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ランボルギーニ、創立者の生誕100周年を記念した「ランボルギーニ・デイ」を聖徳記念絵画館で開催

三菱レイヨンとCFRP分野における共同開発を検討開始

2016年9月16日 開催

 ランボルギーニ・ジャパンは9月16日、創立者であるフェルッチオ・ランボルギーニ氏の生誕100周年、「ミウラ」誕生から50周年を記念したイベント「ランボルギーニ・デイ」を東京 聖徳記念絵画館で開催した。

 これらを記念するとともに、当日はカーボンファイバーの新たな取り組みに関しての発表会「Excellence in Carbon Fiber」、3月のジュネーブモーターショーで世界初公開された「チェンテナリオ」のアジア初披露、クラシックカーの品評会「ランボルギーニ・デイ コンクール・デレガンス TOKYO 2016」を実施するなど、まさにランボルギーニ・デイの名にふさわしいさまざまなイベントが行なわれた。

3月のジュネーブモーターショーで世界初公開された「チェンテナリオ」のアジア初披露も行なわれた。同モデルはランボルギーニの創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニ氏の生誕100周年を記念した40台限定モデル。最高出力770HP/8500rpm、最大トルク690Nm/5500rpmを発生するV型12気筒6.5リッターエンジンを搭載。販売価格は175万ユーロ(税別)とアナウンスされており、すでに全数売約済みとのこと

 そのなかで、カーボンファイバーの新たな取り組みに関しての発表会にはアウトモビリ・ランボルギーニ CEOのステファノ・ドメニカリ氏が登壇するとともに、アジア太平洋地区 代表のアンドレア・バルディ氏、研究・開発部門 取締役のマウリツィオ・レッジャーニ氏、アドバンスト・コンポジット部門 チーフのルチアーノ・デ・オト氏、さらに駐日イタリア大使のドメニコ・ジョルジ氏、アウトモビリ・ランボルギーニと提携を結ぶ三菱レイヨンの社長である越智仁氏、コンポジット製品事業部長の中越明氏が出席してプレゼンテーションを実施した。

アウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区 代表のアンドレア・バルディ氏
イタリア大使のドメニコ・ジョルジ氏
三菱レイヨン株式会社の社長である越智仁氏
三菱レイヨン株式会社 コンポジット製品事業部長の中越明氏
アウトモビリ・ランボルギーニ CEOのステファノ・ドメニカリ氏

 ステファノ・ドメニカリ氏はミウラ、ディアブロ、アヴェンタドールといった同社の歴史的モデルから最新モデルについて触れるとともに、スーパースポーツSUV「URUS(ウルス)」を2018年に製造を開始することを紹介。また、ユーザーとの接点を今後一層作っていきたいとし、「さまざまなイベントを実施するほか、ランボルギーニ本社があるサンタアガタ・ボロネーゼに新しいミュージアムを開設し、サンタアガタをより魅力的な場所にしていく。また、スーパートロフェオなどランボルギーニにとってモータースポーツは重要な柱の1つなので、サーキットイベントも拡充していきたい」と語る。

 一方、同社はカーボンファイバーの研究開発を積極的に実施しており、その取り組みは30年にわたるという。そのカーボンファイバーについて、日本は大部分の生産・供給量をまかなっているそうで、2008年からランボルギーニの研究開発部門は日本の産業団体や企業と協力体制を敷き、コンポジット素材の開発に取り組んでいる。その一環としてイタリアに先進複合素材研究センター(ACRC)、アメリカ シアトルに先進複合材構造研究所(ACSL)が設立されたという。

 こうした取り組みによって生み出されたカーボンファイバーを車両に採用することで「クルマの軽量化を図ってクルマのパフォーマンスを上げるとともに、排ガスを削減している。ランボルギーニは自動車メーカーとして唯一、設計から生産、修理にいたるまですべて自前で行なっており、修理については自前の基準を設けている」と述べるとともに、「日本は常にカーボンファイバーの先駆者であることからこれまで日本の大学と提携をしてきたが、今回自動化のプロセスを促進するために三菱レイヨンと戦略的なパートナーシップを締結した」とコメントした。

アウトモビリ・ランボルギーニ 研究・開発部門 取締役のマウリツィオ・レッジャーニ氏

 次に登壇した研究・開発部門 取締役のマウリツィオ・レッジャーニ氏は、ランボルギーニの特徴について「まずデザインが挙げられるが、エンジン、車両重量も重要になる。例えば20kg軽量化できれば加速時、ブレーキング時、コーナリング時にそれを感じることができ、軽量化するということはスーパースポーツの世界でますます重要になっている」とコメント。そして「軽量でありながら剛性がある素材が必要になるが、それを解決するのがカーボンファイバー素材だと思っている。我々が特許を持つフォージド・コンポジット素材はセスト・エレメント(ボディコンポーネントにカーボンファイバーを多用することで総重量999kgを実現したコンセプトカー)で初めて採用した。大幅に軽量化を実現できたことから、フォージド・コンポジット素材は軽量化の重要な柱」と、同社にとってフォージド・コンポジット素材が必要不可欠であることを説いた。

レッジャーニ氏が示したプレゼン資料
アウトモビリ・ランボルギーニ アドバンスト・コンポジット部門 チーフのルチアーノ・デ・オト氏

 また、アドバンスト・コンポジット部門 チーフのルチアーノ・デ・オト氏はカーボンファイバー素材を1983年に造られた「クンタック プロトタイプ」に採用したのを皮切りに、ディアブロ(1990年)、ムルシエラゴ(2001年)、ガヤルド スパイダー(2005年)、セスト・エレメント(2010年)、アヴェンタドール(2011年)、ウラカン クーペ(2014年)に投入してきたことを紹介するとともに、2007年のボーイングとの提携を契機に「ボーイング 787プロジェクト」における日本企業の能力の高さを目の当たりにし、日本企業や名古屋工業大学と提携をしたことを紹介。ランボルギーニが日本に注力・注目する理由として「開発提携先の日本企業からは、原料の供給から工業化にいたるまで全工程における高度な能力の提供が受けられる」「日本企業は全世界におけるカーボンファイバー供給量の約6割を担っている」「日本にはCFRP技術の提携先企業のみならず、その他の革新技術(界面フィルム、革新的な塗装工程など)がある」「コスト削減および1日あたりの生産率向上には自動化が鍵になる」という点を挙げた。

 なお、ランボルギーニと三菱レイヨンは今回の発表会会場において、CFRP分野における共同開発を検討する旨の基本合意書を締結した。三菱レイヨンのCFRP中間材およびその加工技術、ランボルギーニの軽量部品製品化技術・知見を組み合わせることによる、自動車用CFRP分野における新たな展開の可能性についてこれまでも協議しており、今回共同開発の実施に向け具体的な検討を開始することに合意。

 この合意により、両社は今後1年間を目処に自動車用CFRP分野における新素材や新技術、加工時間短縮、生産作業削減、生産自動化に関する技術を取り込んだ新規CFRP開発を主な目的とする共同開発の可能性を探っていく。

ランボルギーニにおけるCFRPの歩み
カーボンファイバー素材を1983年に造られた「クンタック プロトタイプ」を皮切りに、ディアブロ(1990年)、ムルシエラゴ(2001年)などに採用
現在のコンポジット関連施設
コンポジット開発・製造をすべて社内で行なう独自の工程を敷く
アメリカ シアトルの先進複合材構造研究所(ACSL)について
イタリアの先進複合素材研究センター(ACRC)について。ボーイングとの提携により、本来は航空業界で採用されていたビルディング・ブロック・アプローチ(BBA)を導入
現在ランボルギーニが日本に注力・注目する理由
ランボルギーニのCFRP戦略の今後
自動車業界にフォージド・コンポジットを導入するメリット
セスト・エレメントでフォージド・コンポジットのポテンシャルを証明
2014年に剥き出しのフォージド・コンポジットを使用した「カーボン・パッケージ」を導入
三菱レイヨンとの関係について
会場にはクラシックカーの品評会「ランボルギーニ・デイ コンクール・デレガンス TOKYO 2016」やパレードへの参加車両が並べられた
ミウラ(1967年)
ミウラ(1968年)
ミウラ(1969年)
ミウラ(1970年)
ミウラ(1970年)
カウンタック(1976年)
カウンタック(1977年)
カウンタック(1986年)
カウンタック(1988年)
カウンタック(1989年)
イスレロ(1969年)
ハラマ(1972年)
ウラッコ(1975年)
ジャルパ(1986年)
350GT(1966年)
400GT(1967年)
LM002(1990年)
ディアブロ(2001年)