イベントレポート 東京オートサロン 2023
オートバックス、「GR86」ベースのARTAカスタムカー第2弾「ヴィゲイル」 日本刀のような究極の“超光沢シルバー”で塗装
2023年1月13日 17:38
- 2023年1月13日~15日 開催
オートバックスセブンが「東京オートサロン2023」(会期:1月13日~15日)で展開するブースは、レーシングスポーツブランドをコンセプトに掲げる「ARTA」、ガレージライフスタイルブランドとして2017年に販売を開始した「GORDON MILLER」、「AUTOBACS GROUPE」の3つ。中でも注目は2022年に発表したカスタマイズブランド「ARTA MECHANICS(エーアールティーエー メカニクス)が手がけたトヨタ自動車「GR86」ベースのカスタマイズモデル第2弾「VIGALE(ヴィゲイル)」だ。
初公開されたヴィゲイルは、20年以上レースに関わってきたARTAならではのエッセンスをベースとなる市販モデルに注入したもの。マーケティング戦略部 PR統括の宇留間裕実氏によると、「今回発表したヴィゲイルは、加速やブレーキングといったレスポンスの良いクルマで走る楽しみを広げるべく制作されたカスタムコンプリートカーです。ヴィゲイルの『VI』は勝利を意味するVICTORYから、それに続く『GALE』は疾風を意味し、それを掛け合わせたのが車名となっています」とのこと。
ボディカラーは、開発1号機である本田技研工業「NSX」ベースの「LEGAVELO(リガヴェロ)」がマットブラックであったのに対して、GR86ベースの2号機は究極の“超光沢シルバー”で塗装されている。通常シルバーというと、汚れが目立たない無難な色、というイメージがある。色そのものが光を反射するため、見る角度や光の加減によってのっぺりした印象になることが多いからだ。しかしヴィゲイルのシルバーは全くそれとは異なる、本物の金属のような輝きを放っているのだ。
聞くと、通常のボディカラーはベースカラーやクリアなどを含めて3~4層というのが当たり前なのに対して、8層もの塗料が重ねられているという。その行程は、豊富な経験と類稀な技術を持った職人の手作業で行なわれており、1層塗装するたびに鏡面レベルの磨きをかけ、凹凸のない塗装膜を塗り重ねるというもの。その結果、鏡のような輝きと奥行きが生まれ、それはまるで曇りなく輝く「日本刀」のようなシャープでエッジなイメージを醸し出している。
「比較的手に入れやすい価格のため台数の多い86の中にあって誰も見たことがない、オールハンドメイドインジャパンらしい本物の価値を持つ、しかも保安基準やメーカー保証の規定をも満たす安心安全なクルマとしての答えが、今回の塗装になった理由です」と宇留間氏。ブース内での存在感も抜群で、そこだけ別の空気が漂っているような雰囲気だ。
さらにインテリアも特別で、特に滞在時間の長い室内空間で重要なシートは、レースやカスタムカーに欠かせない高品質なものを開発・製造する老舗メーカー「BRIDE」とのコラボで制作されたものを採用。ボディシェルはモノコック構造で、軽さと強さを両立したアラミド繊維を主な材料として使用している。複雑な3D構造への張り合わせや接着剤の管理、FRPの貼り込み、バリ取りと塗装、それに被せる表皮の切り分けの意匠線とその縫い合わせなど、全てが職人による手作業で行なわれている。さらにシンプルなシートレールも熟練の職人による溶接作業で1つひとつ手作りで製造される。
価格は車両価格のほか、FRPやグラスファイバーを使用したボディパーツが256万円、タイヤやバケットシートなどオプション代が162万1900円、完成まで1年かかるという塗装代が346万5000円。ベース車両自体がトヨタのグローバルスポーツブランド「GR」によるメーカー純正のフルカスタマイズカーであっただけに、そこに“TOUGH & HIGH RESPONSE”というARTA MECHANICHSのコンセプトを注入してリフィニッシュする作業は、メーカーの保証規定が厳しかったこともあってなかなかハードルが高かったようだ。ゆったり走っても楽しく、見た目も上品なでき栄えで、ターゲットはスポーツ走行に興味を持つ若手経営者など。フルカスタムカーの販売だけでなく、パーツ単位の販売も予定されているとのことだ。
2022年に発表した第1弾のリガヴェロも併せて展示されており、宇留間氏によると第3弾も国産モデルをベースにしたいとのこと。グループ全体が国産モデルをリスペクトしているのがその理由なのだそうだ。