東京モーターショー2013

佐藤琢磨選手がFIA Formula Eの開発ドライバーに就任

Formula E車両を東京モーターショーでアジア初公開

Formula E車両
東京ビッグサイト 西ホール 4階

会期:11月20日~12月1日(一般公開日:11月23日~12月1日、プレビューナイト:11月22日17時30分~)

 11月20日、電気自動車のフォーミュラカーレースとなるFIA Formula E選手権を2014年より展開するFormula E Holdingsは、東京モーターショーの会場で記者会見を開催し、アジアでは初めてFormula Eのレース車両を公開した。

 Formula Eは、ダララが製作したシャシーに、マクラーレン製のモーター、ウィリアムズ製のバッテリーを搭載した電気フォーミュラカーを利用して、2014年の9月から世界10都市でレースが行われる予定になっており、世界規模で開催されるレースとしては初めての電気自動車レースとなるだけに注目を集めている。

 このFormula Eには、2006年~2008年にF1に参戦したSUPER AGURIが復活参戦することを表明しているなど、日本での興味も徐々に高まっている。東京モーターショーの記者会見ではそれに加え、インディカーシリーズに参戦している佐藤琢磨選手が、開発ドライバー兼アンバサダーとしてかかわっていくことが明らかにされた。

電気自動車のフォーミュラカーを使用して、2014年~2015年に世界10都市で開催

 FIA Formula E車両の開発にはルノーもかかわっており、スマートフォンのSoCではトップシェアを誇る米Qualcommが充電システムなどで協力をするという。シリーズが開催されるのは、中国の北京や、米国のロサンゼルス、イギリスのロンドンといった10つの大都市の市街地コース。2014年の9月から2015年にかけて最初のシーズン戦が行われる予定だ。

 Formula E Holdingsのマネージング・ダイレクター アルベルト・ロンゴ氏は「Formula Eは最初の世界規模で行われる電気自動車のレースとなる。競争とエンターテインメントを提供することで、電気自動車技術の発展にも寄与したい」と述べ、Formula Eの目的は単なる興行だけでなく、技術の研究にもあると説明した。さらに、Formula Eのターゲットとなる観客を現在のモータースポーツを視聴している層よりも若年層に置いているとし、「ライブでレースにバーチャルに参加できる仕組みを構築していきたい。視聴者はゲームを利用して、現在開催されているレースに参加できるようになる。また、プッシュツーパスの機能を用意しており、SNSにより応援が沢山集まったドライバーにはエクストラパワーが使えるようにする仕組みなども投入したい」と、SNSやゲームなどを通じてレースに参加できるなどの、新しい試みが行われるようだ。

Formula E Holdings マネージング・ダイレクター アルベルト・ロンゴ氏
Formula Eの開催予定地
Formula Eのレース車両
タイヤはフランスのミシュランがワンメイク供給する
サイドポンツーンには、半導体メーカーのQualcommのロゴが、Qualcommはテクニカルパートナーとして参画している

佐藤琢磨選手が開発ドライバーに就任、期待高まる佐藤選手のシリーズ参戦

記者会見に登場した佐藤琢磨選手

 レースに参加するのは、10チームで、その中にはアンドレッティレーシングや、ドラゴンレーシングなど、インディカーシリーズの強豪チームも含まれている。また、日本のファンにとっては嬉しいことに、2006年~2008年にF1に参戦していた、鈴木亜久里氏率いるSUPER AGURIもこの中に含まれている。実際のオペレーションは、代表となるマーク・プレストン氏(SUPER AGURI F1 Teamでテクニカル・ダイレクタ-を努めていた)などイギリス側のスタッフが行うことになるが、日本国籍のチームとなることは違いなく、ドライバーも日本から抜擢されることが期待されていた。

予定されているSUPER AGURIチームのカラーリングはF1参戦時を彷彿とさせるモノに

 今回Formula E Holdingsは、そのSUPER AGURIのドライバー候補筆頭と考えられていた、現インディカー・シリーズのドライバーである佐藤琢磨選手を、開発ドライバー兼アンバサダーに任命したことを明らかにした。佐藤選手は今後、Formula Eの車両をテストしたり、今回の発表会のようなイベントでFormula Eの魅力などについて語っていくことになる。

 佐藤選手は「今回開発ドライバーとしてかかわれるチャンスをいただいたことは嬉しい。まだ車には乗っていないが、ゼロから大きなトルクがでることなどこれまでのレーシングカーとは大分違ったモノになると考えている。初年度は日本ラウンドは組み込まれていないが、早いうちに日本でも開催してっほしい」と、その抱負を語ってくれた。

Formula Eには10チームが参画する予定、その中には日本のSUPER AGURIの名前も

 なお、ファンとしては佐藤選手が実際にシリーズに参戦するのかが気になるところだが、「現時点では僕自身が参加するかどうかは何も決まっていないが、開幕に向けて体制を作っていきたい」(佐藤選手)と述べ、参戦する可能性を模索していると、前向きな姿勢を示した。実際にアンドレッティレーシングや、ドラゴンレーシングなどインディカーのチームがでていることからも分かるように、Formula Eはインディカーのシーズン終了後に行われることになっており、インディカーと掛け持ちでFormula Eにでることは充分に可能だ。SUPER AGURIがチームとして出るとすれば、佐藤選手の出場に期待するなという方が無理があり、佐藤選手自身が前向きな姿勢を示したことは、日本のファンとしては次の動きに期待したいところだ。

 なお、今回アジアで初めて公開されたFormula Eの車両は、東京モーターショーで展示される予定になっている。

笠原一輝