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トヨタ、東南アジア配車サービスGrabへ10億ドル(約1100億円)出資

モビリティサービス(MaaS)領域で協業拡大

2018年6月13日 発表

トヨタとGrabの協業スキーム

 トヨタ自動車は6月13日、東南アジアにおける配車サービス大手Grab(Grab Holdings Inc.)と東南アジアにおけるモビリティサービス(MaaS)領域の協業深化に合意するとともに、Grabに対して10億ドル(約1100億円)の出資を決定したと発表した。

 今回の合意では意思決定の迅速化のため、トヨタの1名がGrabの取締役に就任、さらに1名をGrabの執行役員として派遣して人材交流の活発化を図っていくとしている。

 今回の協業拡大は、東南アジア全域におけるGrabレンタカーのコネクティッド化や、それらの車両からMSPFに収集される車両データを活用した、走行データ連動型自動車保険に加え、現在開発中のGrabドライバー向け金融サービスや、メンテナンスサービスなど、各種コネクティッドサービスを東南アジア全域に拡大することが狙い。

 両社は東南アジア全域において、これまで両社で開発してきたサービスを普及フェーズに移行させて、より効率的な配車ビジネスを実現するとともに、将来の新たなモビリティサービスやMaaS車両の開発においても検討を開始するとしている。

 トヨタの副社長で「コネクティッドカンパニー」プレジデントの友山茂樹氏は「東南アジア地域における配車サービスで最大のシェアを有するGrabと、弊社のコネクティッド技術を活用した協業関係が強化されることを嬉しく思います。今後は同社とともに、東南アジアのお客様にとって、より魅力的で、安心、安全なモビリティサービスを開発して参りたいと考えています」とコメント。

 GrabのCEOであるAnthony Tan(アンソニー・タン)氏は「トヨタのような世の中に広く貢献している企業と、将来にわたるパートナー関係を結べたことを非常に嬉しく思っています。この強固な協業体制により、Grabは東南アジアにおいて、モビリティソリューションをワンストップで提供できる会社になれると考えています。トヨタをはじめとしたグローバルリーダー企業とともに、安全で利用しやすいライドサービスと住みやすい街、そしてデジタル革命の中で新たなビジネスが次々と興るような未来を創っていくことを楽しみにしています」とコメントした。

 Grabは、東南アジア8か国217都市で、個人間のライドシェアおよびタクシー配車サービス、オンデマンド輸送サービスに加え、ドライバー向けレンタカーサービスなどを展開。2018年3月には競合関係にあったUberの事業譲渡を受けて同地域において圧倒的シェアを誇る。両社は、2017年8月からトヨタの法人車向け通信端末「TransLog」やコネクティッドカーの情報インフラMSPF(モビリティサービスプラットフォーム)を活用した、Grab向けのコネクティッドサービスの開発を進めている。すでに、現地の保険会社を通じ、シンガポールのGrabレンタカー全車両に対し、走行データ連動型自動車保険を提供するなど、コネクティッド分野における両社の協業を始めている。