【東京モーターショー2011
「86」用コンポーネントなどが展示されたサプライヤーブース

自動車業界のテーマは「安全・環境・接続性・新興国」

会期:11月30日~12月11日(一般公開日:12月3日~11日)
会場:東京ビッグサイト



 内外自動車メーカーによる新車やコンセプトカーが注目を集める東京モーターショーだが、そうしたメーカーの大規模なブースの周りには、トランスミッションやサスペンションをはじめとする各種コンポーネントのサプライヤーがブースを連ねている。

 これらは小規模ながら、現在、あるいはこれからの自動車に要求される技術や要件を知ることができ、大変興味深いものだ。

 ここではそんなサプライヤーのブースから、ピックアップしてお届けする。

左はコンチネンタル、右はボッシュ、いずれも独のサプライヤーがプレスカンファレンスで示した、現代の自動車業界における重要なテーマ。表現の違いはあるが、「安全」「環境」「外部との接続」といった要素は共通している。また、コンチネンタルは新興市場向けの安価なソリューションも、テーマにあげている
今回のサプライヤー・ブースで目立ったのがトヨタ「86」用のコンポーネント。左から豊田紡織のシート、ジェイテクトのトルセンLSD、アイシン・エーアイのMT
小糸製作所はレクサスの新型「GS」用ヘッドライトユニットを展示。ヘッドライト、ポジションランプ、赤外線投光器など、合わせて26のLEDが使われている
同じく小糸製作所が参考展示した「未来のランプ」。ヘッドライトやコーナーリングランプのほか、ルーフのランプが充電状態などを表す
デンソーの「アルペジオ」はスマートフォン(左列)のインターフェイスを車用にアレンジして車載ディスプレイに表示し、スマートフォンの中のコンテンツや、スマートフォンの機能を車内で利用できるようにする
やはりデンソーの眠気検知システム。ドライバーの顔の表情から、眠気のレベルを6段階で検知し、眠そうであれば冷風を顔に当てるなどの対策をするデンソーのホームエネルギーマネジメントシステム。EVやPHVのバッテリーを住宅用電源として使う
4ストロークエンジンだが、吸気と圧縮、燃焼と排気を別々のシリンダーに分け、4つの工程をクランクシャフト1回転で済ませるというアイデア。写真左のカットモデルは日本初公開で、左のシリンダーで吸気・圧縮された空気が、上部の緑色の通路を通って右のシリンダーに行き、燃焼・排気される
ボッシュの安全対策ソリューションボッシュのEV/HV向けソリューション。右はサムスンとの合弁会社「SBリモーティブ」のリチウムイオンバッテリー
ボッシュの「アクスル スプリット ハイブリッド システム」のデモ。前輪を内燃機関で、後輪をモーターで駆動する。台の上にいる人は、加速や回生を体感しつつ、このハイブリッドシステムの動作を学ぶことができる
独シュフラーの「ユニエア」はフィアットグループから「マルチエア」としてリリース。吸気バルブを油圧で制御することで、バルブリフトやタイミングを自在に変更できる独コンチネンタルが自動ブレーキ用センサーとして開発したステレオカメラコンチネンタルの24GHz近距離レーダー(右)と、より安価な近距離レーザーセンサー
コンチネンタルの「フリー プログラム メーター」。液晶ディスプレイにメーターの画像を表示する。コンフォート、エコ、スポーツの3つの走行モードに合わせてメーターパネルのデザインを変え、ナビゲーションやナイトビューなどの映像も表示できる
コンチネンタルの「アクセラレーター フォースフィードバック ペダル」。アクセルペダルから足に反力を伝えることで、ドライバーに警告したり、シフトアップポイントを伝えたりできる。あるいは、エコ走行時にはアクセルペダルを重くする、といった使い方もできる日産「リーフ」のサスペンションメンバーを展示したヨロズ。構造を最適化することで、軽量・低コストに仕上げた
エンジン内のフリクション低減に大きな役割を果たすピストンリングだが、ディーゼル用、エコカー用、直噴ターボ用、ハイブリッド用など、さまざまな製品がある。左は日本ピストンリングのラインアップ。右はリケンが製品化に成功した「DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)リング」。DLCの効果は大きいが、コストがやや上がるのが難点
NTNの高効率・後輪駆動車用ドライブシャフト。軽量コンパクトなうえ、トルク損失率を40%向上させたNTNは各種バイワイヤシステムを展示
NTNのステアバイワイヤ操舵システム。ステアリングホイールは電気的に操舵機構につながっているだけで、機械的にはつながっていない。操舵はすべてモーターが受け持つが、自動的にトー角を制御することで、人間が操舵するよりも操縦安定性と燃費が向上すると言う。バックアップ用の小型モーターも搭載する
ジャトコの2~3.5リッターFF車用CVT「CVT8」。日産が2012年から採用する次世代エクストロニックCVTと思われるCVT8をベースとしたハイブリッド用CVT「CVT8ハイブリッド」。1モーター2クラッチ方式を採用する。日産が2013年から採用するFF用ハイブリッドシステムと思われる。

(編集部:田中真一郎)
2011年 12月 3日