長期レビュー

伊達淳一のスバル「XV」と過ごすクロスオーバーな日常

第12回:“最強寒波”で結氷した山中湖まで絶景を探しに

長池親水公園の駐車場にて。大雪から4日経って主要な道路はきれいに除雪されているが、駐車場の一部は圧雪で凍っている箇所も

 今シーズンになってから、“最強寒波到来”というフレーズを何度聞いただろう? 北陸や東北では局地的に記録的な大雪に見舞われ、交通網がマヒして日常生活にも深刻な影響が出てしまったという。今シーズンはスタッドレスタイヤを新調し、喜び勇んで雪景色を撮りに出かけているが、改めて、大雪の恐ろしさを思い知らされ、そうしたリスクを覚悟で出撃するなら十分な備えと情報収集、時には早めに撤退する判断力が必要だと再認識させられた次第だ。

 さて、今回の目的地はまたまた山中湖。というのも、久々に山中湖が結氷したという情報が入ったからだ。結氷した山中湖を見たのは2011年2月以来なので、なんと7年ぶりだ。そのときは日産自動車の「ウイングロード」に乗っていて、タイヤはスタッドレスではなくノーマルのまま。数日前に降った雪が残ってはいるものの、道路の雪はきれいに除雪されていて、路面も乾いているのでノーマルタイヤでも走行可能(もちろんチェーンは携行している)だったのだ。とはいえ、雪が溶けて路面に流れ出て、それが夜に凍結している箇所もあるので、やはりスタッドレスタイヤを履いていた方が安心・安全だし、まだ完全に除雪されていないところにも入っていけるという点はアドバンテージだ。

 早朝の5時過ぎに自宅を出発し、調布IC(インターチェンジ)から中央自動車道に乗り、東富士五湖道路の山中湖ICで降りたのは6時30分過ぎ。日の出の時刻はどんどん早くなっているので、紅富士を狙うにはちょっと遅く、山中湖ICからもっとも近場の長池親水公園に到着したときには、すでに富士山がほんのり赤く染まり始めていた。あと30分から1時間早く行動すればもっと余裕を持って撮影に挑めるのに、と毎度のように後悔するところだけど、その30分早くがなかなか難しい(汗)。もっとも、今回は紅富士を狙うつもりはなく、たまたま早く目が覚めたので出撃したところに、運がいいのかわるいのか、紅富士の時間帯に辛うじて間に合ってしまった。そこで仕方なく(?)湖畔に三脚を立てている余裕もなく、手持ちで撮影開始だ。

山中湖畔の長池親水公園に到着したとき、車外気温計の示す数値は-17℃。ボクの人生で最も低い気温だが、幸い風がほとんどないので数字ほどの寒さは感じなかった

 今回はほとんどクルマ移動ということもあって、複数の撮影機材を持って出撃してきたが、今回のメインで使ったのはニコン D850。ニコンの一眼レフの集大成ともいえる極めて完成度の高いモデルで、有効4575万画素の高解像度と、7コマ/秒の高速連写(パワーバッテリーグリップを装着し、高電圧のリチウムイオンバッテリーを使用すると約9コマ/秒の高速連写が可能)、ISO 64-25600の幅広いISO感度設定を兼ね備えているのが特徴だ。

 富士山の冠雪がほんのりとピンクに染まり始めているが、空気が乾燥して澄み渡っているためか色付きはいまひとつ。カメラが指示する露出で撮影すると、目で見ているよりも色が薄くなってしまった。そこで、マイナスの露出補正でアンダー気味に撮影してみると、紅富士の赤みは増したが、湖面に立ち上る朝靄が暗くなってしまった。もう少し上空に雲があって、そこに朝日が反射すれば、湖面の朝靄ももっと明るく写るのかもしれないが、雲ひとつないクリアな青空だと、富士山と朝靄を両立させるのは困難だ。レタッチソフトで強引にHDR的な処理をすればSNS映えする仕上がりにもできるが、やり過ぎると写真ではなく絵のようになってしまうので、写真表現としてどこまで許されるのか、判断が難しいところだ。

紅富士タイムは三脚を設置する時間的余裕もなかったが、ひと段落してから三脚を取り出し、高濃度NDフィルターを使って長時間露出。これで湖面に映る富士山や朝靄の表情がフワッと優しい感じに仕上げられる

 もう少し時間が経つと、太陽の光が湖面まで差し込んできて、朝靄が明るく照らされてきた。富士山の雪はピンクからアンバーへと変化し、すでに紅富士の重厚な雰囲気はなくなってしまったものの、朝の富士山としてはなかなかわるくない光景だ。ただ、作例写真家としては単にそのままシャッターを切ったのでは芸がないので、ちょっと技巧を加えて撮影してみた(笑)。

 ND2000という高濃度NDフィルターを使用して、カメラに届く光を大幅に減らし、日中にも関わらず15秒という長時間露出を行なうことで、水面の揺らぎや朝靄の動きを平滑化。湖面に映る富士山の姿が穏やかになり、朝霧も輪郭がフワッとした優しい感じに再現できた。

 以下、【作例】と表記してある写真については、左上のプラスボタンをクリックすると拡大表示(8256×5504ピクセルなど)されるので、ぜひ楽しんでいただきたい。

【作例】長池親水公園に到着した直後に手持ち撮影したカット。富士山の雪は白トビしていないものの、ちょっと露出が明るめで色が薄く感じる
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(62mm域)絞り優先オート F7.1 1/15秒 -0.3EV補正 ISO100 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】同時記録したRAWをカメラ内RAW現像機能を使って、マイナスの露出補正とピクチャーコントロールの[明瞭度]と[彩度]を高めにして、紅富士の赤みを強調してみた。RAW現像次第でここまで印象を変えることができる
【作例】湖面に映る富士山の姿が切れていたのに気がつき、画角と構図を調整し、撮影時にマイナスの露出補正を強めにかけて撮影。RAW現像し直したカットに近い仕上がりになった
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(52mm域)絞り優先オート F7.1 1/50秒 -2.0EV補正 ISO100 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】カメラ内RAW現像で、ピクチャーコントロールの[明瞭度]と[彩度]をMAXまで上げ、[コントラスト]を1段弱めに調整。少しだけ富士山の赤みが強調された
【作例】Adobe Photoshop CCのCamera RAWで16ビット現像し、各種プラグインソフトも併用して、明瞭度や彩度を強引に高めてみた。画像処理としてはちょっとやりすぎではあるが、脳内イメージではこんな印象だ
【作例】湖面の朝靄にも太陽の光が当たるようになり、明暗のバランスが取れてきた。そこで高濃度NDフィルターを使って15秒の長時間露出で撮影して、湖面に映る富士山と朝靄をひと味違った描写に仕上げてみた
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(50mm域)絞り優先オート F14 15秒 -1.0EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:オート
長池親水公園付近の遊歩道。クルマの道路はしっかり除雪されているが、遊歩道はこんな状態。雪よりも怖いのが踏み固められて凍っている場所で、案の定、つるんと滑ってしまった。靴底にもスタッドレスタイヤ並の性能がほしいぞ

 紅富士タイムも終わり、富士山の雪の赤みも消えてきたので、クルマを長池親水公園の駐車場に置いたまま、富士山に向かって遊歩道を散策。東京でも大雪だった日から4日が経って、道路はきれいに除雪されているものの、周辺はまだ雪景色。

 ただ、期待していたほど結氷していないようで、白鳥などの水鳥も湖に優雅に浮かんでいる。7年前にキヤノン EOS Kiss X5で撮影した、凍結した湖面が割れて岸に押し寄せ、重なり合った迫力あるシーンには残念ながら遠く及ばない。まだまだ氷が薄く、凍結している面積も少ないのだ。ただ、もう少し奥まった平野というエリアはもっと気温が下がるので、湖面はもっと厚く凍っているに違いない。

【作例】大雪から4日経っているにも関わらず、湖畔の積雪はまだまだきれいな状態を保っていた。雪があるだけで、普段はどうということのない風景もフォトジェニックに写る
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(26mm域)絞り優先オート F8 1/250秒 -0.3EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:オート
【作例】湖畔を歩いていると、餌でも貰えるかと白鳥が寄ってきたが、何も貰えないと察するや否やスッと遠ざかっていった
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(40mm域)絞り優先オート F11 1/160秒 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】長池親水公園から少し山中エリア方面に歩いていくと、圧力で割れた氷が岸に重なるように押し寄せていた。ただ、7年前と比べると、だいぶ氷が薄く量も少なめだ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(24mm域)絞り優先オート F14 1/125秒 -0.3EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】ちなみにこれが7年前のほぼ同じ場所。これくらい迫力ある写真が撮れると期待していたのだが、今シーズン最強寒波とはいえ、ここまでの結氷には至っていないようだ
撮影データ/キヤノン EOS Kiss X5 EF-S 10-22mm F3.5-5.6 USM(10mm)シーンインテリジェントオート F11 1/320秒 ISO100 WB:オート ピクチャースタイル:オート

 とはいえ、せっかくの雪原と富士山という絶景を撮らずにここを後にするのももったいないので、D850の秘技「フォーカスシフト撮影」を使って、手前から奥までビシッとピントが合ったパンフォーカス撮影を試みる。

 風景などをパンフォーカスで撮影する際には、絞りを絞った方がピントが合って見える範囲(このピントが合って見える範囲のことを、写真の専門用語では“被写界深度”と呼んでいる)が広くなる。ただ、絞りを最小絞り付近まで絞ってしまうと光の回折現象の影響が大きくなり、被写界深度は深くなるものの、解像やコントラストが低下してしまう“小絞りボケ”という現象が発生してしまう。

 そこで、小絞りボケが起きない絞り値に設定し、少しずつピント位置をずらしながら撮影した複数の写真から、ピントの合ったシャープな部分だけを抽出し、手前から奥までピントの合ったシャープな写真を生成する、というのが「深度合成」というデジタルならではのテクニック。この深度合成の素材撮影に便利なのが、D850のフォーカスシフト撮影という機能で、手前から奥までカメラがピント位置を少しずつずらしながら連続で自動撮影してくれるのだ。

 ただし、D850本体にはフォーカスシフトで撮影した素材を深度合成する機能はなく、市販の深度合成ソフトを使ってPCで合成作業を行なうことになる。ボクが使っているのは「Helicon Focus」という深度合成専門ソフト。素材を読み込ませるだけで精度の高い深度合成が可能で、つながりがおかしくなった部分の修正も容易なのが特徴だ。このあたりの詳しい話は、デジカメ Watchの特別企画「ニコンD850『フォーカスシフト』風景撮影での使用法を考える」で解説しているので、興味のある人はぜひこちらも参照してほしい。

【作例】F11で撮影。ピント位置は画面の下3分の1あたり。手前はなんとかピントが合って見えるが、富士山は少しピンボケ気味だ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(26mm域)マニュアル露出 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】F16で撮影。富士山までほぼピントが合って見える。これが絞って被写界深度が深くなる効果だ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(26mm域)マニュアル露出 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】絞りをF22まで絞った写真。被写界深度は深くなっているはずだが、エッジのキレがなくなり、全体にボヤッと甘く見える。これが“小絞りボケ”だ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(26mm域)マニュアル露出 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
【作例】絞りをF8に設定してフォーカスシフトで撮影した7枚の素材を、Helicon Focusで深度合成。F16で撮影したカットに比べ、手前から奥までエッジ立ったキレのいい解像が得られ、山肌のディテールも際立っている
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(26mm域)マニュアル露出 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:風景
これがD850のフォーカスシフト機能で撮影した深度合成用の素材。左上のコマの赤い□がピントを合わせた箇所で、ここから無限遠方向にカメラが自動的にピントをずらしながら撮影してくれる
Helicon Focusの画面。D850のフォーカスシフトで撮影した7枚の素材を読み込ませ、[レンダリング]ボタンを押すだけで深度合成が開始される
左がフォーカスブラケットで撮影した素材の1枚、右が7枚の素材で深度合成したもの。小絞りボケの影響を受けずにパンフォーカスの写真になっている

 雪原と富士山をフォーカスシフト撮影した後、長池親水公園を出て向かったのは平野エリア……ではなく、山中湖パノラマ台。ここは時間が経つほど逆光気味になるので、富士山をクッキリ写すなら早めの時間帯のほうがいいと判断したからだ。さすがに大雪から4日経っているので、木々やススキには着雪しておらず、くっきり富士山が見えてはいるものの、ちょっと平凡な光景だ。

パノラマ台の駐車場にて。路面は完全に除雪されていてノーマルタイヤでも上ってくることは可能だが、路肩や駐車場には結構雪が残っている

 そこで「パノラマ台なのでパノラマ撮影」という、親父ギャグ的な受け狙いの撮影をしてみる(笑)。パノラマ撮影のポイントは、カメラが前後左右に傾かないよう水平を保ちながらカメラを振ること。カメラを上に向けたり下に向けてカメラを振ると、うまくパノラマ合成が繋がらなくなってしまう。被写体の上下どちらかが切れてしまう場合は、カメラを横位置ではなく縦位置に構えてパノラマ撮影して、合成後に上下の不要な部分をトリミングでカットすれば、上下方向にワイドなパノラマ写真を撮影できる。

 今回はカメラを縦位置にして9枚のパノラマ素材を撮影。これを「PTGui」というパノラマ合成ソフトに読み込ませるだけで、とくに調整を行なわなくてもほぼつなぎ目が分からない30898×7780ピクセル=約2億4000万画素という超高解像度のパノラマ写真が生成できる。さすがにこのサイズでWeb上に掲載するのは無茶なので、縦横を半分のサイズにリサイズ。画素数が4分の1に減ってしまっても、まだ6000万画素という高解像度を保っていて、富士山の山肌や手前にあるススキや枯れ木、結氷している山中湖や南アルプスまでクッキリと解像していて、さすがニコン D850といった仕上がりだ。

パノラマ台でパノラマ撮影。少しでも高画素で記録するため、縦位置にしてカメラを振っている。レンズ先端とボディの間にNPP(ノー・パララックス・ポイント)と呼ばれるカメラを振っても近景と遠景で視差が生じない位置があるので、近景も含むパノラマ撮影をするときには写真のようにNPPを中心に回転させると近景もズレずに合成できる
縦位置で撮影した9枚のパノラマ素材。つなぎ合わせるノリシロをちゃんと確保しながらカメラを振ろう。露出はマニュアルで明るさを固定して撮影するのが基本だ
PTGuiというパノラマ合成ソフトに9枚の素材を読み込ませ、パノラマ合成を行なっている画面。近景を含まないパノラマ撮影であれば、きちんと水平を保って素材を撮影すれば修正なしできれいにつなげられる
PTGuiで作成したパノラマ写真を縦横50%に縮小したもの
パノラマ素材の撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(40mm)マニュアル露出 F11 1/500秒 -0.3EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:オート

 パノラマ台から平野エリアに向かう途中、真っ白な雪のなかに馬の姿を見つけた。クルマから降りて確認すると、「クローバー牧場」という看板があり、乗馬体験や引き馬体験ができるという。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの準備で馬事公苑が閉鎖されてから久々に見るお馬さんなので、ちょっと寄り道。まだ雪が残る放牧場で昼食中のお馬さんの姿を撮影させてもらった。雪レフ効果でキャッチライトも入り、なかなかいい感じだ。

 枯れ草を食むお馬さんの姿を見ていたら、こちらもお腹が空いてきた。なにしろ朝ご飯抜きで飛び出してきたので、お腹が空くのも当然だ。とりあえず、平野エリアの湖畔まで行って結氷しているのを確認し、雪原に突っ込んだわがXVと富士山の記念写真を撮影。もう少し光線が逆光気味のほうが氷のキラキラ感が出るので、クルマを走らせ、対岸の山中エリアのファミレスで朝食兼昼食を摂る。

【作例】クローバー牧場にて。雪原の中、昼食を摂るお馬さんを大口径望遠ズームで狙う。逆光気味の撮影で、馬が暗くなりすぎないようにプラスの露出補正を行なっているが、地面の雪の階調がしっかり残っているのは見事。絞り開放でもキレキレの描写だ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8E FL ED VR(185mm域)シャッター優先オート F2.8 1/2000秒 +0.7EV補正 ISOオート(ISO140)WB:自然光オート ピクチャーコントロール:スタンダード
【作例】動く被写体を撮影する際は、選択した測距点に狙った被写体を確実に捉えるのが基本。ニコン D850の場合、グループエリアAFで狙うのが楽だ。雪レフ効果でキャッチライトが入っていて、雪原に自分の影が映り込んでいるのがハッキリ分かるほどの高解像描写だ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8E FL ED VR(135mm域)シャッター優先オート F2.8 1/1600秒 +0.7EV補正 ISOオート(ISO140)WB:自然光オート ピクチャーコントロール:スタンダード
【作例】平野エリアの結氷。いい感じに割れているが、圧力で折り重なるほどではない。最近はなかなか見られない光景ではあるが、少々インパクトに欠ける。お腹が空いたので、朝食兼昼食を摂りに一時この場を離れることにした
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(27mm域)絞り優先オート F11 1/400秒 -0.3EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:スタンダード
平野エリアにはかなり雪が残っていたので、喜び勇んでXVで雪の中に突入し、結氷する山中湖と富士山を背景に記念撮影。やっぱりこのXVの個性的なフォルムが好きだ

 再び平野エリアに戻ると、ちょうどいい感じに太陽がまわってきて、半逆光から逆光気味の光線になっている。山中湖交流プラザ「きらら」付近の湖畔の遊歩道を散策し、逆光に光る雪原と富士山を思う存分に撮影しながら、日が傾いて空が赤く染まるのを待つ。

 太陽が沈むあたりに雲があり、うまく夕陽が反射してくれないか期待したものの、上空には夕陽を反射する雲がほとんどなく、マジックアワーになっても湖面の氷にうまく反射してくれない。やっぱり自然風景写真は思いどおりの展開になるのはまれだ。でも、とにかく撮りに出かけてカメラを構えなければ何も始まらない。

昼食を終えて再び平野エリアに戻ってくると、太陽の高度がだいぶ下がってきて、標準ズームのワイド側でも富士山と太陽を一緒に写せるようになっていた。そこで、雪の残るエリアに再びクルマを入れ、ボクの好きなリアからのXVのフォルムを狙ってみた。輝度差が大きいので、ちょっとHDR仕上げで絵画っぽく仕上げてみた
同じシーンをクルマに近寄り、超広角レンズでローポジションから大胆な構図で切り取ってみた。旧XVのこの角張ったリアからのフォルムは最高だ
【作例】山中湖交流プラザ「きらら」横の遊歩道を散策。逆光で雪原や湖面がキラキラと輝いてとてもきれいだ
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VR(24mm域)絞り優先オート F11 1/500秒 -0.3EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:スタンダード
【作例】遊歩道を奥まで歩いて行くと、まだ人が足を踏み入れていないまっさらな雪原を発見。雪の表面の微妙なテクスチャーも逆光でより際立って見える。遠近感を強調したダイナミックな構図で切り取るため、超広角ズームに付け換えて撮影してみた
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 18-35mm F3.5-5.6G(18mm域)絞り優先オート F11 1/320秒 +0.3EV補正 ISO64 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:スタンダード
【作例】氷点下の気温でマジックアワーのドラマチックな絶景を期待して待つが、思ったほどの焼けにはならず、寒さが身に染みる結果に。だからこそ、何度も足を運んでチャンスをものにするしかないのだが、なかなか時間的余裕も財政的余裕もないのが悲しい現実……
撮影データ/ニコン D850 AF-S NIKKOR 18-35mm F3.5-5.6G(18mm域)マニュアル露出 F14 1/20秒 ISO64 WB:自然光オート(A2,M1)ピクチャーコントロール:ビビッド(コントラスト-1、明るさ-1、色の濃さ+2)

 気がつくとすっかり日が暮れて、頭上には冬を代表する星座のオリオン座が登ってきている。富士山とオリオン座がコラボした星景写真も撮りたいところだが、この後は月も昇ってくるし、なにしろ朝5時前に起きているので、もはや日付が変わるころまで粘る気力も体力も残っていない。気温もぐんぐん下がって-8℃になってきた。雪原に駐めたわがXVとオリオン座のコラボを撮影し終わって、この日の撮影は終了。山中湖を後にした。

 撮影を終えてみれば、結氷した山中湖よりも愛車のXVを撮影したバリエーションのほうが多かったりして(汗)。雪原にオレンジ色のXV(旧だけど)は実によく映える。今シーズンはあと何回、XVと雪景色を楽しむことができるだろうか? 春の足音はすぐそこまで近づいてきている。

結局、日の出から夜まで山中湖で撮影。オリオン座がきれいだったので、超広角レンズでローポジションからXVとオリオン座をコラボ撮影。そのままでは星が目立たないので、ちょっと強引な画像処理をかけてみた。次にここに来るときは、富士山とオリオン座のコラボを絶対撮るぞ!

伊達淳一

1962年生まれ。作例写真家。学研「CAPA」、インプレス「デジカメWatch」等でデジタルカメラ評価記事を執筆。レビューする機材の自腹購入が多いヒトバシラーだ。これまで乗ってきたクルマはトヨタコルサ、三菱ランサー、日産ウイングロードと、すべて1.5リッターの2WD。都内を走ることが多く、どちらかといえば小回りが効き、できるだけたくさん荷物を積めるというのがクルマ選びのポイント。今回、自身初となる2.0リッタークラスAWD(4WD)の「スバルXV」を新しい相棒として選んだことで、果たして行動範囲はどう広がるのか? クロスオーバーな日常がスタートした。

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