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【フォーミュラE 第1/2戦 香港】アウディ ジャパン代表取締役社長 斎藤徹氏に、フォーミュラEへのアウディワークス参戦について聞く

「クルマ好きをどれだけ増やしてくれるか楽しみ」

アウディのフォーミュラE用新型車両「e-tron FE04」と、アウディ ジャパン株式会社 代表取締役社長 斎藤徹氏

 12月2日に中国 香港の市街地特設コース「香港セントラル ハーバーフロント サーキット」に開幕した、世界シリーズ「FIA フォーミュラE選手権」(以下、フォーミュラE)の2017/2018年シーズン。

 アウディはこの香港で新型車「e-tron FE04」をお披露目し、そのお披露目会場を訪れていたアウディ ジャパン代表取締役社長 斎藤徹氏に、アウディがアウディスポーツというワークス体制で参戦することについての期待を聞いてみた。


アウディスポーツ代表 ディーター・ガス氏(左)と語る斎藤社長(右)

──フォーミュラEは香港で開幕戦を迎えますが、アウディ ジャパンとしてアウディのワークス体制参戦をどう捉えていますか?

斎藤社長:アウディは昔からレースの技術を市販車にフィードバックすることをやってきています。WRCでのクワトロ、ル・マンのTFSIやTDI、ハイブリッドなど。これからアウディが電気自動車を市販車として出していくときに、そのときにレースの世界で電動車の技術を養って市販車にフィードバックしていく。アウディのモータースポーツへの向き合い方は一貫しており、そこが非常に大事なところだと思います。

──斎藤社長自身は、フォーミュラEを見たことがありますか?

斉藤社長:僕自身は生でフォーミュラEを見るのは初めてになります。もちろんテレビでは見ていますが、(F1と比べて)音はしないし、遅い部分もあるし。サーキットが市街地になりますが、市街地には(通常のサーキットととは)別の楽しさがあると思い、それが楽しみです。

──アウディチーム監督のアラン・マクニッシュ氏に先ほどお話しをうかがったら、「市街地でやることに意味がある」と言っていました。その辺りについては

斎藤社長:(市街地でやることは)サーキットと比べて、非常にアプローチしやすいし、エンタテイメント性も高くなると思います。サーキットだと本当にモータースポーツが好きな人が行く場所というイメージですが、市街地のレースのためすぐにアクセスできますし。そういう意味ではコアなモータースポーツファン層だけでなく、一般の人の目も向けることができるという意味ではおもしろいことだと思います。

──それはアウディ車の販売においても意味をもってくることですか?

斎藤社長:やはり、モータースポーツはクルマの持っているエモーショナルな部分をお客さまに感じ取ってもらう非常に大きな役割を果たしています。それがともすれば、モータースポーツをよく知ったファンしかフォローしなくなるということもあります。このフォーミュラEは市街地レースのため、今までモータースポーツを知らなかった人たちが、敷居が低くなったことによって関心を持ってくれる。そういう風になってくれれば、新しいファン層が広がって、それがクルマに対する関心を高めてくれる。そういう意味でも、クルマ好きをどれだけ増やしてくれるか、クルマに対する関心を上げていく上でどれくらいの役割を果たしてくれるか楽しみです。

 電気自動車のレースは音もないし、「ちょっと迫力ないんじゃないの?」ということになるかもしれませんが、市街地のレースはドラマもあるだろうし、いろいろな形で迫力のあるレースを提供してくれるのではないかと思っています。

 この新しいレースフォーマットが、若い人たちの魅力になってくれればいいと思っています。アウディも日本では50代が購買層の中心なのですが、これから顧客層を広げていく上では、若い人たちを引きつけていく必要があるので、このレースがそういう部分を助けてくれればよいかなと思っています。

──アウディジャパンとしては日本での開催についてどのように考えていますか?

斎藤社長:実現したらいいですよね。それころ市街地ですから、東京でやるのかどこでやるのか分かりませんけど、すごく注目が高くなるでしょうから、盛り上がるのではないでしょうか。F1は、日本で市街地のレースをしたことがなく、これが(フォーミュラEレースが)実現すれば初めての日本での市街地レースということで注目が集まると思います。日本のメーカーも参戦することを決めたようですし、盛り上がっていくと思います。

 ル・マン24時間レースを含むWEC(世界耐久選手権)が毎年富士に来てくれていて、アウディが参戦していたのですが、アウディファクトリーの(WECへの)参戦がなくなったので、アウディファクトリーが日本で参戦するレースがなくなっています。そういう意味でも、日本でフォーミュラEが開催されることになれば、アウディのワークスチームがやってくることになるので、ぜひ日本に来てほしいですよね。

──フォーミュラEにワークス参戦するなどの取り組みが続いていくと、アウディの市販車に対しても電動化の期待が高まると思うのですが

斎藤社長:アウディはe-tronという形で参戦しており、e-tronは電気自動車のブランドネームなので、それを広めていく上でもこのレース、このチーム、このクルマが認知度上げていく役割を果たしてくれると思います。

──アウディジャパンとしても、日本でe-tronのシェアを高めていきたいと考えていますか。具体的なプランなどを

斎藤社長:2019年に第1弾の電気自動車、e-tronを出します。その後、第2、第3のと電動車のラインアップを広げていきます。2020年~2025年にかけて。それと足並み揃えて、このレースで結果を出していく。アウディのファクトリーチームは非常に強いので、きちっと本腰を入れてリソースを投入すれば勝ちます。ル・マン24時間レースの13勝でないですが、勝てるチームだというのは信じていますから、プロだというのをこの選手権でも証明していきます。

 ディレクターもル・マンで勝ってきたDr.ウルリッヒから、新しい世代のディーター・ガスに変わります。新生のチームとなりますが、アウディという会社にはモータースポーツのスピリットが根付いていますから、新しい世代のチームでも間違いなく結果を出してくれます。

ワークス体制の参戦となり、結果が求められるアウディスポーツチーム。ルーカス・ディ・グラッシ選手、ダニエル・アプト選手という体制で、シーズンを戦っていく