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三菱自動車、益子CEOが「ランエボ」「パジェロ」次期モデル開発の可能性に言及

株主総会で言及。ルノー・日産アライアンスの力も借りて「いつか挑戦したい」

2017年6月23日 開催

ランサーエボリューション ファイナルエディション

 三菱自動車工業は6月23日、第48回定時株主総会を開催。この株主総会のなかで「パジェロ」「ランサーエボリューション」の次期モデルについて、同社取締役社長CEO 益子修氏が「いつか新しいパジェロやランサーエボリューションの開発に挑戦したい」との考えを示した。

三菱自動車工業株式会社 取締役社長CEO 益子 修氏

 益子氏は株主総会の質疑応答で予め寄せられた質問のうち、商品戦略についての回答の部分で「パジェロ」「ランサーエボリューション」に関して、「世界各国で厳しさが増す環境規制や燃費規制のため、販売可能なエリアが限られるようになってきた。選択と集中をすることが会社が生き残る道だ」と述べ、メインストリームはあくまで環境に配慮したクルマや自動運転に代表される安全に配慮したクルマとの方針を示した。

 しかし、一転して「夢は捨てたくありません」としっかりとした口調で述べると、同社の業績がV字回復して会社に余力が出てきたならば「今と全く同じクルマではないかもしれないが、いつか新しい『パジェロ』や『ランサーエボリューション』の開発に挑戦したい」と、2車種の開発の可能性を株主総会という正式な場で提示した。

東京都港区高輪の品川プリンスホテル アネックスタワーで開催された三菱自動車工業の第48回定時株主総会の模様。報道陣は別室のモニターからのみ取材を許された

益子CEOのスピーチの全文

 パジェロとランサーエボリューションに関する益子CEOのスピーチの全文は以下のとおり。本総会に関する詳細な模様は別の記事でお伝えする予定。


 パジェロとランサーエボリューションの復活はないのか?という声を多く頂いております。三菱自動車工業がこれまで生産・販売してきた多くの車種の中でも、パジェロとランサーエボリューションは最も知名度の高いクルマです。三菱自動車工業のブランドイメージを高めるのに大きな貢献をして参りました。世界各国で長年に渡り、多くのお客様に愛されてきた三菱自動車工業のブランドを代表するクルマでもあります。

 パジェロはダカールラリーでの戦いぶりを通して世界に通用するクルマになりました。ランサーエボリューションはWRCで活躍したことが認められ、多くの方に愛されてきました。三菱自動車工業の最大の財産の1つと言っても過言ではありません。パリ・ダカールラリーで活躍された増岡浩さんは、今でも三菱自動車工業の社員として三菱SUVのよさを世界中で語ってくれています。最近お会いしたアルピニストの野口健さんは、幼少時代をエジプトで過ごされたとのことですが、エジプトで日本に関する報道がまったくない中で、パジェロという名前だけはよく聞いたと仰っています。このパジェロを通して、日本や日本の技術に誇りを持つようになったというお話を聞かせてくださいました。

 パジェロとランサーエボリューションには、多くの社員や多くのお客様が愛着を持っています。パジェロとランサーエボリューションの技術は三菱自動車工業のSUVの中に数多く取り入れられ、大切な技術はしっかりと伝承され、他のクルマの中に生きています。

 一方で、ますます厳しくなる環境規制や燃費規制にも目を向けなければなりません。アメリカや欧州で採用されている高い規制が中国、中東、ASEANでも順次導入されています。パジェロとランサーエボリューションのようなタイプのクルマは次第に販売可能なエリアが限られるようになってきました。三菱自動車工業の規模では要求される全ての規制に対応し、多くの車種を開発していくことは現実的ではなく、思い切った選択と集中が会社が生き残るために必要な道です。今後、私共は環境に配慮したクルマ作り、自動運転に代表される安全に配慮したクルマ作りが開発のメインストリームになります。

 しかし、夢は捨てたくありません。V字回復を実現し、会社に余力が出てきた暁には、ルノー・日産アライアンスの力も借りて、今と全く同じクルマではないかも知れませんが、いつか新しいパジェロやランサーエボリューションの開発に挑戦したいという気持ちを持ってこれからも仕事をしていきます。

“会社の置かれた状況”と“捨てない夢”について、株主の皆さまにご理解頂ければ幸いです。

「パジェロ」現行モデル