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【SUPER GT 第4戦 SUGO】優勝はレクサス1号車「DENSO KOBELCO SARD LC500」、レクサス勢の4連勝に

“雨時々セーフティカー”の荒れた展開。GT300優勝は17位から大逆転した11号車 GAINER TANAX AMG GT3

2017年7月23日 開催

1号車「DENSO KOBELCO SARD LC500」(ヘイキ・コバライネン/平手晃平)

 SUPER GT 第4戦「2017 AUTOBACS SUPER GT Rd.4 SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが7月23日、宮城県のスポーツランドSUGOにおいて開催され、GT500は1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)が優勝。開幕戦からレクサス勢の4連勝となった。

 レースは序盤から降雨、セーフティカーが繰り返される波乱の展開で、3度目に出されたセーフティカーの時点でタイヤ交換を終えていた車両のみに勝負権が残るという”宝くじ”的なレース展開にだった。

 GT300クラスは11号車 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組、DL)が優勝した。

ドライタイヤ選択のギャンブルは大失敗で早々に勝負権消滅、序盤はホンダの1-2-3-4フォーメーション

決勝レーススタート

 雨、セーフティカー、雨、セーフティカー……まさにこれらの言葉が今回のレースを象徴するレースになった。決勝日の朝は、朝から雨が降ったり、やんだりという不安定な天気で、レース前のウォームアップ走行でも、雨が降ったり止んだりで各車ウェットタイヤで走る展開となった。その降ったりやんだりは、レース直前まで続くことになり、タイヤ選択が可能な5分前までは雨は降らず、今後路面は乾いていく方向だと予想されるまでになってきた。実際、各車ともグリッドでは、車にスリックを装着しながら、ウェットも隣に用意している状況。このため、各チームともスタート5分前までに大きく悩む展開となった。

大多数はウェットタイヤを選択

 結局グリッドの大多数はウェットタイヤを選択していたが、GT500では19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛/国本雄資組、YH)、24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)という2台のヨコハマタイヤ勢、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ヤン・マーデンボロー組、BS)、38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組、BS)というブリヂストン勢でも下位に沈んだ2台がギャンブルとしてドライタイヤを選択した。

 結論から言えば、これは大失敗。その5分前を切ってタイヤが選択できなくなってから雨が強くなり、ドライタイヤを選択した4台はGT500ながら、ウェットタイヤを履いたGT300に抜かれてしまう始末。それにより早々に周回遅れになり、最も上位にとどまれた12号車 カルソニック IMPUL GT-Rでも3週遅れとなってしまい、これらの車両はレーススタート時点から上位争いからは脱落してしまった。

17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)は、エンジンカウルがストレートで吹き飛んでしまった

 また、スタートしてすぐ、3位からスタートした17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)は、エンジンカウルがストレートで吹き飛んでしまうというトラブル、結局次の周にピットインしてガレージに入れられ、そのままリタイヤとなってしまった。

 レース序盤をリードしたのは、予選2位からスタートした100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/伊沢拓也組、BS)。ポールポジションからスタートした8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志組、BS)を1周目終わりのストレートオーバテイクしてトップにたったのだ。

 序盤はこの100号車を先頭に、16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)が2位、8号車が3位、そして10位スタートだった64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)が4位にとなり、リタイヤとなった17号車を除きNSXが1-2-3-4と上位を独占するという展開となった。しばらくはNSXーGT艦隊の編隊飛行が続いたのだが、17周目に8号車 ARTA NSX-GTが馬の背でスピンして、最後尾に落ちることになったため、NSXーGT勢は1-2-3でラップを続けた。

3度目のセーフティカーのタイミング前のドンピシャでピットインした1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500が優勝

セーフティカー導入が続いた

 レースが動いたのは28~30周目、16号車 MOTUL MUGEN NSX-GTが徐々にタイヤが厳しくなってきたのかタイムを落として64号車 Epson Modulo NSX-GTに3位に落ちていたのだが、さらに後続に抜かれ1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)が3位にあがり、その後も16号車は後続に抜かれて、同一周回の最後尾近くまで落ちることになった。

 レースは、トップ100号車が2位に15秒差をつけてトップを独走し、2位に64号車 Epson Modulo NSX-GT、3位に1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500、4位に6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)、5位に23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)、6位に46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)という順位に。

 そうした順位でレースが戦われているなかで、まもなくレースが半分になるという40周目に24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rが最終コーナーでクラッシュし、その車を排除するためにセーフティーカーが導入された。それにより、2位に15秒差をつけていた100号車 RAYBRIG NSX-GTは、せっかく築いたリードが0になり、レースは再び振り出しに戻った。

 このセーフティカーがピットに戻ってレースが再開するのと同時に1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500、46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R、6号車 WAKO'S 4CR LC500、8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志組、BS)などがピットに入るが、1位の100号車 RAYBRIG NSX-GT、64号車 Epson Modulo NSX-GT、23号車 MOTUL AUTECH GT-R、36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組、BS)はピットに入らずステイアウトする。それらのトップ車両は1周回って来たところで、6号車、8号車などは周回遅れにするが、1号車と46号車を周回遅れにする前になんと今日3度目のセーフティカーが出される。

 これにより、セーフティカーが入ると行なわれる整列作業(SUPER GT独自のルールで、GT500、GT300の順に整列作業が行なわれ、同一周回車両のタイム差がほぼなくなること)により、まだピットに入っていない100号車、64号車、23号車、36号車のすぐ後ろに、1号車、46号車がつくことになり、ピットに入っていない4台に対して実質1周近い差をつけて優勝争いは事実上この2台に絞られることになった。セーフティカーが入ったタイミングで1号車と46号車は圧倒的に得をしたが、100号車以下はこれにより実質的に1週遅れとなってしまい、勝負権を失うという明暗がくっきり分かれる結果となった。

 52周目にセーフティカーがピットに入ると、100号車、64号車、23号車、36号車がピットに入りピットアウトするが、タイヤが暖まっていないそれらの車は6号車 WAKO'S 4CR LC500、8号車 ARTA NSX-GTなどに抜かれ、ずるずると後退していく結果になってしまった。その意味でも3回目のセーフティカーがでたタイミングは上位にいた車にとっては悪夢のような展開だったと言ってよい。

6号車「WAKO'S 4CR LC500」(大嶋和也/A.カルダレッリ選手)

 最後の10周は、1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500と46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-Rのマッチレース。特に最後の5周はは1秒差以下になり、平手晃平選手と本山哲選手によるデッドヒートが展開された。特にファイナルラップは、強い雨が急に降ってきたこともあり、SPコーナーで両車がコースアウトし、戻ってきたところで接触。しかし、1号車を操る平手選手はギリギリコントロールし、トップのままチェッカーを受け、レクサスは開幕戦以来、無傷の4連勝を実現した。2位の46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは、日産勢としては今季初表彰台となった。3位はセーフティーカーのタイミングで1周遅れ勢のトップとなった6号車 WAKO'S 4CR LC500。

1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500
46号車「S Road CRAFTSPORTS GT-R」(本山哲/千代勝正)
GT500クラス表彰台
GT500 結果表
順位カーナンバー車両ドライバータイヤウェイトハンデ周回数タイム
11DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/平手晃平BS30812:09'13.878
246S Road CRAFTSPORTS GT-R本山哲/千代勝正MI16812:09'14.900
36WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/A.カルダレッリBS60802:09'15.180
423MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI36802:09'15.486
58ARTA NSX-GT野尻智紀/小林崇志BS6802:09'19.425
616MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH4802:09'42.727
736au TOM'S LC500中嶋一貴/ジェームス・ロシターBS64802:09'44.064
864Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮DL -802:10'18.932
9100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/伊沢拓也BS34792:08'18.807
1037KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディBS72792:09'51.717
1112カルソニック IMPUL GT-R安田裕信/ヤン・マーデンボローBS14782:09'52.390
1219WedsSport ADVAN LC500関口雄飛/国本雄資YH18772:10'01.370
1338ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS60762:10'19.478
R24フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R佐々木大樹/J.P.デ・オリベイラYH6341:01'22.127
R17KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史BS36203'06.487
GT500 ポイントランキング表
順位カーナンバードライバーポイント
16大嶋 和也/アンドレア・カルダレッリ41
237平川 亮/ニック・キャシディ37
31ヘイキ・コバライネン/平手 晃平35
436ジェームス・ロシター32
538立川 祐路/石浦 宏明30
636中嶋 一貴30
723松田 次生/ロニー・クインタレッリ26
846本山 哲/千代 勝正23
9100山本 尚貴/伊沢 拓也19
1017塚越 広大/小暮 卓史18
118野尻 智紀/小林 崇志10
1219関口 雄飛9
1319国本 雄資8
1416武藤 英紀/中嶋 大祐7
1512安田 裕信/ヤン・マーデンボロー7
1636伊藤 大輔6
1764ベルトラン・バゲット/松浦孝亮3
1824佐々木 大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ3
1919山下 健太1

GT300の3度目のセーフティカーのタイミングでトップと同一周回に留まっていた11号車 GAINER TANAX AMG GT3が優勝

GT300クラスのスタート

 GT300に関しても、GT500と同じように、降雨、セーフティーカーが3度も出動するという大混乱なレースになった。レース序盤はポールポジションからスタートした25号車 VivaC 86 MC(松井孝允/山下健太組、YH)がレースを支配した。

25号車「VivaC 86 MC」(松井孝允/山下健太)

 2位からスタートした18号車 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/川端伸太朗組、YH)がそれに続くかと思われたが、1回目のセーフティカーのリスタートで18号車はGT500のスリックタイヤを履いていた車両と接触し、大きく後退して優勝争いから脱落する展開になってしまった。

 しかし、徐々に雨が強くなってくると、25号車などヨコハマタイヤを履いた車両は徐々にパフォーマンスに低下が見られ、急激にダンロップタイヤやブリヂストンタイヤを履いたチームが上位に上がってきた。中でもブリヂストンタイヤを履いた65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)が一気に上位に上がってきて、25号車からトップを奪う展開に。その後同じくブリヂストンタイヤを履く51号車 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3’中山雄一/坪井翔組、BS)が25号車を抜き2位に浮上するなど、序盤にはブリヂストンタイヤを履いた車両のウエットでの高いパフォーマンスが目立つレースになった。

 これでトップの5台は1位65号車、2位51号車、3位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)、4位 50号車 Ferrari 488 GT3(都筑晶裕/新田守男組、YH)、5位 11号車 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組、DL)となり、6位の4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)以下が周回遅れとなったところで、3回目のセーフティカーが入ることになった。

 この時点で1位~3位まではまだピットストップを行なっておらず、6位の4号車以降はピットストップを行なっているが周回遅れになっており、既にピットストップを行なっているのにギリギリ同一周回に留まっていた50号車と11号車が一気に有利になるという展開に。実際65号車、51号車、50号車がピットストップを行なってみると、トップになった50号車と11号車だけが同一周回という展開になって、レースの行方はこの50号車と11号車の2台による争いへと絞られた。

50号車「Ferrari 488 GT3」(都筑晶裕/新田守男)

 レース終盤に11号車が、50号車をオーバテイクすると、順位はほぼそれで確定し、そのまま11号車 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組、DL)が優勝した。同車の優勝は2014年まで遡り、車両を現在のメルセデス・ベンツに換えてからは初めての優勝。

 11号車は予選では17位と低迷しており、そこから追い上げての大逆転優勝。2位は50号車 Ferrari 488 GT3、3位はレース終盤に4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)をオーバテイクしかえした25号車 VivaC 86 MCが獲得した。

11号車「GAINER TANAX AMG GT3」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)
GT300クラス表彰台
GT300結果表
順位カーナンバー車両ドライバータイヤウェイトハンデ周回数タイム
111GAINER TANAX AMG GT3平中克幸/ビヨン・ビルドハイムDL30772:10'06.496
250Ferrari 488 GT3都筑晶裕/新田守男YH-772:10'13.765
325VivaC 86 MC松井孝允/山下健太YH58762:09'19.969
44グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH54762:09'20.168
560SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田章/吉本大樹YH6762:09'20.342
631TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/久保凜太郎BS2762:09'28.667
765LEON CVSTOS AMG黒澤治樹/蒲生尚弥BS46762:09'34.635
83B-MAX NDDP GT-R星野 一樹/高星 明誠YH22762:09'44.971
961SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL30762:09'46.598
109GULF NAC PORSCHE 911ジョノ・レスター/峰尾恭輔YH24762:10'12.495
11360RUNUP GT-R柴田優作/青木孝行YH-762:10'22.428
125マッハ車検 MC86 GTNET坂口夏月/藤波清斗YH6762:10'27.821
1351JMS P.MU LMcorsa RC F GT3中山雄一/坪井翔BS56762:10'29.332
1452埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC番場琢/脇阪薫一YH-762:10'49.017
1533D'station Porsche藤井誠暢/元嶋佑弥YH34762:11'16.157
167Studie BMW M6ヨルグ・ミューラー/荒聖治YH24752:09'43.226
1718UPGARAGE BANDOH 86中山友貴/川端伸太朗YH4742:10'43.247
1826TAISAN SARD R8 FUKUSHIMA山田真之亮/ジェイク・パーソンズYH-732:10'39.588
1987ショップチャンネル ランボルギーニ GT3細川慎弥/佐藤公哉YH16722:09'31.769
2021Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/柳田真孝DL-712:09'51.751
2110GAINER TANAX triple a GT-R富田竜一郎/吉田広樹DL10702:01'41.118
2248植毛 GT-R高森博士/田中勝輝YH-682:12'07.173
2330TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太YH-612:09'29.304
R2シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH-481:32'33.373
R55ARTA BMW M6 GT3高木真一/S.ウォーキンショーBS34451:19'08.511
R111エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT石川京侍/山下亮生YH-382:08'13.638
R88マネパ ランボルギーニ GT3織戸学/平峰一貴YH-2658'11.423
R35ARTO 86 MC 101N.ジャルーンスルカワッタナ/N.ホートンカムYH-407'18.616
GT300のポイントランキング表
順位カーナンバードライバーポイント
125松井 孝允/山下 健太41
211平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム35
34谷口 信輝/片岡 龍也35
451中山 雄一/坪井 翔28
565黒澤 治樹/蒲生 尚弥27
661井口 卓人/山内 英輝17
755高木 真一/ショーン・ウォーキンショー17
833藤井 誠暢17
950都筑晶裕/新田守男15
103星野 一樹/高星 明誠14
1133スヴェン・ミューラー13
129ジョノ・レスター/峰尾 恭輔13
137ヨルグ・ミューラー/荒 聖治12
1460飯田 章/吉本 大樹9
1587細川 慎弥/佐藤 公哉/元嶋 佑弥8
1631嵯峨 宏紀/久保 凜太郎6
1710富田 竜一郎/吉田 広樹5
1833アンドレ・クート4
195坂口 夏月/藤波 清斗3
2018中山 友貴/川端 伸太朗2