでリアルタイムレイトレーシングを実現するGPU「Quadro GV100」と「NVIDIA RTX Technology」

Tesla V100と同様のVoltaアーキテクチャを採用

2018年3月26日~29日(現地時間)開催

San Jose McEnery Convention Center

ワークステーションでリアルタイムレイトレーシングを実現するGPU「Quadro GV100」を発表する、NVIDIA ジェンスン・フアン CEO

 自動運転やAI(人工知能)向けの半導体&ソリューションメーカーであるNVIDIAは、3月26日~29日(現地時間、以下同)の4日間にわたり、米国 カリフォルニア州サンノゼ市の「San Jose McEnery Convention Center」において同社製品に関する技術カンファレンス「GPU Technology Conference 2018」(以下、GTC 2018)を開催している。

 2日目のハイライトとなるNVIDIA ジェンスン・フアン CEOの基調講演において、Tesla V100と同様のVoltaアーキテクチャを採用したワークステーション向けGPU「Quadro GV100」を発表した。このQuadro GV100は、同社のレイトレーシング技術「NVIDIA RTX Technology」と組み合わせることで映画品質のレイトレーシングをリアルタイムに生成することができ、デザインやグラフィックスに革命をもたらすとしている。

レイトレーシング技術について語るジェンスン・フアン CEO
NVIDIA RTX Technology

 NVIDIA RTX Technologyについては映画「スター・ウォーズ」のストームトルーパーの映像を用いて詳説。レイトレーシングによる環境光の映り込みなどがエレベーターの移動とともにリアルタイムに変化。また、銀色のストームトルーパーへは、メタリックならではの複雑な曲面への映り込み、影の生成なども見て取れる。ジェンスン・フアン CEOは、銃床など細部まで光と影が再現されている部分を強調していた。

NVIDIA RTX Technology
10億画像が毎年レンダリングされているという
リアルタイムレイトレーシングを実現するGPU「Quadro GV100」
Quadro GV100を高く掲げるジェンスン・フアン CEO
Quadro GV100
Quadro GV100

 これだけのリアルタイムレイトレーシング性能があれば、設計・検討に大きな変化をもたらしていくだろう。例えば自動車のデザイン検討などでは、ボディのラインにどのように周囲の景色が映り込むか、加飾部品へどのように投影されるかなどを、ひとつひとつワークステーションで検討しながら設計を進めている。また、その際も昼間の太陽光だけでなく、夜間の点光源の映り込みなど、微細な検討が行なわれている。その際にレイトレーシング技術によるグラフィックス描画を行なっているのだが、リアルタイムに画像&映像が生成できることで、設計・検討という製品開発サイクルにかかる時間を短縮できる。

 最終的には、試作車を作って実車および実環境光で検討ということになるのだろうが、そこに至るまでの時間、つまりコストを劇的に圧縮できるし、リアルタイムに生成されることで、アイデアの反映も容易になる。

 性能はFP64(倍精度演算)で7.4TFLOPS、FP32(単精度演算)で14.8TFLOPS、ディープラーニング性能は118.5TFLOPS。NVIDIA OptiX AI-denoiserを組み込んだNVIDIA RTX Technologyを使えば、リアルタイムかつノイズフリーなレイトレーシングができ、その性能はCPUより100倍速いという。

NVLink2によって2枚のQuadro GV100を接続した際の性能
ソフトウェアレイヤー

 また、NVLink2によって2枚のQuadro GV100を接続でき、その際は64GBメモリとして動作可能。NVIDIA OptiX API、マイクロソフトの新しい DirectX Raytracing API、グラフィックス標準であるVulkan(将来対応予定)を通して、NVIDIA RTX Technologyを利用できる。

 Quadro GV100は、nvidia.comですでに入手可能で、4月以降、Dell EMC、HP、Lenovo、富士通などの大手ワークステーション メーカー、日本ではエルザ ジャパンと菱洋エレクトロといった正規販売パートナーから入手できるようになる。

編集部:谷川 潔