イベントレポート 東京オートサロン 2023
水素エンジン&バッテリEV仕様の「AE86」を披露したトヨタ発表会、「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラルの道がある!」と豊田章男社長
2023年1月14日 08:10
- 2023年1月13日~15日 開催
TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は幕張メッセ(千葉県千葉市)において開催中の「東京オートサロン2023」にブース(東ホール8)を出展、ワールドプレミアとなるモデルをはじめ多くのクルマを展示している。
初日となった1月13日にはプレスカンファレンスを実施。トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏、GAZOO Racing Company プレジデント 佐藤恒治氏が登壇し、ファンに向けてメッセージを送った。
最初に登壇した豊田氏は「2023年の日本はクルマ好きの想いを世界に発信していくチャンスの年」だと前置きし、「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラルの道がある!」「クルマ好きを誰ひとり置いていきたくない!」とのテーマを掲げ、これは「オートサロンからはじまりG7にもつながっていると思う」と壮大な道を示した。
その想いをカタチにしたモノとして2台のAE86(レビン&トレノ)紹介した。トレノはもともと搭載されているエンジン「4A-GEU」を水素対応としたモデルで、一方のレビンはエンジンを降ろしバッテリEV(BEV)としたモデルとなる。レビンについては「半世紀前にできた車名ですが、実はEVの2文字が隠れておりました(L“EV”IN)」と述べるとともに、「50年がかりでようやくバッテリとモーターを搭載したわけでございます。 もともとの4A-Gも宝物ですから、大切に下ろさせていただきました」とコメント。さらにBEVながらマニュアルミッションはそのまま残っており、クラッチ操作やシフト操作が楽しめるとアピール。「カーボンニュートラルの時代でも愛車に乗り続けたい」というオーナーたちに送るトヨタのチャレンジであると述べた。
こうしたコンバージョンを手掛けるのは、2050年のゼロカーボン化にはBEVへの乗り換えだけでは到達不可能であり、使用過程にあるクルマにも選択肢を残していくことが大切であると強調。「86をコンバージョンした技術はまだまだこれからですが、本日こんなお話をさせていただくことで、クルマ好きたちが『カーボンニュートラルで大好きなクルマに乗れなくなっちゃう』と寂しく思うのではなく、クルマ好きだからこそやれるカーボンニュートラルがあるんだと未来にワクワクしていただけたなら、今年、世界に向けて大きなメッセージが発信できるのではないでしょうか。MORIZOもワクワクしてまいりました。クルマ好きの皆さん。 皆さんのおひとり、おひとりがカーボンニュートラルに向けたチーフエンジニアです。一緒に未来を作りましょう!」と締めくくった。
続いて登壇した佐藤氏は「WRCの知見を活かした特別なモデル」として、GRヤリス「オジェバージョン」「ロバンペラバージョン」を紹介。ドライバーズタイトル獲得を記念して2人の好みやこだわりを随所に盛り込みながら一緒に作りこんだモデルとなっており、成約したオーナーには共に戦うパートナーとしてWRCの競技車両にその証を掲載することや、特別な体験の提供を予定していると述べた。
最後に「トヨタはMORIZOさんを中心として皆さまと同じようにクルマが大好きだから、クルマの楽しさや喜びを未来に残し守りたい。そのために意志ある挑戦と行動を持って全力で取り組んでいきたい」と締めくくった。
カーボンニュートラル化された2台の86(ハチロク)
令和の時代にAE86のコンセプトカーがステージに並び、なんともミスマッチな雰囲気を感じてしまうが、この2台は水素エンジン&BEVと最新トレンドとなるカーボンニュートラル対応モデル。ここではざっくりとした紹介にとどめるが、「水素エンジンハチロクと電気じどう車ハチロク、トヨタが2台のAE86をカーボンニュートラル化 エンジン音のある水素と6速MT搭載BEVの楽しさを提案」で詳しい内容がレポートされている。興味がある方はそちらをご覧いただきたい。
AE86 BEV Concept(レビン)
こちらはもともとのパワートレーンを下ろし、バッテリやモーターを搭載してBEVとしたモデル。バッテリは「プリウスPHV(旧型)」、モーターは海外向けピックアップトラック「タンドラ」、そしてBEVなのに「GR86」のトランスミッションを搭載している。なお、その際、ボディへの加工を最小限に抑えたため、エンジン車に戻すことも可能だという。
パフォーマンスに関してはバッテリを搭載しつつ車両重量を1030kgに抑え、重量配分も前510kg:後520kgと適正化。モーターならではの190Nmのトルクを活かしてドリフトも楽しめる仕上がりとなっている。ただ、航続距離に関しては車両重量を優先したため20~30kmほどだという。
楽しさという点ではスピーカーからエンジン音を流す試みも行なわれているとのこと。エンジン回転の上下やギヤチェンジにも対応しており、「何も知らずに乗ったらガソリン車だと思うのでは?」(担当エンジニア)というほどだとか。
GRヤリス
GRヤリス RZをベースに“High-performance”の装備に加え、内外装をそれぞれのドライバーが自分好みに監修。パフォーマンス面ではエンジンのトルクアップのほか、4WD制御が専用となっている。なお、装備の詳細や発売時期は「今後公開予定」とのこと。