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日産と産総研、脳波などで「ノート e-POWER」のワンペダル操作が“より運転を楽しく感じる”ことを科学的に検証

2018年7月5日 発表

左から、日産自動車株式会社 パワートレインEV技術開発本部パワートレイン主管 羽ニ生倫之氏、日産自動車株式会社 プラットフォーム 車両要素技術開発本部 主幹の美記陽之助氏、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 研究センター長 北﨑智之氏、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 認知システム研究チーム 主任研究員 木村元洋氏

 日産自動車と産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センターは7月5日、「ノート e-POWER」のワンペダル操作が“より運転を楽しく感じる”ことを科学的に検証した共同研究として「ペダル操作の違いが運転者の心理状態と脳活動に及ぼす影響」に関する実験を実施して、その結果を発表した。

 同日記者会見が開催され、産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 研究センター長 北﨑智之氏、同センター 認知システム研究チーム 主任研究員 木村元洋氏、日産自動車 プラットフォーム 車両要素技術開発本部 主幹の美記陽之助氏、同 パワートレインEV技術開発本部パワートレイン主管 羽ニ生倫之氏が出席した。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 研究センター長 北﨑智之氏

 産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター研究センター長 北﨑智之氏は「当研究センターは技術革新の目覚ましい近年の自動車技術に係るヒューマンファクターを専門に研究するセンターとして、産総研つくばセンター内に2015年4月1日に発足しました。われわれセンターのコア技術は人を測り理解するというところにあり、コア技術の上に“高齢ドライバーの支援”“自動運転のヒューマンファクター”“運転の楽しさ”という3つの研究領域を設けて、基盤となる学術研究に加えて、産業界への貢献をミッションとして研究に取り組んでいます。1つである運転の楽しさという領域で日産自動車さまと共同研究で成果を上げることができた」と挨拶した。

 続いて、記者会見では産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 認知システム研究チーム 主任研究員 木村元洋氏から研究結果が報告された。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター 認知システム研究チーム 主任研究員 木村元洋氏

 同実験には男女各6名(平均年齢43.4歳、最低年齢22歳、最高年齢55歳)の計12名が参加し、研究期間は1月5日~3月14日としている。

 実験車両に日産「ノート e-POWER」を使って、茨城県内にある1周約11.3 kmの一般道路(細くうねった道路、混雑・渋滞のある市街地・駅前道路、跨線橋、カーブが連続する自動車専用高架道などを含むコース)を走行。

 各実験参加者は、ツーペダル操作の「ノーマルモード」、ワンペダル操作の「Sモード」の2つのドライブモードを交互に12回ずつ運転。運転中は脳活動(脳波)を計測し、運転後に質問用紙により心理状態を計測。主に運転の「楽しさ」の観点から、ペダル操作の違いが運転者の心理状態と脳活動に及ぼす影響を解析した。

 研究結果によると、質問紙調査の結果では、ツーペダル操作に比べ、ワンペダル操作での運転時に、「運転が楽しかった」の項目に対する評定値が統計的に有意に高い。また、脳波計測の結果では、ツーペダル操作に比べて、ワンペダル操作での運転時に、注意状態を客観的に評価する方法の1つである「課題非関連プローブ法」における「聴覚N1成分」が統計的に有意に減衰したとしている。

 これらの結果から、ワンペダル操作での運転が“運転者にとってより楽しい”こと、ならびに楽しさの重要な要因である“運転への集中状態”を自然に引き出すことが示されたと報告された。

実験内容を示すスライド
日産「ノート e-POWER NISMO」でワンペダル操作による走行を体験

「ノート e-POWER」のワンペダル操作による楽しさを科学的に検証

日産自動車株式会社 プラットフォーム 車両要素技術開発本部 主幹の美記陽之助氏

 今回の取り組みのきっかけについて、日産の美記氏は「日産自動車では、クルマを設計する上で、楽に安全に快適に楽しく、人間を科学的に研究してそれから設計することに取り組んでいます。産総研さまとは、かなり以前からヒューマンファクター関係で共同研究してまいりました。その中で、脳波による注意力の調査は、以前はナビゲーションを操作している時に、どれだけ人間がそこに注力しているのか研究してきました。今回、このワンペダルというのが、非常にお客さまから“楽しい”“便利”という声があり、これをもう1度、科学的に深く研究していこうと、過去にやった共同研究を踏まえてこれが使えるのではないかと考えました。運転の楽しさそのものに取り組むのは新しい取り組みで、産総研さまと興味が一致した」と今回の取り組みの狙いを話した。

日産自動車株式会社 パワートレインEV技術開発本部パワートレイン主管 羽ニ生倫之氏

 また、ノート e-POWERに採用しているワンペダル操作については、日産の羽ニ生氏が「モーター駆動で走る楽しさについて、リーフからスムーズな走りやレスポンスという部分を注力して開発してきました。さらにもっと面白いモーター駆動がないかと考えて、開発当初から楽に操作ができて楽しく運転できる“ラクラクペダル”と内輪で呼んでいました。今回のワンペダル操作で楽しく運転できるという科学的検証では、楽というファクターで差がなかったのが残念だったのですが、この方向性が科学的にも証明されたということは、われわれにとって大きな自信となります。さらにこれを磨いていって、もっともっと楽しく、楽な方を含めて付加価値を高めて、より楽しいクルマづくりをやっていきたい」と話した。

 さらに“ワンペダル操作の楽しさ”がどこからやっていくるのかという部分に、羽ニ生氏は「これは私個人の仮説ではありますが、やはり電動駆動によるレスポンスのよさ、踏んだら踏んだだけ遅れなくトルクが出る、この非常に楽にコントロールできるこの部分が楽しさにつながっているのではないかと、これをエンジン車でワンペダル操作した時に同じような結果が出るのか、引き続き検討を進めていきたい」と語った。

同日発表されたノート e-POWER 4WD