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ベントレー、W型12気筒6.0リッターツインターボ+8速DCTの新型「コンチネンタル GT」発表会

「今後数年にわたって屋台骨となっていく非常に重要なモデル」

2017年12月19日 開催

12月19日に日本初公開された新型「コンチネンタル GT」

 ベントレーモーターズジャパンは12月19日、第3世代となる新型「コンチネンタル GT」を発表し、都内で発表会を実施した。新しいコンチネンタル GTは9月のフランクフルトモーターショーで世界初公開され、強化版のW型12気筒6.0リッター直噴ツインターボチャージドエンジンに初採用となる8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせて4輪を駆動。価格は2530万円となり、日本市場でのデリバリー開始は2018年第3四半期を予定している。

 本稿では発表会で実施されたベントレーモーターズジャパン 代表のティム・マッキンレイ氏、ベントレーモーターズジャパン マーケティング・PR・アカデミー マネージャーの横倉典氏によるプレゼンテーションの内容を紹介する。なお、日本夏公開された新しいコンチネンタル GTの内外装については、関連記事の「ベントレー、3世代目『コンチネンタル GT』の日本初公開車両を写真で紹介」を参照していただきたい。

発表会内のアンベールで第3世代となる新型コンチネンタル GTを日本初公開
ベントレーモーターズジャパン 代表 ティム・マッキンレイ氏

 発表会ではまず、ベントレーモーターズジャパン 代表のティム・マッキンレイ氏が登壇。マッキンレイ氏は「2017年はベントレーモーターズジャパンにとっても素晴らしい1年になりました。とくに、新しい『ベンテイガ』の発売や、先のフランクフルトショーで新型『コンチネンタル GT』が発表されたことです。4月には『ベントレー神戸』がオープンし、我々の正規販売ネットワークが強化されています。ベントレーモーターズジャパンの日本での販売は、今年度も400台を超えることが見込まれています。また、2018年は新型コンチネンタル GTが導入され、さらなる販売ネットワークの拡大も予定されており、我々のビジネスは継続的に成長していくことが予想されます」と2017年の振り返りと今後についてコメントした。

 また、「今日はベントレーにとって決定的な1日になることでしょう。未来を見据えた新しいラグジュアリーグランドツーリングカーの新たな基準できるからです。究極のエクストラオーディナルなデザインを備え、機能性と一体となったクルマをご紹介できることになりました。エンジニアリングやデザインなどのすべてが英国で行なわれたこのクルマは、ベントレーのマイルストーンとなったのです。このクルマは『ラグジュアリーグランドツアラー』というジャンルを確立したクルマとなっています」。

「コンチネンタル GTは、この14年間で競合車に対するベンチマークとなっており、さらに新しいモデルを紹介できることを非常に誇らしく思います。私たちのコアバリューであるラグジュアリー、パフォーマンス、そしてクラフトマンシップがこのクルマの至るところから感じられると思います。私たちはエクストラオーディナルを追求し続けます。それがベントレーをユニークな存在にするからです」とマッキンレイ氏は語っている。

ベントレーモーターズジャパン マーケティング・PR・アカデミー マネージャー 横倉典氏

 マッキンレイ氏に続いて登壇したベントレーモーターズジャパン マーケティング・PR・アカデミー マネージャーの横倉典氏は、スライド資料などを使って新しいコンチネンタル GTについて解説を実施。

 横倉氏はまず、2003年に初導入されたコンチネンタル GTの歴史について語り、グランドツアラーとしての高い性能に加え、「2000万円を切る価格でベントレーが買える」ということで好評を得たと説明。2011年から販売を開始した2代目モデルでは初代モデルのユーザーから寄せられた要望を盛り込み、よりスポーティでスタイリッシュになり、実用性や環境性能などを兼ね備えたモデルに進化したと解説。走行面では4輪駆動の前後トルク配分を、初代の50:50から40:60と少しリア寄りに変更し、ボディパネルに「スーパーフォーミング」という技法を使い、アルミパネルを使いつつグラマラスなボディに仕上げたと語り、環境面では新たにV型8気筒モデルの導入でCO2排出量を大きく抑えたことなどを紹介した。

 3代目となる新型コンチネンタル GTでは「よりラグジュアリーに、スポーティに」を基本コンセプトに開発を実施。エクステリアデザインでは2代目と同じくスーパーフォーミングでアルミパネルを加工を採用し、デザインのインスピレーションをジェット機や戦闘機、近代的な建築物などをヒントとして、より力強く精緻なイメージを与えているという。ボディパネルは、アンテナ類を収納して電波を通す必要があるトランクリッドだけはコンポジット素材を使っているものの、それ以外の部分はすべてアルミニウム製を採用。これによって重量が85kgほど軽量化できてスポーティな走行性能の実現にも寄与していると横倉氏は語る。

 また、デザインのキーワードとして「ワイド&ロー」という言葉を使っているが、実際には4850×1954(ミラー閉)×1405mm(全長×全幅×全高)というボディは、先代モデルより全長が30mm、全幅が9mm大きく、全高が5mm低いだけとなっており、それほどサイズが変更されているわけではない。しかし、横倉氏は「見ていただいた印象は、かなり低く、大きくなったように感じていただけるのではないでしょうか」とコメント。フロントアッパーグリルの位置を下げていることなどのデザインエッセンスを紹介し、ワイド&ローに感じさせるポイントを解説した。

歴代コンチネンタル GTと、コンチネンタル GTのデザインベースとなった1952年に発売された「Rタイプ コンチネンタル」
アルミパネルを「スーパーフォーミング」の技術で加工。滑らかな曲線などを航空機の外観から採り入れている
外観デザインのポイント。丸目4灯のヘッドライトやサイドに施される「パワーライン」などを歴代モデルの共通モチーフとして備えている
フルLEDヘッドライトやテールランプには、クリスタルガラスのカット技術からインスピレーションを受けたという独特のラインを設定
ベントレーモデルで初めて、フロント265/40 ZR21、リア305/35 ZR21という前後異径タイヤを採用。オプションとして22インチのタイヤ&ホイールも用意する

 インテリアでは、ベントレーモデル共通のモチーフとなっている「ウイングドB」と呼ばれる翼を広げたメーカーロゴからヒントを得た形状をインパネに採用。メーターパネルにはベントレーの車両として初めて「フルデジタルメーターパネル」を使い、日常的に目にするメータークラスターにはデジタルながらアナログ的な雰囲気を表現して従来モデルから乗り替えても違和感の少ないデザインを採用しているほか、エンジン始動時などには多彩な演出が行なわれ、さらには先進安全装備としてオプション設定する「ナイトビジョン」などの情報表示も行なうという。

 これに加え、インパネには新装備となる「ローテーションディスプレイ」を設定。ユーザーの利用シーンによってナビゲーションを表示するディスプレイ、スポーティなドライブを楽しみたいときのアナログメーター、リッドのような役割を持つウッドパネルなど、3種類の面構成を切り替えて使い分けができる装備となる。

 シート加工で新たに採用された技術では、「ダイヤモンド イン ダイヤモンド」キルトを紹介。これまでオプション提供してきたダイヤモンド形状のキルティング加工をさらに押し進めたデザインアクセントとなり、ステッチの内側にさらにダイヤモンド形状のステッチを施す技法となる。革素材は刺繍を施すと12%ほど収縮し、まっすぐに連続して刺繍していくのは非常に高い技術を要すると横倉氏は語り、このために18カ月を掛けて新しいミシンを開発。ダイヤモンド1つで712のステッチが必要となり。1台分では31万以上という膨大なステッチが施されることになるという。

 このほか、2016年に日本導入をスタートした「ベンテイガ」でも採用されている先進安全装備をコンチネンタル GTでも踏襲。最大12個の超音波センサー、最大6個のカメラを使い、「シティスペック」「ツーリングスペック」といったオプション設定に応じて「シティセーフガード」「アダプティブクルーズコントロール」「レーンアシスト」「トラフィックアシスト」「ナイトビジョン」などの運転支援システムが追加される。

センターコンソールを挟み、両サイドに流れるようなラインを伸ばすインパネは、ベントレーの「ウイングドB」をモチーフとしたデザイン
ベントレーモデルとして初めてフルデジタルメーターを採用。表示内容を多彩に入れ換えることができ、カーナビ表示やナイトビジョン表示なども可能
回転式で使い分けできる「ローテーションディスプレイ」をダッシュボード中央上部に設定。三角柱スタイルの3面が入れ替わり、液晶ディスプレイやアナログメーター、ウッドパネルの3種類を切り替える
12.3インチのセンタースクリーンは、iPhoneなどに使われている「Retinaディスプレイ」同等の解像度を持ち、近接センサーで触ることなくスクリーンをアクティブにできる
高い加工技術を要するという「ダイヤモンド イン ダイヤモンド」キルトをオプション設定。1台分の加工で総延長2.8kmの糸を使う
サウンドシステムのオプションには、既存の「naim(ネイム)」に加え、「Bang&Olufsen」を新設定
内外装を好みに仕上げる「マリナー」オプションも引き続き設定
「シティスペック」「ツーリングスペック」の2種類で各種先進安全装備を追加

 エンジンはこれまでと同じくW型12気筒6.0リッター直噴ツインターボチャージドエンジンとなるが、これはポート噴射とダイレクトインジェクションを併用するベンテイガでも採用された進化型を採用。アイドリングストップ機構のほか、エンジン回転が3000rpm以下、または発生トルクが300Nm以下の場合には6気筒が休止状態となる「シリンダーディアクティベーション」を搭載してCO2排出量の大幅な削減を実現したと説明。歴代モデルのパフォーマンス比較では、歴代最高となる900Nmの最大トルクを達成して車両重量の軽量化を図ったことで、0-100km/h加速タイム、最高速などを向上させたことに加え、巡航距離も先代のV型8気筒モデルと同等の数値を発揮。「パワフルで速いクルマながら、燃費性能も高いバランスのいいパワートレーンになったと言えます」と横倉氏はアピールしている。

 このほかにパワートレーンでは、こちらもベントレー初となるデュアルクラッチの8速DCTを搭載。さらに4WDシステムに「アクティブオールホイールドライブ」を新採用して、通常時は後輪を駆動させるFR車として走行すると解説。ドライブモードで「コンフォート」や「Bentley」モードを選択しているときは、最大でも前輪には38%までしかトルク配分しない設定になっているという。

 このほかに走行面では、ベンテイガでも採用した「48Vロールコントロールシステム」、ブレーキを使って車両の旋回性やトラクション性能をコントロールする「トルクベクタリング」、乗り心地とダイナミック性能を状況に合わせて使い分ける「3チャンバー式エアサスペンション」を採用し、ブレーキにはフロントに対向10ピストンキャリパーと420mm×40mmのスチール製ディスクを、リアに対向4ピストンキャリパーと380mm×30mmのスチール製ディスクを組み合わせて装着していることを挙げ、よりダイナミックな走りが楽しめるようになっていると語った。

 最後に横倉氏は、「日本でのデリバリー時期は、2018年第3四半期。おそらく秋ごろを予定しています。価格については2530万円。デリバリーは第3四半期となりますが、コンチネンタル GTは来年だけでなく、今後数年にわたって我々のビジネスにおける屋台骨となっていく非常に重要なモデルだと考えています」と締めくくった。

W型12気筒6.0リッター直噴ツインターボチャージドエンジンは最高出力635PS/6000rpm、最大トルク900Nm/1350-4500rpmを発生
0-100km/h加速は3.7秒、最高速は333km/hと同時に、航続距離は約845kmを誇る
ベントレー初採用の8速DCTは最大1000Nmに対応
トルクスプリット4WDの「アクティブオールホイールドライブ」
電子制御式の「48Vロールコントロールシステム」を採用
ブレーキを制御して回頭性やトラクション性能を向上させる「トルクベクタリング」
「3チャンバー式エアサスペンション」を採用
フロントに対向10ピストンキャリパーと420mm×40mmのスチール製ディスク、リアに対向4ピストンキャリパーと380mm×30mmのスチール製ディスクを組み合わせたブレーキシステム
価格は2530万円で、デリバリー開始は2018年第3四半期の予定
発表会の会場には、1955年式のベントレー Rタイプ コンチネンタルも展示された