イベントレポート 東京オートサロン 2023

au、ブレインテックをモータースポーツに応用した最新の取り組みをデモ

2023年1月13日〜15日 開催

会場となった株式会社アイロックのブース、auの直販サイト「au PAY マーケット」でも販売されているドライブシミュレーター「DRiVe-X」が展示されている

 auブランドの携帯電話事業を展開しているKDDIは、1月13日から幕張メッセで開催されている東京オートサロンに出展し、同社がパートナーと実証実験を行なっている「ブレインテック」の最新の取り組みに関してデモを実施した。

 同社が行なっているブレインテックは脳波の動きなどを検知しドライバーのトレーニングに応用する取り組みで、ドライバーの認知能力の向上につながることなどが実証実験から証明されている。今回auは、auの通販サイトでも販売しているドライビングシミュレーター「DRiVe-X」を開発・製造しているアイロックのブースで説明やデモを行なった。

au/KDDIがパートナーと実証実験しているブレインテック、新しくiOSのアプリ版が登場してデモが行なわれる

VIE STYLEの脳波測定器

 KDDIは「au」ブランドの携帯電話事業を行なう通信事業者で、携帯電話メーカーからOEM供給を受けてauブランドでスマートフォンを販売するなどの事業を展開している。そうした事業の延長線上で、将来の通信を利用したさまざまな研究開発や製品開発を行なっている。例えば、直近ではメガネ型ARデバイスとなるNreal Air、Nreal LightなどのARグラスを導入するなど、スマートフォンだけでなく、新しいユーザー体験を提供するべく常に研究開発を行なっている。

 そうしたauが研究開発の一環として、VIE STYLE、アイロックなどのパートナー企業と行なっている研究が「ブレインテック」だ。簡単に言うと、脳波の動きを機器で読み取って、それを活用して脳をトレーニングしていこうというものだ。初めて聞いた人には、正直「うさんくさい」というイメージを持つ人も少ないだろう。しかし、実際のデモなどを見ると、そうした懸念は吹き飛んでしまうぐらい真面目な取り組みだ。

このように首と耳にセンサーを装着する。それによって脳波の動きを数値化して計測できる

 auが行なっている実証実験は、VIE STYLE社が開発している脳波を計測するデバイスを利用して計測する。これは首と耳に入れるイヤホンのような部分にセンサーが内蔵されており、脳の動きを検出していくという仕組みになっている。以前auが行なっていたデモではPCで開発した暫定的なソフトウエアがベースになっていたのだが、今回のデモではiPad上で動いているiOS Appsに切り替わっており、より容易に体験することが可能になっていた。

新しいiOS用のアプリ。標準状態を計測して、使える状態になると青く表示される
最初は50あたりからスタートして、90~100を目指せと言われるが、どう目指したらいいのかはさっぱり不明
真剣にやっている様子、80になった

 手順としてはまずセンサーをつけた状態で標準状態を計測し、そこから何かを念じたりすることで、90~100点を目指して計測する(説明員の方によれば、これをしたから100点になるなどはないそうだ)。そうしてトレーニングした状態で、ゲームコントローラを操作して、画面の三角形を走らせることにチャレンジするという手順になっている。

脳トレーニング後、この長方形のコースやどこかで見たことがあるコースを、走らせろと言われるが操作系が慣れなくて四苦八苦。筆者はさらにトレーニングが必要なようだ。レーシングドライバーはすぐにすいすい走らせることができたそう……さすがだ……

 auはこのトレーニングを、eモータースポーツや実際のレースを走っているドライバーにやってもらい、効果があることを確認しているという。VIE STYLEのこのデバイスも将来的には市販できるように開発を続けていると言うことなので、将来はiPadとVIE STYLEのデバイスで脳の活性化を行なうなどのトライができるようになる可能性があり将来性に期待したいところだ。

DRiVe-X
笠原一輝