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デンソー、東北大、筑波大など、レアアースフリーとなるFeNi超格子磁石材料の高純度合成に世界初成功
工業的な生産に適したNITE法を考案
2017年10月18日 15:55
- 2017年10月18日 発表
デンソー、東北大学、筑波大学の産学連携グループは10月18日、レアアース(希土類元素)を使用しないFeNi超格子磁石材料の高純度合成に世界で初めて成功したと発表した。
これはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクト「次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発」において行なわれたもので、FeNi超格子磁石は高い磁石性能が期待され、今回の成果は高性能レアアースフリー磁石の実用化を前進させるものとしている。
FeNi超格子は、Fe原子層とNi原子層が規則的に積層された結晶構造で、結晶の規則度が高いほど高い磁石特性が期待できる。また、ネオジム磁石に匹敵する磁力を持ち、磁力を失うキュリー温度が550℃以上と高いため、高温が想定される車載モーター用磁石として期待されている。
今回、FeNi超格子磁石の合成方法として、規則化した安定中間物を経由した規則合金形成プロセスであるNITE(Nitrogen Insertion and Topotactic Extraction)法を新たに考案。
NITE法では、原料であるFeNiランダム合金の粉末を窒化することで、規則化したFeNi窒化物を合成し、その後、規則構造を壊すことなく窒素原子を引き抜くトポタクティック脱窒素により、短時間で高い規則度のFeNi超格子を得ることができるとしている。
具体的には、窒化はアンモニアガスとの反応、トポタクティック脱窒素は水素ガスとの反応によって行なわれ、これらは非常にシンプルなプロセスであることから、工業的な生産に適しているとしている。
今後は、FeNi超格子磁石材料のモーター用永久磁石への適用を目指して、高い性能を引き出す材料形状や成形法を検討していくとしている。