イベントレポート 東京オートサロン 2026

ホンダ・レーシング、本物のGT500マシン8号車(野尻智紀/伊沢拓也組)を改造したレーシングシミュレータ体験 「どこへでも出張します」と担当者

本物のGT500マシンを使ってレーシングシミュレータを開発した株式会社ホンダ・レーシング 事業企画推進部 新規事業企画推進ブロック アシスタントチーフエンジニア 岡義友氏(左)と、同 事業企画推進部 新規事業企画推進ブロック 福田修平氏(右)

 HRC(ホンダ・レーシング)は、東京オートサロン2026でスーパーGT 500クラスに参戦していたARTA NSX-GT 8号車をレーシングシミュレータに改造し、展示・体験会を実施している。

 このARTA NSX-GT 8号車は2019年シーズンを戦ったGT500マシンで、ミッドシップ時代最後のものとなる。2020年シーズンからはFRとなっていたため、このミッドシップNSX-GTはHRCの倉庫に眠っており、今回、本格的なGTマシンによるレーシングシミュレータとして復活し、東京オートサロン2026で初披露された。

本物感あふれるコクピット。フロントウィンドウには鈴鹿の風景が広がる

 この事業を担当しているホンダ・レーシング 事業企画推進部 新規事業企画推進ブロック アシスタントチーフエンジニア 岡義友氏によると、このレーシングシミュレータは野尻智紀/伊沢拓也選手が乗っていたマシンそのもので、なんとエンジンもミッドシップに搭載されているという。

 これはエンジンが車体の構造部材として使われているためで、エンジンを下ろすと車体が成り立たなくなるからだという。

 本物のGT500マシンから改造されたのは、シミュレータにするためのステアリングユニットと、ペダルユニット。また、シミュレーション画面を投影するために、フロントウィンドウには投影スクリーンが貼られている。

 今回、実際に乗り込ませていただいたが、まずは乗り込むのに一苦労。フロントドアの開口部が狭いために、足を順に入れ、体をねじ込んでいくと、5~6分程度かかる。伊沢選手や野尻選手はレースでは素早く乗り込んでおり、もっと簡単に乗り込めると思っていたので、「さすがプロはすげぇな」と走り出す前から感動してしまった。

乗り込むのが大変なコクピット。伊沢選手や野尻選手のすごさを改めて感じる瞬間
ペダルも本格的なので、踏み応えは抜群
コクピット内に貼られていた「のじさんぽ」ステッカー

 もちろん、本物感の高いコクピット(というか、ステアリングとペダル以外は本物)に座り、6点式のシートベルトを締めると、いっそう緊張感は高まる。カーボン素材で構成されたコクピットに収まり、グランツーリスモを起動して走るのは、至福の時間だった。

 岡氏によると、このレーシングシミュレータの名称は「HONDA eMS SIM-02」となり、eMSはeモータースポーツを、SIMはシミュレータを表している。02とあるのは、先行するシミュレータとしてフォーミュラタイプのものがあり、それに続いてGTマシンをシミュレータにしたかったという。

 また、GTマシンであれば屋根などがあるので、特別なスピーカーを設置できる。このシミュレータは特別なスピーカーを設置してあるほか、フィードバックの振動を生み出すための振動ユニットを、シートに取り付けてある。

ヘッドライトも光る。フロントまわりのカーボンパーツは、本物感が高いというか本物
リアテールランプも光る。このあたりのカーボンパーツの美しさは尋常ではない

 今回の東京オートサロン2026がデビューとなるが、岡氏によると目的は子供たちや学生などに本物を味わってほしいことにあるという。そのため、「ご要望があれば、どこへでも出張します」(岡氏)とのこと。もちろん費用は必要となるが(GTマシン1台+投影機+ほか一式)、興味があればHRCまで連絡を取ってみてほしい。

編集部:谷川 潔