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【SUPER GT 第6戦鈴鹿】サーキット専用気象情報配信サービス「サーキットライブウェザー」記者発表会

SUPER GTを開催する6つのサーキットを収録。アプリ版はiOSとAndroidに配信、プロ版はWebブラウザで利用可能

2017年8月26日~27日 開催

サーキット専用気象情報配信サービス「サーキットライブウェザー」(アプリ版の画面)

 千代田組は、SUPER GT 第6戦 第46回インターナショナルSUZUKA 1000km "SUZUKA 1000km THE FINAL"が開催されている三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット内において記者会見を開催し、同社とシンクマークが開発したIoT(Internet of Things)を活用したサーキット専用気象情報配信サービス「サーキットライブウェザー」を開始したことを明らかにした。

 サーキットライブウェザーは、明星電気が提供している超高密度気象観測・情報提供サービスのPOTEKA(ポテカ)を活用しているIoT(Internet of Things)サービス。POTEKAは小型気象計を設置し、それを利用して各種天候データ(気温、湿度、気圧、風速、日射、雨量など)を計測し、3G回線を活用してそのデータをクラウドサーバーに格納する仕組みになっている。そのデータをビッグデータとして活用して天候を予測したりや、過去のデータを抽出して分析に活用したりできる。既に各サーキットに設置が始まっており、鈴鹿サーキットではスプーンカーブとメインストレートの2カ所に設置されている。

 スマートフォン(iOS版とAndroid版)向けのアプリ版、PCなどのWebブラウザで活用できるプロ版の2種類のサービスが用意されており、現在は試験運用中で試験運用中はどちらも無料で利用できる。

関係者が集まって記念撮影。左からシンクマーク株式会社 代表取締役 大橋逸夫氏、鈴鹿市 副市長 亀井秀樹氏、株式会社千代田組 代表取締役社長 栗田栄次氏、株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏、株式会社モビリティランド 取締役 モータースポーツ担当役員 井戸川靖氏

千代田組とGTAが協力して、サーキットや地方自治体も巻き込んでサービスを構築

 記者会見には、千代田組 代表取締役社長 栗田栄次氏、GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏、鈴鹿市 副市長 亀井秀樹氏、モビリティランド 取締役 モータースポーツ担当役員 井戸川靖氏、シンクマーク 代表取締役 大橋逸夫氏の5名が出席して行なわれた。今回のサーキットライブウェザーの事業主体は千代田組になるが、シンクマークの大橋氏がプロデューサーとして協力する形になっており、GTAはコミニケーションパートナーとして協力する形になっているのだ。

株式会社千代田組 代表取締役社長 栗田栄次氏
サーキットライブウェザーが利用できるサーキット

 千代田組の栗田社長は「弊社は創業108年の企業だが、変化が激しい経済状況の中で新規事業にも積極的に取り組んでおり、サーキットライブウェザーはその一環。GTA、シンマーク、モビリティランド、鈴鹿市など関係各所の協力で実現したことに感謝したい。現在はテスト運用期間ですが、iOSやAndroid、プロ版などを用意しており、他のサービスとの大きな違いは地域のデータだけでなく、サーキットの状況をリアルタイムに把握でき、スマートフォン版はファンがレース観戦に使ったり、サーキットでイベントを行なうユーザーに役に立つと考えている」と述べ、同社の新規事業としてこうした事業に取り組んでいくと説明した。

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 コミニケーションパートナーとして協力することになるGTAの坂東代表は「GTAはコミュニケーションパートナーとして協力していく。前回のスポーツランドSUGOでも、SPコーナーだけ雨が降っていて46号車と1号車の最後のバトルを演出するなど天候はレースに大きな影響を与えている。またサーキットだけでなく、ゲリラ豪雨、雷など防災の観点でも意味があり、その観点で行政の方にも一緒に取り組んで頂いている。鈴鹿市には小学校に15カ所、隣の津市で12カ所、また御殿場市と小山町にもご協力いただいている。小山町の町長には、町内に設置されているスピーカーを利用すると洗濯をしまえということを伝えられると町長の株も上がるぞと提案したりした(笑)。行政の側にも、防災などの活用ができるので、今後どんどん活用していきたい」と述べ、千代田組やシンマーク、さらに行政と協力することでこうした取り組みを盛り上げていきたいと説明した。

鈴鹿市 副市長 亀井秀樹氏
鈴鹿市と千代田組は協定を締結

 鈴鹿サーキットの地元自治体として協力することになる、鈴鹿市の亀井副市長は「本市は千代田組との間でPOTEKAの設置および運用に関する協定を締結した。今後詳細な気象情報取得が可能になるので、それを気象情報や防災に役立てていきたい。本市は済む人にも訪れる人にも快適でモータースポーツ都市宣言をしており、この取り組みもそれにそったものとなる」と述べ、サーキットライブウェザーがサーキットを訪れるファンなどに役立つサービスになることに期待感を表明した。また、富士スピードウェイの地元自治体となる小山町の町長、隣接する御殿場市の市長からも期待感を表明するコメントが寄せられ紹介された。

アプリ版やプロ版の試験サービスが既に開始、今日の鈴鹿1000kmのレースから利用することができる

シンクマーク株式会社 代表取締役 大橋逸夫氏

 その後、プロデュースを担当したシンマークの大橋氏から、サービスの概要などが紹介された。大橋氏によれば、サービスは大きく分けてアプリ版とプロ版があり、前者が一般のファン向け、後者がエンジニアなどのプロフェッショナルユーザー向けというように分類されるという。だし、「将来的にはプロ用は有料課金のモデルを考えている。アプリ版に関しては広告型なのか、サブスクリプション型なのかはこれから検討する。データがたまるまでの試験期間に関してはどちらも無料で提供する」(大橋氏)との通りで、将来的には何らかの形で有料ないしはアプリに広告を表示するなどの形を検討しているが、試験期間に関してはアプリ版、プロ版ともに無償で利用できる。

 プロ版に関しては、PCなどのWebブラウザからユーザー登録を行なうことで利用することが可能だ。筆者が実際に同サービスのWebサイト(pro.clweather.com)から試したところ、実際には申請を行なってからサービス側から認証を受ける必要があるので、誰でも使えるという状況ではないようだ。これに対して、アプリ版に関してはAppleのiOS、GoogleのAndroidに用意されているそれぞれのアプリストアからアプリをダウンロードすれば、登録などは必要なく、こちらの方は文字通りアプリのダウンロードさえできれば誰でも利用することができる。iOSないしはAndroidのアプリストアでサーキットライブウェザーをキーワードにして検索すればすぐ見つかるだろう。

大橋氏が紹介したプロ版の画面

 大橋氏によれば、スポーツランドSUGO、ツインリンクもてぎ、富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、岡山国際サーキット、オートポリスという6つのSUPER GTが開催されているサーキットが登録されており、メニューから希望のサーキットを選ぶことで、各種の気象情報にアクセスすることができる。

 表示されるのは気温、湿度、気圧、風速、日射、雨量などで、プロ用の場合には小型気象計が設置されてから現在までのデータを閲覧することができるという。大橋氏によれば、現時点では鈴鹿サーキットには2つの小型気象計、具体的にはスプーンカーブの内側と、メインストレートのコントロールタワーの屋上の2カ所に設置されているそうで、そのセンサーが取得した各種のデータを表示することができ、かつユーザーのPCにダウンロードすることができる。POTEKAの場合、データは常に3G回線を通じてクラウドへアップロードされており、クラウド側ではそのデータをビッグデータとして扱って、データ解析を行なうことでより精度の高い天気予報を行ない、それをリアルタイム情報としてプロ版の画面に表示することができるという。

iOS版の画面で鈴鹿サーキットを見ているところ
Android版の画面で鈴鹿サーキットを見ているところ

 なお、アプリ版ではプロ用とは異なり温度、日射、雨量などのデータを短時間を6時間前まで遡って見ることができる。基本的にレース当日の情報を見るという位置づけのようで、過去のデータなどを参照したい場合には、プロ用を使って欲しいということのようだ。それでもリアルタイムの情報はわかるようになっているので、例えば雨量の情報を確認すれば、スプーンでは降っているけど、ストレートでは降っていないという状況の時にストレートにいながらスプーンで雨が降っているかなどを確認することが可能になる。特に雨がらみのレースに成るときなどはこれは結構楽しめるのではないだろうか。もちろん、今日の鈴鹿1000kmレースの決勝レースでも利用が可能になっており、興味があるユーザーはアプリ版をダウンロードしてみるといいだろう。

 大橋氏によれば、試験運用は既に始まっており、プロ用は登録すれば(実際には運営側の承認が必要だが)利用可能、アプリ版はダウンロードすれば利用可能になっている。本サービスの開始は来年度を現時点では計画しているそうだが、現時点では正確な日程は未定とのことだった。