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【スーパーフォーミュラ最終戦】シリーズタイトルは国本雄資選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)が初獲得

レース2は、F1へ昇格するバンドーン選手が優勝

2016年10月30日 決勝開催

日本最高峰のレース。2016年のスーパーフォーミュラのシリーズタイトルは、国本雄資選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)が獲得した

「全日本スーパーフォーミュラ選手権 最終戦 第15回 JAF 鈴鹿グランプリ」が三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットにおいて、10月29日~30日にわたって行なわれた。30日の午後には、2回予定されているレースのうちレース2が行なわれた。

 レースは、予選2位からスタートしたストフェル・バンドーン選手(41号車 DOCOMO DANDELION M41Y SF14)が、今シーズン2度目の優勝を果たした。バンドーン選手は、来年はF1への昇格が決まっており、スーパーフォーミュラ最後のレースになる。

レース2を優勝したストフェル・バンドーン選手(41号車 DOCOMO DANDELION M41Y SF14)。来年はF1ドライバーとなる

 2位はアンドレ・ロッテラー選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM’S SF14)、3位はポールからスタートした石浦宏明選手(1号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)選手。

 シリーズタイトルは6位でゴールした国本雄資選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)が初めて獲得した。チームタイトルは同選手が所属するセルモ・インギングチーム。同選手はレース1とレース2の両方の結果から決まるJAF CUPも獲得した。

2位はアンドレ・ロッテラー選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM’S SF14)。レース2を優勝すればチャンピオンだった

最後のスーパーフォーミュラレースとなるバンドーン選手が、ロケットスタートで1コーナーにトップで入る

 レース2で1コーナーをとったのは、来年マクラーレン・ホンダでF1に参戦するため、このレースがスーパーフォーミュラ最後のレースとなるストフェル・バンドーン選手(41号車 DOCOMO DANDELION M41Y SF14)。2位からスタートしたバンドーン選手は、素晴らしい蹴り出しで、ポールからスタートした石浦宏明選手(1号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)をオーバーテイクして1コーナーへトップで入った。

スタート直後。ストフェル・バンドーン選手(41号車 DOCOMO DANDELION M41Y SF14)がロケットスタートを決めた

 3位からスタートしたポイントリーダーの国本雄資選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14)は、レース1の目の覚めるようなスタートとは反対にスタートを失敗し、6位まで後退した。

 1周目に多くのドライバーが、義務づけられているピット作業に動く。中嶋一貴選手(37号車 VANTELIN KOWA TOM’S SF14)、山本尚貴選手(16号車 TEAM 無限 SF14)などがピットに向かう。さらに2周目にはチャンピオンを争うランキング2位の関口雄飛選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)のほか、小林可夢偉選手(8号車 SUNOCO TEAM LEMANS SF14)などが入ってくる。3周目はジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(19号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)がピットインを終えると、ピットを終えたドライバーの中での順位はオリベイラ選手、中嶋一貴選手、山本選手、小林選手、関口選手となっていた。関口選手はピット作業ミスがあったようで、小林選手などに抜かれて、序盤のピットインという作戦が失敗に終わってしまったのだ。

 一方ピットに入っていないドライバーとして、ストフェル・バンドーン選手がトップを独走し、2位は石浦選手、3位はアンドレ・ロッテラー選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM’S SF14)となった。バンドーン選手は、すでにレース1でチャンピオン獲得の望みがなくなっているが、2位石浦選手、3位ロッテラー選手はいずれもチャンピオン獲得の可能性を残しており、どちらかが優勝して国本選手が下位に終われば逆転チャンピオンという可能性がでてくる。それだけに、緊張感があるレースが展開されることになった。

レース1、レース2ともポールからスタートしながら、いずれも優勝を逃した石浦選手

レース中盤にセーフティーカー導入。国本選手は順位を下げる展開に

最終戦から導入された新型NSXのセーフティーカーが先導

 レースが動いたのは13周目、3位を走っていたアンドレ・ロッテラー選手がピットイン。作業を終えると、ピットを終えた車両の中では最上位だったオリベイラ選手の鼻先に出ることに成功した。タイヤが暖まっていなかったロッテラー選手だが、必死のブロックでオリベイラ選手が前に出ることを阻止し、この時点でピットストップを終えた組のトップに立った。

 トップのバンドーン選手、2位の石浦選手が同時にピットインしたのは16周目。ピット作業もほぼ同じ時間で、作業を終えると前に出ていたのは、バンドーン選手、やや遅れて石浦選手という形でピットアウトした。2台は、ピット作業を終えた組のトップだったロッテラー選手の前にでることに成功。実質1位、2位のままレースに復帰した。

 次にレースが動いたのは、23周目スプーンの出口で伊沢拓也選手(11号車 REAL SF14)がイン側にクラッシュし、その車両を排除するためにセーフティーカーが導入された。そのタイミングでまだピットインしていなかった国本選手、そしてジェームス・ロシター選手(3号車 フジ・コーポレーション KONDO SF14)がピットインする。2人は7位、8位でセーフティーカーに率いられた隊列に加わることになった。

 この時点での順位はバンドーン選手、石浦選手、ロッテラー選手、オリベイラ選手、ベルトラン・バゲット選手(65号車 GREEN TEC/NAKAJIMA SF14)、塚越広大選手(10号車 REAL SF14)、その後ろに国本選手、ロシター選手となった。この順位でゴールすると、国本選手は1ポイントを追加することになるが、3位を走っているロシター選手が優勝すると、逆転されてしまう計算になる。チャンピオンシップの行方はセーフティーカー状態が解除された後のリスタート次第ということになった。

セーフティーカー後のリスタートをうまくこなしたバンドーン選手が優勝、国本選手が初戴冠

 リスタートは26周目となり、残り9周のレースとなった。トップを走るバンドーンは130Rで一度加速していき、その後シケインの手間で減速して2位の石浦選手以下にフェイントをかけたところで加速。2位に1秒以上の差をつけたところでトップのまま1コーナーへ飛び込んでいった。1コーナーではオリベイラ選手をバゲット選手が抜こうとするが、勢い余ってオーバーラン、6位を走っていた塚越選手が5位に上がることになった。

 ところが、今度は山本尚貴選手が最終コーナーでスピンし、ストレート外側のタイヤバリアに突っ込むというクラッシュが発生、再びセーフティーカーが導入されることになった。31周目に残り4周で再びリスタートになったが、バンドーン選手はまたも上手に石浦選手にフェイントをかけ、1秒以上のリードを保ったまま1コーナーに入ることができた。

 だが、2位はそのリスタートで入れ替わることになった。3位だったロッテラー選手が、メインストレートで石浦選手のスリップストリームから抜けだし1コーナー外側から見事なオーバーテイク。これでロッテラー選手が2位に上がり、その後バンドーン選手を抜きトップに立つと、チャンピオンはロッテラー選手ということになる。

 しかも、リスタートで国本選手は1コーナーまでに、ロシター選手に抜かれ8位に転落。チャンピオン獲得に黄色信号が灯る状態になったが、7位に上がったロシター選手は6位の塚越選手を抜こうとしてS字で接触、2台ともに大きく順位を下げることになった。その結果、国本選手は6位に。

 だが、この6位でも、ロッテラー選手が優勝した場合には、ロッテラー選手がチャンピオンとなる。このため、チャンピオンの行方は1位バンドーン選手と、2位ロッテラー選手のトップ争いの結果次第となった。

 最終ラップの時点で両者の差はわずか0.951秒。見る見る差は詰まっていくが、最終ラップのバックストレートで、バンドーン選手は残していたオーバーテイクボタンをディフェンスのために使い、最終的に0.726秒差でバンドーン選手が先にフィニッシュラインを通過し、スーパーフォーミュラの“卒業試験合格”となって、自らのF1昇格に華を添えた。2位はロッテラー選手、3位は石浦選手。

 国本選手は6位に入賞し、ポイントを33に伸ばし、2位ロッテラー選手の30点を上回って見事にシリーズタイトルを初めて獲得した。また、チームタイトルも同選手が所属するセルモ・インギングチーム。なお、レース1、レース2の結果などから授与されるJAF CUPに関しても、国本選手が獲得した。シリーズ3位はこのレースで8位に入った関口選手が28.5ポイントで獲得している。

レース2結果(暫定)
順位号車ドライバーマシンエンジン
141ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41Y SF14Honda
236アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM’S SF14TOYOTA
31石浦宏明P.MU/CERUMO・INGING SF14TOYOTA
419ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14TOYOTA
565ベルトラン・バゲットGREEN TEC/NAKAJIMA SF14Honda
62国本雄資P.MU/CERUMO・INGING SF14TOYOTA
78小林可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14TOYOTA
820関口雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14TOYOTA
934小暮卓史DRAGO CORSE SF14Honda
1064中嶋大祐GREEN TEC/NAKAJIMA SF14Honda
1118中山雄一KCMG Elyse SF14TOYOTA
1210塚越広大REAL SF14Honda
134ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14TOYOTA
147ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14TOYOTA
153ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14TOYOTA
1637中嶋一貴VANTELIN KOWA TOM’S SF14TOYOTA
1716山本尚貴TEAM 無限 SF14Honda
1811伊沢拓也REAL SF14Honda
1940野尻智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14Honda
シリーズランキング(筆者集計)
順位号車ドライバーマシンエンジンポイント
12国本雄資P.MU/CERUMO・INGING SF14TOYOTA33
236アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM’S SF14TOYOTA30
320関口雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14TOYOTA28.5
441ストフェル・バンドーンDOCOMO DANDELION M41Y SF14Honda27
51石浦宏明P.MU/CERUMO・INGING SF14TOYOTA27
637中嶋一貴VANTELIN KOWA TOM’S SF14TOYOTA22
716山本尚貴TEAM 無限 SF14Honda15.5
819ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14TOYOTA15.5
940野尻智紀DOCOMO DANDELION M40Y SF14Honda14.5
103ジェームス・ロシターフジ・コーポレーション KONDO SF14TOYOTA12
1110塚越広大REAL SF14Honda11
1264中嶋大祐GREEN TEC/NAKAJIMA SF14Honda10.5
1334小暮卓史DRAGO CORSE SF14Honda8
147ナレイン・カーティケヤンSUNOCO TEAM LEMANS SF14TOYOTA5
1511伊沢拓也REAL SF14Honda3.5
1665ベルトラン・バゲットGREEN TEC/NAKAJIMA SF14Honda4.5
178小林可夢偉SUNOCO TEAM LEMANS SF14TOYOTA1
-4ウィリアム・ブラーフジ・コーポレーション KONDO SF14TOYOTA0
-18中山雄一KCMG Elyse SF14TOYOTA0