イベントレポート 東京オートサロン 2021

トムスコンプリートの「ハリアー」「GRヤリス」が公開された「TOM'S SALON 2021 スタジオライブ配信」レポート

Castrol TOM'S SUPRAのレストア終了報告と実車の披露も

2021年1月17日 配信

レストアされた「Castrol TOM'S SUPRA(1998年度全日本GT選手権参戦車両)」と2021年のTOM'Sレディという23年差のあるシーン

 トムスは1月17日、東京オートサロン2021に出展予定だった開発中のコンプリートカーをYouTubeライブにて公開した。同時に2020年より進めていた「Castrol TOM'S SUPRA(1998年度全日本GT選手権参戦車両)」のレストア終了報告と実車の披露も行なわれた。

 ライブ放送は静岡県御殿場市にあるトムスのデザインセンターから行なわれ、出演者はトムスの神山裕示氏、TOM'Sレポーターの黒須さおりさん、そしてTOM'Sレディの近藤みやびさん、木村理恵さんの4人。

 車両の紹介が主な目的の放送ということで堅めの進行かと思いきや、そこは東京オートサロン会場で行なわれたであろうステージを意識したような明るい雰囲気での進行となっていた。

2021年1月17日、トムスがYouTubeライブにて東京オートサロンで公開予定だったコンプリートカーと、修復していた「Castrol TOM'S SUPRA(1998年度全日本GT選手権参戦車両)」の作業報告と実車の披露を行なった
出演者。右からトムスの神山裕示氏、TOM'Sレディの木村理恵さん、近藤みやびさん、TOM'Sレポーターの黒須さおりさん
序盤は昨年の東京オートサロンの話題などを含めてフリートークに近いにぎやかな進行になった

2台のコンプリートカーを初お披露目

 トムスが東京オートサロン2021で公開予定だったコンプリートカーは2台。動画で最初に紹介されたのはトヨタ「ハリアー」だ。神山氏によるとハリアーは都会的でスポーティなSUVではあるが、そこにさらにトムスが考えるカッコよさを盛りこんだ仕上げになっているとのことだった。

 撮影が行なわれたデザインセンターには実車も用意され、神山氏が実車を使っての解説も行なった。ハリアーはボディ下部がSUVらしいタフさが感じられるブラックのプロテクターを付けているが、より都会的なイメージにするためボディ同色のリップスポイラーとサイドステップを装着しているのがポイントと言うことだ。また、フロントはグリルにメッシュ風カバーを装着し、バンパーサイドにはガーニッシュを追加したデザインとなっている。

 トムスコンプリートのハリアーは、2月20日より全国のトヨタ車販売店で発売開始される予定という。また、パーツ単体でも購入可能でトヨタ車販売店はもちろん、トムス製品を扱うカーショップでも購入が可能だ。

トムスはハリアーに対して、より都会派SUVのイメージを与えるカスタマイズを行なった
ブラックのプロテクター部分を覆うフロントリップスポイラーとサイドステップを装着。材質は純正エアロパーツでも使用されるABS樹脂製となっている
フロントまわりはバンパー左右にフロントバンパーガーニッシュが追加される。フロントグリルはメッシュ風カバーを装着する
ホイールは20インチへとインチアップ。コンプリートカーおよびパーツ発売は2月20日を予定している。情報はトムスのホームページやSNSで随時公開していくとのこと

 続いて紹介されたのはトヨタ「GRヤリス」のコンプリートカーだ。このクルマの開発には2021年度のWRCにフル参戦するラリードライバー「勝田貴元選手」が関わっていると言うことから、勝田選手もリモート配信で登場した。

 勝田選手は2012年~2013年にトムスから全日本F3に参戦していたという経歴があり、その後、活動の舞台をラリーへと変え、2018年のWRC2にて日本人初の優勝を果たし、2020年後半からは、TOYOTA GAZOO Racingでトヨタ「ヤリスWRC」をドライブ。そして2021年はトヨタ・ヤリスWRCでWRCにフル参戦する。それに加えて勝田選手はプライベートカーとしてGRヤリスを購入。こうした経緯からトムスはGRヤリスのコンプリートカー製作に勝田選手のアドバイスを取り入れることにしたという。

TOYOTA GAZOO RacingからWRCにフル参戦するラリードライバーの勝田貴元選手。滞在中のヘルシンキからモンテカルロラリー参戦のため、モナコへ向けて出発する1時間前というタイミングでの登場
試作段階のトムスコンプリートカー。プレシャスブラックパールのGRヤリス

 収録現場に用意されたのはプレシャスブラックパールのGRヤリス。すでにトムス製パーツは装着されているが、こちらは現在も勝田選手のアドバイスを元に開発中とのことで市販バージョンでは形状や仕様が異なることもあるようだ。

 今回の配信では序盤にハンディカメラに機材トラブルが起きた都合で車両の詳細が映せない状況になっていたが、それでも勝田選手は配信映像を見ながら車両の紹介。そのコメントによると勝田選手がこだわったのは、リアフェンダー形状をヤリスWRCイメージにしている点。次に挙げたのはマフラー。オーバルテールのセンター出しにしているところだという。なお、勝田選手はこのオーバルテールを視聴者に分かりやすく説明した際、例えを「USB Type-Cのようなカタチ」と表現していた。

 神山氏は「勝田選手の提案とトムスの基本的な考えがあう部分もあったし、トムスが普段はやらないようなことの提案もありました。それが今回、合体できたことが収穫です」と語った。また、気になる発売時期については「パワーアップなども盛りこんだ上で夏を目標に」と明かした。

ヤリスWRCのフロントバンパーに付いているフィンをイメージした造形を取り入れている。また、エアダクトの数も増やしているという。これらも勝田選手からの要望とのことだ
リアウイングのサイドにはカナードの造形が盛りこまれている。これもほかにはないデザインだが、勝田選手によるとGRヤリスはリアが軽いので空力で抑えることが有効とのこと
USB Type-Cのようなカタチと表現されたオーバルテール。センター出しであることを含めて勝田選手が強くこだわった部分。神山氏によるとこのデザインを製品化するには予算を含めて大変だったとのこと
ホイールはレイズのボルクレーシングG025を履く。ブレーキキャリパー、パッド、ローターなどはエンドレス製を装着している
シートはレカロをチョイス。ドアの内張はラック製のカーボン仕様になっていた

レストアが完了した「Castrol TOM'S SUPRA」が登場

 コンプリートカー紹介のあとに登場したのは、レストアが完了した「Castrol TOM'S SUPRA」だ。このCastrol TOM'S SUPRAという名称のクルマはSUPER GTの前身である全日本GT選手権にて1995年から2000年まで走っていて、今回レストアしたのは1998年モデルと紹介された。ちなみに当時のドライバーは、関谷正徳選手とノルベルト・フォンタナ選手。

 このマシンは2020年に倉庫に保管されていたのが分かり、そこからクラウドファンディングを募ってレストアプロジェクトが開始されたもの。レストア作業には当時のメカニックも加わり、徹底的な作業が行なわれたという。

 その甲斐あって内外装、足まわりなど非常にキレイに仕上がったのだが、当時に使用していたトヨタ3S-Gエンジンのレース版エンジンに関しては、20年以上の時間が経っているだけに程度のいいモノがまだも見つかっておらず。そのため本来は「走行させたい」とのことだがまだ不可能。ただ、エンジンは探しているので完成した際は走行シーンを披露するとのことだった。

 以上が「TOM'S SALON 2021 スタジオライブ配信」の主な内容だ。この配信や「Castrol TOM'S SUPRA」のレストアに関する映像はトムスの「TOM'S RACINGの公式YouTubeチャンネル」にアップされているので、ぜひ映像で見ていただきたい。

レストアが完了した「1998年モデルのCastrol TOM'S SUPRA」
当時のTVゲーム「グランツーリスモ」のオープニング動画にこのCastrol TOM'S SUPRAが出ていたことで、アメリカから取材が来たことがあったという
レストア作業中の風景。この頃のGT500マシンは市販車ベースなのでモノコックはカーボンではなく市販車のものを使っていた
1998年モデルは左のヘッドライト部分にエアインテークがあった。こうした点はモデルごとに違っているという
バンパー横のダクトはラジエターを通過した風を抜くためのもの
ドライバーのふたり。関谷氏とフォンタナ氏
ホイールはレイズ製の2ピースホイール。ブレーキはブレンボ製。ローターはカーボンではなく鋳鉄
ウイングも今と比べるとシンプル。また、カーボンを使っている部分が少ないとのこと。フェンダー後端にはタイヤハウス内の風を抜くアウトレットが設けてある
コクピット内はまだ作業途中。スイッチ類やメーター、ステアリングまわりが現代のGTマシンとはかなり違っていてシンプルだ
放送は約1時間。「Castrol TOM'S SUPRA」の動画をもっと見たい人は、TOM'S RACINGの公式YouTubeチャンネルをご覧いただきたい
カストロールトムススープラ復元!TOM'S SALON 2021スタジオライブ配信(1時間12分54秒)

深田昌之