長期レビュー

伊達淳一のスバル「XV」と過ごすクロスオーバーな日常

第2回:XVに似合うホイール選びと初めてのスタッドレスタイヤ

さまざまな雪景色を撮影しに行きたいというのがスバルXV購入動機の1つ。そのため、早速スタッドレスタイヤに交換してみた。一番悩んだのは、XVに似合うホイール選びだ

 せっかくスバル「XV」を買ったのなら、雪道にもチャレンジしてみたい。それにはスタッドレスタイヤは不可欠だ。となると、新たにホイールも必要となるが、XVのホイールに匹敵する個性的なホイールを探す必要がある。自分のクルマが納車される前にディーラーに行った際、スタッドスレスタイヤを履いたXVを見かけたのだが、ホイールがシルバーを基調としたごく一般的なデザインで、ボディーカラーもおとなしめな色だったこともあって、すぐにはそれがXVだとは気づかなかった。やはり、XVにとってホイールの存在感は非常に大きいのだ。

 できることならスタッドレスタイヤも標準ホイールにしたかったところだか、第1回でも書いたようにホイールだけで約17万円(1台分)もすると聞かされた。確かにXVのホイールは個性的で魅力があるけど、そこまでお金をかけるのはちょっとバカバカしい。そんなわけで、XVに似合う個性的なデザインのホイール探しが始まった。

 XVのタイヤサイズは、225/55 R17 97V。ホイールサイズは17×7J。P.C.Dは100mmで5穴。っていってもなんのことやら。ここ(http://www.subaru.jp/faq/xv/05.html)に書いてあるんだけど、タイヤサイズくらいしか分からない(笑)。なにしろスタッドスレスタイヤを履くのも初めてなら、ホイールを買うのも初めてなんだから仕方がない。まあ、スペックの意味は分からなくても、ホイールのカタログを見て、スペックが適合するホイールを探せばいいだけだ。

 まず、重視したのが「ブラックポリッシュ」であること。やっぱりオレンジのXVには、シルバー基調よりもブラックのほうか似合うし、純正ホイールのイメージに近いからだ。といって、完全に真っ黒というのもアクセントに欠ける。そのあたりのバランスが取れているのが条件だ。

 次にこだわったのは、ディスク部のデザイン。ほとんどのホイールは、タイヤの中心部から放射状に直線が伸びたスポーク状の単調なデザインだ。一方、XVの純正ホイールは円周方向に幾何学模様が描かれている。シンプルではあるが、一度目にしたら忘れられないデザインだ。

 さすがに、これほど個性的なホイールは簡単には見つからない。インターネットでググっている最中、オオッ!と引かれるデザインのホイールもあるのだが、残念ながらホイールサイズが合わなかったり、すでに生産が完了して在庫なしだったりする。

 そんなこんなで、最終的に残ったのが、レアマイスターのバルクマァジ(http://www.lehrmeister.jp/main/var/product/bark_masi.html)とガルファノ(http://www.lehrmeister.jp/main/var/product/garofano.html)。どちらもディスク部は放射状に伸びてはいるものの、それほど単調ではなく、オレンジのXVに似合いそうだ。

 ただ、ホイール単品の写真を見ただけではなかなか装着イメージが湧かない。車とホイールの装着イメージをウェブページで画面で確認できるオンラインショップもあるが、少なくともこの時点ではXVに未対応。仕方がないので、それぞれの公式Webページから画面キャプチャした製品写真をPhotoshopで簡単に合成してみたのがこれ!

これはXVのノーマルホイール
バルクマァジのホイールを組み合わせてみた
こちらはガルファノ

 オレンジのXVにマッチする冬用ホイールは、レアマイスターのガルファノだと確信した瞬間だった。

 ホイールが決まったので、次はスタッドスレスタイヤだ。しつこいかもしれないが、AWD(4WD)を買うのも初めてなら、スタッドスレスタイヤを買うのも初めてだ。なので、スタッドレスタイヤに関する知識も経験もゼロ。Car Watchの記事を読んでも、正直どこのメーカーがお勧めなのか分からない(笑)。ちなみに、XVが採用している夏タイヤは、ヨコハマタイヤ(横浜ゴム)の低燃費タイヤ、「ブルーアース」だ。だったら、スタッドレスタイヤもヨコハマで統一するのもわるくないだろう、という軽い気持ちで「アイスガード ファイブ iG50」に決定した。

 後で知ったことだが、スタッドスレスタイヤは年々進化し続けているそうで、当然なから最新モデルのほうがさまざまな性能が向上しているという。アイスガード ファイブは、今シーズン初投入されるヨコハマ 第5世代のスタッドレスタイヤで、氷上性能だけでなく、さまざまな路面に対応する性能、省燃費性能も重視しているという(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120731_550232.html)。どちらかというと、雪道よりも都内を走る率が大半のボクにとっては、雪上、氷上性能はもちろん、通常路面での走行性能や燃費も無視できない要素。そういう意味では、(スタッドレスタイヤを履くのは初めてなので)ほかのスタッドレスタイヤとの比較はできないものの、都内(厳密には都下だけどね)でスタッドレスタイヤを履くメリット・デメリットはリポートできるのではないかと思う。

いつスタッドレスタイヤに履き替えるべきか?

 さて、都内で雪が降るのは稀。まったく積もらない年も多く、スタッドレスタイヤが必要になるのは数年に2~3日くらいだろう。しかも、ボクはスキーはしないので、あえて降雪地に出かけざるを得ない理由もない。ただ、雪の写真くらい撮って作例写真のバリエーションを増やさないと、当初の予算をオーバーしてまでスバルXVを買った意味が半減する。雪道をまったく走らず仕事車と割り切るのなら、もっとラゲッジスペースが広くて値段も安いクルマを買って、浮いたお金で高速連写ができるフラグシップの一眼レフや超望遠レンズをど~んと買ったほうが幸せなフォトライフが待っているのかもしれないが、カメラにしてもクルマにしても、単に実用本位で割り切れないのが現実。「人はパンのみにて生きるにあらず」だ。

 しかも、まだまだ我がXVは、納車されたばかりで慣らし運転の真っ最中。1カ月点検も終わらないうちにスタッドレスタイヤに履き替えるのもどうか、と思ったのだが、この冬は急に寒くなり、あちらこちらで雪の知らせが届いている。慣らし運転で八千穂高原に行ったときも、スキー場の入り口付近はすでにうっすらと雪が積もっていたこともあり、仕事が一段落した11月下旬に、ヨコハマタイヤのタイヤショップ「タイヤガーデン」で、スタッドレスタイヤに換装することにした。

 タイヤの交換作業は非常にスムーズで、アッという間に夏タイヤが取り外され、スタッドレスタイヤに交換されていく。外した夏タイヤには、装着位置を示すシールが貼られ、どの位置に装着されていたタイヤか分かるようにしてくれていた。

今回はホイールを購入してのタイヤ交換となるので、夏タイヤは純正ホイールに装着したまま。左が夏タイヤと純正ホイール、右がスタッドレスタイヤと市販ホイールのガルファノ
専門店だけあってタイヤガーデンの作業はスムーズに進む。ディスク部の隙間から見えるフロントディスクブレーキもなかなか格好よい
取り外した夏タイヤには、「右前」「左前」など装着個所を示すシールが貼られていた。再度装着するときの目安になる

 あらかじめ合成写真で装着イメージを確認はしていたものの、現物のホイールを見るのはこれが初めて。しかし、実際に自分のXVに装着されたホイールとタイヤを見ると、なんの違和感もなく、オレンジのXVにマッチしている。個性的な純正ホイールもいいけど、このガルファノも、ホイール周りのナットがワイルド感を演出していてなかなかカッコイイ! うん、ボクの直感に間違いはなかった!!

オレンジのボディーカラーとのマッチングがよいガルファノ。ホイール選びには時間をかけたので、実際の仕上がりにはとても満足

スタッドレスタイヤ購入、もう1つのポイント

 これまでスタッドレスタイヤを購入しなかったのは、乗っているクルマが2WD(FF)で、さほど積極的に雪道を走らなければならない理由もなかったということもあるが、交換したタイヤをどうやって保管するかという問題が大きかった。自宅にガレージがあるような環境ならともかく、賃貸マンションのベランダでは、雨や日差しに曝しっぱなし。しかも、南向きの西角の部屋なので、夏は想像を絶する暑さになる。経年劣化が気になるスタッドレスタイヤをそんな環境に置きっ放しにするなんて無謀だ。そして、なによりベランダにタイヤを積んでおくなんて、タダでさえ狭いベランダが狭くなってじゃまくさい。

 なのに、今回、なぜスタッドレスタイヤを買う気になったのか? 一番大きな理由は、せっかく憧れだったAWDを買ったのだから、雪のある風景写真も撮りに行ければいいな、と思ったのと、「タイヤ預かりサービス」の存在を知ったからだ。タイヤ預かりサービスとは、タイヤショップやカー用品店、カーディーラーなどが行っているサービスで、文字どおり、夏タイヤと冬タイヤを履き替える際に、履いていない方のタイヤとホイールを温度管理された倉庫で預かってくれる。次にタイヤを履き替えるときには、保管倉庫からショップまでタイヤを運んでこなけばならないので、作業日の約5日から10日前まで連絡する必要がある。そのため、明日雪が降りそうだから今日スタッドレスタイヤに交換してほしい、なんてことには対応できないが、自宅にタイヤを保管できる場所がなくてスタッドレスタイヤの導入をためらっていた人にはありがたいサービスだ。

 気になる料金だが、ショップや地域によって多少の違いはあるが、1年間の保管(2集荷+2配送)で2万円~2万5000円あたりが相場。別途、取り付け料金やバランス調整料金が必要になるケースが多い。インターネットを“タイヤ預かりサービス”でググってみると、地域によってはもっと格安のプランもあり、契約期間も1年単位でなく、1カ月、6カ月単位や、4カ月+8カ月といった契約プランのショップもある。また、そのショップでタイヤを購入していないと預かってもらえないことも多いので、事前にそういったタイヤ預かりサービスの内容や条件を調べてからスタッドレスタイヤを買う店を決めたほうがいいだろう。

 ボクの場合は、スバルXVを買った東京スバルのディーラーでそういったタイヤ預かりサービスを行っていて、タイヤをディーラーで買わなくても預かってもらえるという。しかも、周囲のカー用品店よりも安い預かり料金だ。でも、どうせなら、タイヤやホイールもディーラーで買ったほうが、そのままタイヤを預かってもらえて楽だよな~、と思い、ボクが希望するホイールとタイヤをセールスに伝え、いくらで出せるかを聞いてみたものの、やっぱりカー用品店やタイヤショップ並の価格はむずかしいとのこと。特にホイールが高くなってしまうようで、仕方なく、他のショップでタイヤやホイールを買って、履き替えたタイヤをトランクに積んでディーラーに持ち込むことにしたのだ。

 スタッドレスタイヤへの換装作業が終了したので、外した夏タイヤはトランクに積み込んでもらう。XVのトランクのラゲッジスペースはちょっと狭いが、後部座席を倒してしまえば225/55 R17のタイヤ&ホイール4本積んでもかなり余裕がある。それだけ後部座席の足下がこれまで乗っていたウイングロードよりも広いのだ。外した夏タイヤは車室内を汚さないよう、きちんとビニール袋に梱包してくれている。うれしい心遣いだ。

初めてのスタッドレスタイヤの履き心地。そして燃費

初スタッドレス体験中。といってもドライ路面なので不安はなにもない。乗り心地がよくなったし、ロードノイズが増えることもなかった

 夏タイヤをトランクに積み終わると、カーディーラーに向けて出発。カーディーラーまでは約15分ほどの距離だが、スタッドレスタイヤを履いて初めての走行だし、載せている夏タイヤが崩れないようにいつもよりも慎重に運転する。

 走り始めてすぐに気づいたのは、これまで履いていたブルーアースよりも、アイスガード ファイブのほうがゴツゴツとした乗り心地が適度に和らいでいること。これがいいことなのか、わるいことなのかは分からないが、少なくともボクにとっては普段の乗り心地はよくなったと感じる。また、ロードノイズがうるさくなるかと思っていたのだが、夏タイヤとほとんど変わらない。というか、スタッドレスタイヤと知らずに乗っていたら、履いているのが夏タイヤなのか、スタッドレスタイヤなのか、たぶん、ボクには分からないだろうと思う。これがスタッドレスタイヤで走り始めた直後の感想だ。

 それほど距離を走らないうちにカーディーラーに到着。夏タイヤをトランクから降ろし、サービス担当に預ける。預けるタイヤやホイールの状態が記入されたチェックシートと預かり書を受け取り、料金を支払えば、スタッドレスタイヤの履き替え作業は完了だ。次回は、夏タイヤに履き替えたい希望日の5日前までにディーラーに連絡し、クルマを持ち込むだけでOKだ。それまでは、XVオリジナルの個性的なホイールとはしばしのお別れだ。

タイヤガーデンで夏タイヤを積み込んでくれた。ビニール袋への梱包もうれしいところ
スバルディーラーへ到着。台車を用意してくれた。夏タイヤ&純正ホイールをラゲッジルームから下ろす
しばしのお別れ。春には再会できるだろう

 一方、スタッドレスタイヤに履き替えてやらなければならないのが「慣らし走行」。スタッドレスタイヤに限らず、タイヤには、製造工程で付着した油分が付着しているので、ドライ路面を一定速度で一定距離走行し、トレッド面の表面の薄皮を剥く必要がある。特に、スタッドレスタイヤは、氷雪路という滑りやすい路面をしっかり掴めなければ本来の性能を発揮できないため、なおさら慣らし走行は重要だ。最初の100kmくらいまでは、タイヤへの負担をできるだけ避ける走行を心がけ、“急”の付く運転は避けるようにする必要があるという。う~ん、3日後に1カ月点検(1000km点検)を受けてオイル交換が終わったら、めでたく[ECO]モードから[S]モード解禁!と思っていたのだが、まだ慣らし運転を続けなければいけないようだ。

 そうはいっても、慣らし運転モードからできるだけ早く脱却したい。そこで、スタッドレスタイヤを一皮剥くために、さっそく高速へ。といってもいきなり高速走行はできないので、高速は高速でも首都高。しかも、走行車線をキープレフトだ(笑)。インフォメーションディスプレイで瞬間燃費を見ると、流れに乗って定速走行しているときは14km/L前後の数値。スタッドレスタイヤにしたらかなり燃費が落ちると覚悟していただけに、これはうれしい誤算だ。

 そんなこんなで、1カ月点検で初回オイル交換と、納車後に追加で注文した「ドアミラーオートシステム」と「ETCとナビとの連動」、そして、自己責任で装着するドライブレコーダー用の配線をしてもらい、スタッドレスタイヤ装着後から200kmも走りきって、これでようやく慣らし運転という儀式は終了。晴れて[S]モードも解禁だ。

 さっそく高速道路の加速車線で[S]モードを試す。[ECO]モードよりも高回転域まで引っぱるため加速が力強く、20~30km/hあたりでの息継ぎ感が少ない。ただ、80km/hあたりのエンジン回転数も高めになるので、当然燃費は下がる。瞬間燃費計の数値を見ると7~8km/Lだ(汗)。こうして数値をまざまざと見せつけられると、思わず[S]モードから[ECO]モードに戻し、できるだけ回転数を落とした運転を心がけてしまう。やっぱりエコはエコでも、エコロジーよりもエコノミーに訴えかけたほうがエコ運転の効果はてきめんだ(笑)。

 ただ、ゆるゆるとエコスタートが低燃費に効果があるかというと、むしろ40km/hくらいまでは普通に加速し(急発進という意味ではない)、スッとアクセルペダルを緩めたほうが、少なくともXVの燃費計に表示される数値はよくなる。発進してすぐにまた信号待ちで止まる、といった場合は別として、そのまま流れる道路であれば、だらだらとゆっくり加速していくと思うように燃費がよくならないのだ。

 この件について詳しい人にいろいろ聞いてみると、エンジンには、燃費のよい回転数域があるという。ガソリンエンジンの特性として、燃料消費率はエンジン回転数に比例せず、およそ2000rpm~3000rpm位の間に効率のよい=燃費のよい回転数域があるらしい。そして、現在のクルマはインジェクションで燃料噴射をコントロールしていて、AT車の場合はDモードで走行中にアクセルをOFFにすると、燃費をよくするために燃料カットが行われる。さらに、ある領域に入ると、エンジンブレーキが効き過ぎて速度が低下しないよう、ATのロックアップ動作を解除して走行をするそうだ。つまり、エンジンの効率のよいところを使って加速し、後は燃料カットをうまく使って距離を稼ぐのが、信号の多い都市部で燃費を伸ばすコツのようだ。

燃費計算に使っているAndroidアプリ「ガスログ」
ウイングロードの燃費履歴
XVでの燃費履歴

 ちなみに、XVの燃費計の数値と、満タン法による燃費計算(Androidアプリの「ガスログ」で記録)とでは、後者の方がちょっとだけわるい数値になる。XVを買ってからまだ3回目の給油(初回給油を入れれば4回目)だが、慣らし運転を終え、積極的にエンジンの回転数をそこそこ上げる運転も加えたことと、従来の多い都心部の走行も増えたこと、そして、夏タイヤからスタッドレスタイヤに変えたこと、とさまざまなマイナス要因が増えていることもあって、だんだん燃費は悪化中(汗)だったりするが、そうはいっても、瞬間燃費計の数値を見ると、一般道で信号に引っかからずに走れる場合には12~13km/L、信号待ちや渋滞でちょっと進んではすぐに止まるを繰り返すような最悪な状況では7~8km/Lまで低下。アベレージでは10~11km/Lあたりといった感じだ。

市販ホイール+スタッドレスタイヤに交換したスバルXV。純正ホイールの持つ雰囲気とはまた違ったよさがあるように見える。オーナーならではの自画自賛だ

伊達淳一

1962年生まれ。作例写真家。学研「CAPA」、Impress Watch「デジカメWatch」等でデジタルカメラ評価記事を執筆。レビューする機材の自腹購入が多いヒトバシラーだ。これまで乗ってきたクルマはトヨタコルサ、三菱ランサー、日産ウイングロードと、すべて1.5リッターの2WD。都内を走ることが多く、どちらかといえば小回りが効き、できるだけたくさん荷物を積めるというのがクルマ選びのポイント。今回、自身初となる2.0リッタークラスAWD(4WD)の「スバルXV」を新しい相棒として選んだことで、果たして行動範囲はどう広がるのか? クロスオーバーな日常がスタートした。