イベントレポート 東京オートサロン 2026
ボンネットフードもトランクフードもない丸見えのダイハツ「K-OPENランニングプロト2」について、WRCドライバー相原泰祐氏に聞いた
「オールダイハツ」体制でモタスポ起点のクルマづくりを推進中
2026年1月10日 16:16
- 2026年1月9日~11日 開催
東京オートサロン2026が1月9日~11日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されている。
北ホールにブースを出展しているダイハツ工業は、通路沿いの目立つ位置に「K-OPEN ランニングプロト2」を展示。ボンネットフードもトランクフードもなく、普段は簡単には見えないエンジンもリアのサスペンションの取り付け部分も丸見えで、多くの人が車両を取り囲んでいた。
このK-OPEN ランニングプロト2について、WRCラリージャパンの参戦ドライバーである DAIHATSU GAZOO Racingの相原泰祐氏に話を聞いた。
──なぜK-OPEN ランニングプロト2は内部が見えるようになっているのでしょうか。
相原氏:2025年10月末に開催されたジャパンモビリティショーに「K-OPEN」を初出展してから、わずか2か月でまた新たに1台を作り上げました。なぜそれが可能だったかと言えば、ダイハツ工業の“シサクブ”や、エンジン、ボデー、ユニット、シャシーといったさまざまな技術部署のメンバーが集まり、協力してくれたからです。やっと「オールダイハツ」の体制が整いました。
ただ、クルマの完成度としては、時間切れでボンネットもトランクも間に合いませんでした。当初は展示自体を諦める話もありましたが、クルマ好きの皆さまのご意見を伺える貴重な場であるため、どうせ開けるボンネットやトランクはいらない! 不要である! そう割り切って、出展に至りました。
──初代K-OPEN ランニングプロトからの変更点を教えてください。
相原氏:エンジンのレイアウトは、これまでと同様にフロントミッドシップで、駆動方式はFRを採用しています。今回は、エンジンをこれまでより中央に寄せました。エンジンは前回同様の直列3気筒ですが、スラントして搭載することで機械損失を低減して、さらにフロントミッドシップ化することで通常は交換しにくくなるスパークプラグを替えやすくしました。タービンもアフターパーツのものと交換できるように、手の届きやすい場所に配置しています。また、これまでよりエンジンを中央に搭載したかったので、ホイールベースを55mm延長しました。横から見ていただくとつないでいる部分が分かるかと思います。
安全・安心が大事なので、車内にはしっかりとしたフットレストを設けて、適切なドライビングポジションを確保しています。低く座ってフロアを上げて、自然に遠くが見渡せるポジションを目指しました。その視界を確保するために、ボンネットとインパネの高さを下げ、周囲を見やすくしています。これによりAピラーを寝かせられるようになり、結果としてルーフが小さくなり、屋根が畳みやすくなるという合理的な設計になっています。
リアサスペンションはストラット式独立懸架に変更して、取り付け位置が高くなりました。この高さはこれが正解かどうかはまだわかっていません。独立懸架にした理由は、ストローク量を増やしたかったこともありますが、整備性も考慮した結果となります。もしヒットしてしまった場合でも、ストラット式であればアライメント調整がしやすくなります。気持ちのいいクルマで笑顔になっていただき、その笑顔を長続きさせたい。そのため、プラグ交換とアライメント調整をしやすくして、維持費を安くできるよう、より実戦を見据えた仕様としています。
──K-OPENランニングプロトの開発の位置付けはどのようなものなのでしょうか。
私たちは皆さまを笑顔にしたい、クルマ好きの方を笑顔にしたいと考えています。そのためには購入できる価格でなければ意味がありません。ですので、コストをかける部分とかけない部分を明確にしたいと考えています。皆さんが買える販売価格にするために、流用できる部分は流用し、専用で起こすべき部分は専用にするというクルマづくりを徹底しています。
K-OPENランニングプロト2の後方の小さいモニターではラリージャパンやイベントの映像を流しています。これはまさに「モータースポーツ起点のいいクルマづくり」の現場だからです。車両後方にはリアサスペンションを見やすくするために鏡を置いています。実はこのサスアームを製作したのは、モニターに映っているコペンWRCのラリージャパン出場車両のアームを作ったメンバーです。一から作ったアームが昨年(2025年)のラリージャパンで壊れてしまうという、技術者として稀有な、そして悔しい経験をしたメンバーが、このK-OPENのアームを作っています。
ドライバーとして乗っていた私も、一緒に悔しい思いをしました。しかし、そのアームを採用しようと決めたのは私であり、その私がこのK-OPENランニングプロトの企画開発を行なうことで、同じ思いを共有したクルマ作りができています。このように、オールダイハツでモータースポーツ起点のクルマづくりができるようになってきたことで、マインドが伝染し、ダイハツ全体がモータースポーツ起点の「もっといいクルマづくり」の意識を持ち、もっといい会社になれると信じて取り組んでいます。
──K-OPENランニングプロトは今後、市販化に向かうのでしょうか?
今回のK-OPENランニングプロト2は、よりお客さまに近づき、実戦を見据えて製作していますが、現時点ではプロトタイプで、未完成です。
私自身もコペンユーザーとして早く市販化したいという気持ちはありますが、市販化できたとしても2年後とかの近い未来ではなく、もっと先になります。ですから、まずは現行のコペンを買えるうちに購入してください。そしていつの日にか、FRのコペンが出た際には、価格も安く設定しますので、ぜひ増車してください(笑)。









