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6月2日~3日の「トライアル世界選手権 日本グランプリ」開催を前に、ホンダ&ヤマハの参戦選手がトークショー&デモラン

ホンダの藤波選手、小川選手に、ヤマハの黒山選手、野崎選手も交えて実施

2018年5月27日 開催

「トライアル世界選手権 日本グランプリ」に参戦する4人のライダーがトークショー。左からRepsol Honda Teamの藤波貴久選手、HRC CLUB MITANIの小川友幸選手、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの黒山健一選手、YSP京葉×KEN OKUYAMA RACINGの野崎史高選手

 6月2日~3日の2日間に渡って、ツインリンクもてぎで「2018 FIMトライアル世界選手権 第2戦 ストライダー 日本グランプリ」が開催される。これに先立ち、同レースに出場する日本人選手のトークショーが5月27日に実施された。

 同シリーズにフル参戦する藤波貴久選手に加え、今回スポット参戦するMFJ全日本トライアル選手権チャンピオンの小川友幸選手ら3人が、1週間後に迫った日本グランプリに向けて意気込みを語るとともに、本社前の屋外スペースで迫力のデモ走行を行ない来場者を魅了した。

 なお、もてぎでの開催19回目となる2018年は、新設5カ所を含む計15セクションを設置。日本グランプリとしては初めて女性クラスのレースも併せて行なわれる。

ホンダ ウエルカムプラザ青山の中に設置されたトライアル関連のPR展示

黒山選手は小川選手のことが嫌い!?

 トークショーに登場したのはトライアル日本グランプリに参戦するライダー4人。Repsol Honda Teamの藤波貴久選手、HRC CLUB MITANIの小川友幸選手、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの黒山健一選手、YSP京葉×KEN OKUYAMA RACINGの野崎史高選手。本田技研工業本社施設での開催であることから、通常ならホンダ系チームのライダーのみが出演するところ、今回はライバルであるヤマハ系チームの2人も同席しての珍しいイベントとなった。

4選手のうち、左に座る藤波選手と小川選手はホンダ系チーム、右に座る黒山選手と野崎選手がヤマハ系チーム

 藤波選手と小川選手は2歳、3歳ごろからの幼なじみで、4人とも子供のころから共にトライアルで戦っている仲間。そういうこともあって、司会者の質問に対して真面目にコメントしながら、隙さえあれば互いに鋭くツッコミを入れていた。4人の中では野崎選手が一番年下で、「フミ君」と呼ばれていることが黒山選手から明かされるなど、全員が気の置けない友人であることがよく分かるトークショーとなった。

幼なじみということもあって気安い間柄の藤波選手(左)と小川選手(右)

 今季、スペインで開幕したトライアル世界選手権の直前の練習中にクラッシュして首と肩を痛め、本番では8位に甘んじた藤波選手。「ケガは回復してきているので、日本グランプリは最低でも表彰台はいけると思う」と本調子に近いことをアピールするが、隣に並ぶ3人の日本人選手については警戒を怠らない。「今日の控え室でも、(過去のレースのセクションで)どういうふうに攻略したのか、足つきミスをしたのはなぜかなど、常に分析してみんな日々成長している。だから(海外転戦から日本に)帰ってくるときはいつもドキドキしている」。

首と肩を痛めたものの、本調子を取り戻しつつあるとした藤波選手

 全日本トライアル選手権に参戦する3人は、小川選手が開幕戦、黒山選手が第2戦、野崎選手が第3戦でそれぞれ優勝を分け合う形になっている。しかしながら、小川選手も開幕前にケガをして「苦しいスタート」となり、第1戦は優勝できたものの「第3戦はボロ負けしたので、厳しいシーズンになる」と分析。黒山選手は第3戦終了時点でシリーズランキングトップを走るものの、第3戦で圧勝した野崎選手を警戒する様子を見せていた。当の野崎選手は「(3人とも)20年以上トライアルのトップにいる人たちで、追いつきたいと思っている。(第3戦は)たまたま勝つことができたが、出る試合は全部で勝つつもりでいる」と、調子の波に乗って日本グランプリに挑む。

藤波選手と同じく開幕前にケガをしたという小川選手(中央)。道のりは険しいが6連覇を目指す
前戦第3戦で優勝を果たした野崎選手(右)。日本グランプリでも好調を維持できるか

 トークショーでは、4人が揃って参戦したこともある年1回の国別チーム対抗戦「トライアル・デ・ナシオン」などでの思い出も語られた。通常のレースではライバル同士の4人ではあるが、藤波選手によれば「デ・ナシオンでは、走行ラインを教え合うなど互いにアドバイスすることもある」と打ち明け、さらに通常の世界選手権でも、競っている中、岩のどこが滑るかなどアドバイスしてくれることもあるという。

トライアル・デ・ナシオンでの思い出などを語る4人

 これについて黒山選手は「(藤波選手が)今でも世界選手権に1人残って頑張ってくれているので、アドバイスでちょっとでも成績が上がれば」という思いがそうさせていると話す。しかし、黒山選手が「小川さんにはウソ言いますけどね(笑)」と付け加えると、小川選手は「こうやって(仲よさそうに)話していても、たぶん彼は僕のことを嫌いだと思いますよ」と冗談めかして反撃していた。なお、全日本トライアル選手権は小川選手が現在5連覇しており、2018年は6連覇がかかっている。一方、黒山選手も同じ5連覇経験者ということもあって、そういう意味でも2人は今大きなライバル関係にあると言えるようだ。

全日本トライアル選手権でランキングトップを走る黒山選手(右)。日本グランプリでの活躍も期待される

 最後に日本グランプリに向けて意気込みを聞かれると、藤波選手は「開幕戦は残念な結果に終わったが、毎年この日本グランプリで調子を上げている。2日間とも表彰台、真ん中を目指して頑張る」と話し、さらに「日本グランプリでは皆さんからパワーがもらえる。レース中に崩れることもあるが、そこから立て直せるのは応援があるからこそ。皆さんからの後押しが欲しい」と話した。

 小川選手は「年1回のツインリンクもてぎでの開催。僕たちはスポット参戦になるが、日本人のレベルがここまで高いんだぞというところを見せたい」と話し、黒山選手は「個人的には毎年怪我せずに走り終えたいと思っている。去年はスタートから5分で大怪我してしまったから、今年はケガせずに上位を目指したい」とコメントした。

 野崎選手は、全日本トライアル選手権と世界選手権の違いとしてノンストップルールの有無を挙げたが、「(ノンストップルールは何度も経験があるので)全く対応できないわけではない。自分でも日本グランプリでどこまでいけるか期待している」と気合は十分。「トライアルという競技は、走るライダーとお客さんの距離がすごく近い。声援をいただければそれが直接聞こえて選手の力の源になるので、たくさん応援してほしい」と来場者に呼びかけた。

来場者に向かってたくさんの来場、声援を呼びかけた
トークショーでは小型自転車を使ったテクニックも披露。ダニエルしようとしてコケそうになる小川選手や、ジャックナイフする黒山選手を見ることができた
屋外でのデモランの様子