失敗しないETC車載器導入の手引き 今日から始まる助成を使って車載器を手に入れる |
専用のカードを挿した車載器と、料金所にあるアンテナが無線で通信行い、料金決済をすることで、停車せずに料金所を通過できるETC(自動料金支払いシステム)。時間帯によっては通行料金が50%も割引きされるなど、ETC利用者限定の割引きサービスが多数用意されたことで、2009年3月5日現在では、平日平均で78.3%、土休日平均で73.4%という状況(国土交通省調べ)まで普及している。
3月4日に第二次補正予算関連法案が通過したことで、土日祝日は地方高速料金が上限1000円、平日3割引きという割引サービスが3月20日より順次開始される。割引きの適用にはETCの利用が条件となるが、3月12日からは、ETC車載器新規導入に対しての助成制度が始まるため、ETCの利用率はさらにアップすることが予想される。本記事では、まだETCを装着していない人のために、ETC導入の方法を紹介していきたい。
ETC車載器とETCカード |
■ETCでトクをするには、車載器とカードが必要
ETC装着に必要になるのは、ETCカードとETC車載器の2つだ。実はETCカードだけでも、一般レーンの料金所でクレジットカード代わりとして支払いできるのだが、ETCレーンの利用はもちろん、ETC専用のさまざまな割引サービスを受けることはできない。トクをするにはやはりカードと車載器はセットでそろえる必要がある。
最初にETCカードについてだが、これにもいろいろな種類がある。まず大きく分けて2つ。クレジットカード会社が発行するETCカードと、有料道路事業者が発行するETCパーソナルカードだ。前者のクレジットカード会社が発行するカードを作るのには、そのカード会社のクレジットカードを持っている必要がある。そのためクレジットカードを作れない人や、作りたくない人はこのETCカードを作ることができない。そこで用意されたのがETCパーソナルカードだ。
ETCパーソナルカード |
■クレジットカードがなくても作れるETCパーソナルカード
クレジットカードを持つ必要のないETCパーソナルカードだが、最低でも4万円のデポジット(保証金)を預託する必要がある。このデポジットは前払い金とは異なるので、通行料金は毎月口座から引き落とされる。デポジットの金額は、平均の月額利用料や年間で最も多く使った月額によって変わるので、ETCをたくさん利用する人ほど多くのデポジットが必要となる。また、万が一引き落としができなかった場合や、支払いの済んでいない利用料金がデポジット額の80%以上になった場合などには、ETCパーソナルカードの利用はできなくなってしまう。そのほかにも年会費1200円が必要になる(2011年3月末までの入会で初年度年会費無料)など、解約時にはデポジット額は戻ってくるとは言え、デメリットも多い。
■一体型か専用か? ランニングコストも踏まえたETCカード選び
ということで、特別な理由がない限りは、クレジットカード会社が発行するETCカードがおススメだろう。だが、このETCカードにも、クレジットカード機能を持たせた一体型カードと、ETC機能に限定された専用カードの2種類がある。
一体型カードの場合、それ1枚で作ることができるが、専用カードは、親となるクレジットカードが別に必要となる。すでに持っているクレジットカードを使って、ETC専用カードを追加することもできるが、新規にクレジット会社と契約する場合、通常のクレジットカードと専用カードの2枚が作られる。いずれもETC利用料金は、親となる通常のクレジットカードの利用料金として引き落とされる。カードの枚数が増えるのが嫌なら一体型がおススメだが、例えば車上荒らしに遭う可能性を考えれば、専用カードのほうがよいだろう。もちろんETC専用カードでも悪用は可能なので、車を離れるときは車内にカードを残さないことが重要だ。
なお、ETC専用カードであっても年会費などが発生する場合もある。ETCカードは無料でも親となるクレジットカードに年会費がかかったり、いくらか使えば年会費が無料になったりするなど、料金体系はカード会社や種類によってさまざま。新規にカードを作ることも含めて一番お得なカードを見つけよう。
NEXCO東日本の「E-NEXCO pass」はNICOS(三菱UFJニコス)の提携クレジットカード。写真左が親となるクレジットカード、右がETC専用カードで、それぞれ年会費がかかるが、年に1度でも利用すれば年会費は無料になるほか、貯まったE-NEXCOポイントは高速料金の支払いにも利用できる |
■ETC車載器新規導入助成制度を使って得をする
続いてETC車載器に話を移そう。車載器に関しては関連記事(高速料金上限1000円時代の必須アイテム「ETC車載器特集」)を参考にしてもらいたいが、せっかく助成制度が始まるので、助成金が使える「四輪車ETC車載器新規導入助成取扱店」での購入がお薦めだ。
四輪車ETC車載器新規導入助成では、2年以上の契約期間、かつ2回以上の分割、またはリース契約で支払いし、さらにアンケートに答えれば5250円が助成される。助成の対象となるのは、車載器本体の値段に加え、セットアップ手数料(後述)、取り付け工賃の合計で、もしこれらの合計が5250円を下回る場合には、支払い額は無料になる。この場合は分割払いはないが、車載器を2年以上使用することが条件となる。
条件が数多くあるが、店頭で独自の支払いプランが組まれている場合もあるので、店頭で相談するのがよいだろう。いち早く支払いプランを発表したオートバックスグループの場合では、本体価格+セットアップ手数料(2625円)+取り付け工賃から、助成の5250円と2回目の支払い額100円を引いた金額を購入時に支払い、2年後に送られてくるコンビニ払込用紙を使って、2回目の100円を支払うというシステム。ちなみに工賃は自分で取り付ける場合は支払わなくてもOKとのこと。そのほかにクレジットカードでの支払いや、24回分割払いも用意されるが、こちらは金利や手数料が発生する。
なお、助成の締切は3月31日までとなっているが、これは年度末の関係で、実際には来年度も継続される可能性がきわめて高い。おそらく助成開始の明日からは混雑が予想されるが、あまり焦る必要はないだろう。助成を受けるのに必要なものは、車検証とその車両。これはセットアップに必要なものなので、助成のためになにか特別な準備が必要になることはない。
■取り付けだけでなく、セットアップが必要
もちろん車載器は車に装着する必要があるのだが、加えてセットアップという作業が必要になる。これは、その車載器が装着される車が普通車なのか大型車なのかといった情報や、プレートナンバーなどを登録する作業のこと。たとえば大型トラックが軽自動車の料金で通過するような不正が行われないよう、セットアップが可能な店で必要書類を記入した上で登録される。その方法には、オンラインセットアップとオフラインセットアップがあり、店舗によって異なる。
オンラインだと当日セットアップが可能なのに対し、オフラインだと1週間程度を要する。セットアップ時に必要となるものは、車検証と、ETC車載器番号及び型式登録番号(車載器本体や保証書などに記載)。また、セットアップ時に記入した書類はマイレージサービスの登録などに必要になるので、捨てずに保管しておこう。セットアップに必要な手数料は、店によって異なるが2500円~3000円程度だ。
車載器の取り付けは、オーディオなどの取り付け経験がある人ならば、難しいレベルではないと思う。装着に不具合があればETCレーンのバーにぶつかることになるので、自信がなければプロに頼みたい。装着工賃は2ピースタイプ(アンテナ一体型)か3ピースタイプ(アンテナ分離型)かにもよるが3000円~5000円程度。3ピースタイプで本体をグローブボックスにしまう場合などは、その分工賃が増える場合がある。
セットアップ申込の書類。車両の寸法といった情報は、車検証を見ればすべてわかる | セットアップはパソコンでオンラインで行う。必要なデータはセットアップカードに記入され、これを車載器に挿すことでセットアップが行われる。 |
■カード発行から車載器取り付けまで90分でOKのワンストップサービス
ETCに関していろいろ説明をしてきたが、てっとり早く装着したいなら、「ワンストップサービス」と呼ばれるサービスがお薦めだ。その場でETCカードの発行から車載器の購入、セットアップ、取り付けまでできてしまうワンストップサービスは、大黒PA(パーキングエリア)と、用賀、さいたま新都心に設けられた特設会場のほか、オートバックスやオートウェーブのETCカード即時発行機設置店などで行われている。選択可能なETCカードの種類に限りがあるほか、PAや特設会場では選べる車載器が絞られたり、取り付けできない車両があったりといった制限もあるが、通常カード発行も含めれば数週間かかる作業が90分程度ですべてが完了するワンストップサービスは、時間がない人にもお勧めだ。なお、ワンストップサービスに関しては、関連記事「首都高のETCワンストップサービスを使ってみた」もご覧いただきたい。
(編集部:瀬戸 学)
2009年 3月 12日