イベントレポート 東京オートサロン 2022

トムス、レーシングチーム由来の技術を注ぎ込んだ3台のコンプリートカーを展示

2022年1月14日~16日 開催

TOYOTA GAZOO Racingブースの前に位置するTOM’Sブース

 2020年に開催された前回の東京オートサロンでは「トムス SUPRA」「トムス CENTURY」の2台のコンプリートカーを発表して注目を浴びたトムス(TOM'S)。今回の東京オートサロン2022では新型「GR86」をはじめ、新たな方向性で仕立てた「GRスープラ」、絶版車となりより希少性の上がっているレクサス「GS F」の3台のコンプリートカーを用意した。

 トムスはSUPER GTやスーパーフォーミュラなど、トップカテゴリーをはじめとする多くのレースで勝利を挙げてきた国内有数のレーシングチームとして名を馳せている。だが、近年ではコンプリートカーやエアロパーツ、機能パーツなどのリリースを積極的に行なっている。ほとんどのトムスパーツはトヨタの販売店で購入することができ、そのデザイン性や機能性の高さから、レースチームとしての存在を知らないユーザーからの指名買いもあるという。

「トムス GR86 TURBO」

クルマを楽しむというコンセプトで製作された「トムス GR86 TURBO」。レーシングチームのノウハウを注ぎ込み、制動や操舵で楽しめる仕様だという

「トムス GR86 TURBO」と名付けられたコンプリートカーは、純正グレードの最上位に位置するようなイメージで仕立てたという1台。ターボ仕様にしているものの、最高出力は300PS、最大トルクは350Nmとやみくもに出力を上げず、扱いやすさと速さを両立。

 外観はディフューザー形状のフロント、サイド、リアにトランクリッドスポイラー、オーバーフェンダーを装備。スポーツサスペンションキットにより車高を下げていることも相まって、GR86のスポーティさが極まっている。

オリジナルバンパー
サイドスカート
オーバーフェンダーは純正比(片側)でフロントが33mm、リアが44mmワイド化される
前後のブレーキキットとスポーツサスペンションキットの機能パーツに加えて、メンバーブレースなどの補強パーツもセットされている

 機能パーツとしてはスポーツサスペンションキットやフロントとリアのブレーキキット、4本出しのエキゾーストシステムなどがセットされている。コンプリートカーとして想定しているのは3つのタイプで、①RZグレードがベースで、ターボキットやオーバーフェンダーを除くエアロパーツを装備したモデルが488万3000円~。②SZグレードがベースで、オーバーフェンダーを含めたエアロパーツにスポーツサスペンション、ブレーキキットなどを装備したノンターボ仕様が592万円8000円~。③SZグレードがベースで、オーバーフェンダーにターボといった現状のトムスパーツをほぼセットしたモデルが680万7000円~、となっている。

 2月中旬に受注を開始し、デリバリーは夏ごろを予定しているという。また、エアロパーツや機能パーツはパーツ単体での販売も行なうそうで、すでに個々の価格はWebページで公開されている。

エンジンはターボ化され専用の制御を施す。最高出力は300PSで、最大トルクは350Nm
レスポンスのいいターボチャージャーを装着
トムスのコンプリートカーを象徴する4本出しのエキゾーストシステム。テールピースはスポーティな焼き色が入る

「TOM'S SUPRA TOURER」

 スープラのコンプリートカーは2020年に発売した「トムス SUPRA」が最高峰モデルとなっているが、今回発表した「トムス SUPRA TOURER」はその名の通りで“快適な移動”を追い求めたアーバンツアラーとなっている。トムス SUPRAの最高出力が460PSだったのに対してトムス SUPRA TOURERはやや控えめの420PS仕様。40PSのデチューンとなるが純正よりは80PS引き上げていて、十分過ぎる動力性能となっている。足まわりはKWの車高調がセットされていて、補強パーツを見直すことでより快適な乗り味となっているそうだ。

「トムス SUPRA TOURER」はトムス SUPRAと同じくオーバーフェンダー仕様で仕上げているが、リアウイングは装備せず、あえて純正然とした見た目にしたという

 外観はオーバーフェンダーやディフューザー形状のフロント、サイド、リアがトムス SUPRAと同意匠となるが、アーバンツアーらしくウイングレス仕様となっている。価格は1166万円~(予価)という。

フロント、リアともにオーバーフェンダー化し全幅を拡張
カーボンディフューザーとの相性もいいトムス バレル・エキゾーストシステムを装備
ホイールサイズはフロントが20×9.5J、リアが20×10.5J。ブレーキはブレンボGTSブレーキキットが装備される

「トムス GS F produced by Kazuki Nakajima」

 3台目のコンプリートカーは、2021年シーズンでレーシングドライバーを引退した中嶋一貴氏がプロデュースする「トムス GS F produced by Kazuki Nakajima」だ。本人は数台のGS Fを乗り継ぐほどの特別な思いを持っているといい、エクステリアはカーボン製のフロント、サイド、リアディフューザーがセットされ、GS Fのスポーティさと上質さを引き上げている。

トムス GS F produced by Kazuki Nakajima

 このボディパーツはルックスだけでなく地上高やアプローチアングルを考慮した作りとなっているそうだ。また、フロア下はフラットボトム化されていて、ボディ下部からダウンフォースを発揮するような形状を取り入れている。排気系は専用のエキゾーストシステムをセットしファインチューニングにより最高出力は500PSをマークする。レクサス GS Fはすでに販売を終了しているので、トムスが厳選した中古車がベースとなり、価格はベース車両にもよるが832万7000円~(予価)となっている。

中嶋一貴がプロデュースした「TOM’S GS F produced by Kazuki Nakajima」。外装はフロント、サイド、リアの3か所にディフューザー形状のボディパーツをセット。エキゾーストシステムはTOM’Sバレルで、リアピースはステンレス製の4本出しとなる
メンバーブレース、ロアボディブレースなどの補強パーツによってカッチリしたハンドリングとしなやかなサスペンションの動きを実現する
真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。