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【F1日本グランプリ 2016】ニコ・ロズベルグ選手が9勝目。「伝説的なサーキットで勝てたのは格別」

2位は新人マックス・フェルスタッペン選手、スタートミスでルイス・ハミルトン選手は3位に

2016年10月9日 開催

レーススタート直後。ハミルトン選手はスタートに失敗して出遅れた

 10月9日、「2016 F1 エミレーツ 日本グランプリ」の決勝レース(53周)が鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で行なわれ、ニコ・ロズベルグ選手(メルセデスAMGペトロナス)が1時間26分43秒333で今季9勝目を飾った。2位はマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル・レーシング)、3位は通算100回目の表彰台となったルイス・ハミルトン選手(メルセデスAMGペトロナス)で、ドライバーズポイントでトップのロズベルグ選手はハミルトン選手に33ポイント差をつけた。

ライコネン選手とバトン選手はグリッド降格に

 前日の予選と同様、夜間から朝にかけて雨が降ったものの、路面はほとんど乾いた状態で、22台中15台がソフトタイヤを選択し、14時に決勝レースがスタートした。

 前日の予選で3番手を獲得していたキミ・ライコネン選手(スクーデリア・フェラーリ)だったが、予選後、予定にないギヤボックス変更が発覚し、5グリッドの降格処分を受け8番手からのスタート。代わりに予選4番手だったフェルスタッペン選手が繰り上がって3番手スタートとなり、セカンドローはレッドブル・レーシングが占める形になった。

 また、予選で17番手だったジェンソン・バトン選手(マクラーレン・ホンダ)も、今季6基目となるエンジン、ターボチャージャーなど計6つのエンジンコンポーネントに載せ替えたことで(レギュレーション上、新しいエンジンコンポーネントはそれぞれ5基目まで許容されるが、6基目以降はペナルティを受ける)、トータル35グリッド降格のペナルティを受け、最後尾からのスタートとなった。

ハミルトン選手がスタート失敗で大きく順位を下げる

 レッドシグナルが消え、全車一斉にスタートを切るも、フロントローのハミルトン選手がまさかのミスで1コーナーまでに6台にごぼう抜きされる大失策。3番手スタートのフェルスタッペン選手は冷静に好スタートを決め、ホールショットを奪ったロズベルグ選手に続き、1コーナーに飛び込んだ。

 オープニングラップが終わった時点で先頭ロズベルグ選手、2番手フェルスタッペン選手、3番手は絶妙のスタートを切ったセルジオ・ペレス選手(サハラ・フォース・インディア)、4番手はダニエル・リカルド選手(レッドブル・レーシング)。ライコネン選手は7番手を走行し、ハミルトン選手がそれに続く。2周目には3番手にセバスチャン・ベッテル選手(スクーデリア・フェラーリ)が浮上した。

 しかしながらハミルトン選手も意地を見せ、レース序盤の16周目で4番手まで追い上げる。ライコネン選手もしぶとくポジションアップを狙うが、中盤まで前を走る5番手のリカルド選手との差をなかなか詰められない。そうこうしている間に各チーム2回目のタイヤ交換を迎え、上位チームは(ミディアムタイヤを使い切っていたためか)最初のソフトタイヤからハードタイヤ、そして(使用済み)ハードタイヤへと履き替えた。

スタートから圧倒的な速さを見せたロズベルグ選手
一時3番手を走行したベッテル選手
ハミルトン選手はスタートで順位を下げたものの、急激な追い上げを見せた
序盤、一時3番手を走行したペレス選手

 このうちフェルスタッペン選手とリカルド選手は新品ハードタイヤを続けて使用し、ベッテル選手はハードタイヤの後ふたたび新品ソフトタイヤに交換。このタイヤ交換のタイミングで、微妙なタイヤの差か、ライコネン選手がリカルド選手をかわし5番手に、ハミルトン選手も3番手にポジションアップした。

5グリッドの降格となったライコネン選手だが、徐々に順位を上げる

最後までタイヤ戦略の違いが明暗を分ける

 残り10周の時点でロズベルグ選手のトップは揺るがず、続いてフェルスタッペン、ハミルトン、ベッテル、ライコネン、リカルド、ペレスの各選手が並ぶ。ロズベルグ選手とフェルスタッペン選手との差は約5秒、そこからハミルトン選手とは約2秒のギャップがある状況。

快調に飛ばすフェルスタッペン選手

 ハミルトン選手は徐々に前との差を詰め、ついに残り7周でフェルスタッペン選手を捉え始める。しかし、一時は0.5秒差にまで追い上げるも、ここでも新品ハードタイヤ(フェルスタッペン選手)と使用済みハードタイヤ(ハミルトン選手)の違いによるものか、そこから先は最後まで詰め切れず、ファイナルラップに入る直前のシケイン手前で仕掛けたハミルトン選手が、フェルスタッペン選手のブロックもあって、オーバースピードで突っ込みコースアウト、すぐにコースインしたものの万事休すとなった。

 結果は、優勝がロズベルグ選手、2位フェルスタッペン選手、3位ハミルトン選手。4位から10位までは下表の通り。これによりドライバーズポイントはロズベルグ選手が313ポイントとなり、2位280ポイントのハミルトン選手との差を33ポイントに広げ、残り4戦のチャンピオンシップをさらに有利なものとした。また、コンストラクターズポイントでは、2人が所属するメルセデスAMGペトロナスが593ポイントとなり、2016年シーズンのタイトル獲得を早くも決めた。

 なお、マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソ選手は16位。バトン選手はスタート時にハードタイヤを選択し、可能な限りのポジション挽回を図ったが奏功せず、18位という結果に終わった。

アロンソ選手は16位、最後尾スタートのバトン選手は18位だった
日本グランプリ決勝レース順位

1位:ニコ・ロズベルグ選手
2位:マックス・フェルスタッペン選手
3位:ルイス・ハミルトン選手
4位:セバスチャン・ベッテル選手
5位:キミ・ライコネン選手
6位:ダニエル・リカルド選手
7位:セルジオ・ペレス選手
8位:ニコ・ヒュルケンベルグ選手
9位:フェリペ・マッサ選手
10位:バルテリ・ボッタス選手

ニコ・ロズベルグ選手のコメント

 最高の週末となった。とりわけこの(鈴鹿サーキットという)伝説的なサーキットで勝てたのは格別。もちろんファンのみなさん、チームのみんなに対しても、コンストラクターズタイトルを獲れたことを(感謝)祝福したい。(すぐ飛行機で帰るのか、それともカラオケをしていくのかという問いに)たぶんちょっとだけ、でもそんなにはやらない。シーズンはまだ長いし、エネルギーは貯めておかないと。

 この週末を通して本当によかった。マシンの正しいバランスを見つけることができたし、レースではマックス(・フェルスタッペン選手)との差やペース配分もうまくコントロールできた。本当にパーフェクトな週末で、ハッピー。(ハミルトン選手と)33ポイント差があるのは、それほど気にしていない。毎レースポイントを取りたいという気持ちしかない。

マックス・フェルスタッペン選手のコメント

 トラフィックは多かったけど、最後のスティントではタイヤを少し温存できた。我ながらいい戦略だったと思う。メルセデスとの戦いは常にポジティブに考えている。(ハミルトン選手の後半の追い上げが気にならなかったか、という問いに対して)マレーシアほどではなかった。ルイス(・ハミルトン選手)は厳しくプッシュしてきたし、シケインでのやりとりもあったけど、幸せな瞬間でもあった。

 マシンの調子はすごくよくて、ニコ(・ロズベルグ選手)を追いかけたけど、ルイスがものすごく迫ってきた。レース最後でハードにプッシュしてきて、彼はチャンピオンシップを戦っているんだということを思い知った。でも、すべては問題なかった。すばらしい結果だし、自分自身これまでの最高のレースの1つだと思う。

ルイス・ハミルトン選手のコメント

 まずは、みなさん来てくれて本当にありがとう。チームには最大の賛辞を送りたい。そのメンバーの1人としていられたことを誇りに思う。チームに対してポイントを取れたこともうれしい。(ロズベルグ選手との差が開いたが)次回以降のレースも、何が起ころうともできることはすべてやる。かなりのポイント差が開いたとはいえ、素晴らしい仕事をした彼を祝いたい。

 (スタートで単にホイールスピンをする)ミスはしたが、その後は困難ながらも自分の仕事をやり続けて、できる限りのことはやれたと思う。中間スティントはマシンのフィーリングはよかった。全体的にもマシンのフィーリングはだいたいよくて、何の問題もなかった。最後は激しく争いに行ったけど、だめだった。