ニュース

フォルクスワーゲン、アドオンで音質アップ。「レイヤードサウンド カーオーディオシステム」説明会

ディーラーで取付可能

2018年7月20日 実施

フォルクスワーゲン正規ディーラーで取り付け可能な「レイヤードサウンド カーオーディオシステム」のスイッチ。オンにするとアンバーに光る。音質向上の効果が一聴して分かる

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、先だって2018年5月11日から、「レイヤードサウンド カーオーディオシステム」(以下レイヤードサウンド)を「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」「ザ・ビートル」向けに正規ディーラーにて販売を開始している。これは、純正オーディオシステムにアドオンする形でインストールするシステムだ。このレイヤードサウンドの説明と試聴を受ける機会があったのでレポートしよう。

 レイヤードサウンドは、純正オーディオにはまったく手を加えることなく出音はそのままにしておき、出力に追加することで音響効果をより向上させるアメリカ発のサウンドシステムになる。純正オーディオのライン出力を専用の小型アンプを通し、フロント側Aピラー内部に埋め込んだサウンドドライバを振動させて、無指向性の反響音を主に車内上側に反響させる。純正オーディオスピーカーからのサウンドは直接波として耳に届き、サウンドドライバからの反響音がそれに追加されるように響き、全体的に臨場感溢れる音がサウンドドライバが設置された前方向に広がって聞こえるようになる。

 システムは、助手席下に専用アンプを設置。ゴルフの場合、ドライバーの右側下部のライトスイッチ横にレイヤードサウンドのON/OFFスイッチが付く。スピーカーのような働きをするサウンドドライバはAピラー内部にあるが、こちらは外部からはまったく分からない。スピーカーのような働きだが、一般のスピーカーのように音を通過させるための仕組はない。スイッチ以外は普段目にすることがないので、一見で純正オーディオとの違いを見分けることは困難なほど、余計な後付け感は皆無だ。スイッチはON(またはOFF)にしておけば、エンジンのON/OFFでも状態がキープされるので、実際にスイッチを操作することは確認時以外、ほぼないと思われる。専用アンプでは、つまみによるハイパスフィルターやレベルなどの音質調整が可能になっていて、この値が各車種でベストの設定値になっている(ユーザーによる調整も可能だが、頻繁に調整するような作りではない)。

レイヤードサウンドの専用アンプ(サイズ:104×97×30mm)は助手席下に設置される。手のひらサイズの小型のアンプ
フロントのピラー内部にサウンドドライバが埋め込まれている
サウンドドライバが埋め込まれているイメージ画像
ピラーの近景。外からはまったく見えない。根元部分にあるのは純正ツイーター
レイヤードサウンドのON/OFFスイッチ

 解説を行なったレイヤードサウンド・セールス&マーケティング 代表取締役 佐藤大氏によると、「これまではスピーカーやアンプの交換などで改良、改造するという手法でしたが、レイヤードサウンドは既存のサウンドをそのまま活かしつつ、サウンドドライバと呼ぶ小型スピーカーと専用アンプを取り付けて音質をレベルアップするシステムです。ON/OFFのスイッチが付いていることも特徴の1つです。効果の体感がしやすくなっています。信号そのものを変化させるプロセッサとは異なり、信号を分岐した後、元に返すことなくそのまま、足りていなかった音をアドオンします」とシステムを解説してくれた。

 また、フォルクスワーゲン グループ ジャパン アフターセールス本部 販売促進課 富内眞悟氏は、サウンド系のアイテムを探していて、オーナーの方々から評判の高かったレイヤードサウンドを、純正サウンドのよさをスピーカー交換なしで、ウーファーを取り付けることもなく、シンプルでありながらよさを引き出してくれるシステムということで決めたとのこと。

「近年足まわりのチューニングで、フォルクスワーゲンなどのチューニングを得意とするショップ『COX』と組んで進めていたのですが、その理念ともよく合っていて、まったく別の味にしてしまうのではなく、フォルクスワーゲンの本来のよさを、マスプロダクションの限界よりもさらに伸ばし余地を埋めてくれる製品として、探し求めていたサウンド系のアイテムでした。7月までの時点で30台ほど注文がありました。デモカーを全国に配備する用意をしているところです。また、別モデルへの要望も高く、ティグアン、パサート、アルテオンへの展開も考えています」と状況を付け加えた。

レイヤードサウンド・セールス&マーケティング株式会社 代表取締役 佐藤大氏
フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 アフターセールス本部 販売促進課 富内眞悟氏

 実際に運転席と後部座席に座って試聴したが、レイヤードサウンドをON/OFFしてみると、音の反響音に明らかな違いがあるのがハッキリ分かる。これはなんとなく言われてみれば、というレベルではなく、誰が聞いても分かるレベルで、誰でも違いは判別できるはずだ。特にOFF→ONにする時よりON→OFFの時の方が、音の臨場感が消えたのを耳が驚いて探してしまうためか如実に分かり、OFFでは物足りない感覚が残る。

 試聴したクルマは、「ゴルフ ヴァリアント ハイライン」だったが、純正オーディオの音質もわるいワケではなく、低域からよく鳴っていて、Aピラーの根元にはツイーターも埋め込まれているので高域も耳に届いている。どちらかと言えばハイファイで歯切れのよいサウンドが楽しめる部類に入る。それでもレイヤードサウンドを追加すると、足りなかった部分が自然に補われ、腰より上の音と前方向への広がりを強く感じ、より音を楽しめるようになる。DSPを使い積極的に音作りをするサラウンドシステムでは、反響し過ぎてしまいメインの音像が引っ込んでしまうことが多々あるが、そういう違和感のある音ではなく、あくまでも自然な音のまま、本来あるべき足りない音で包まれるというイメージだ。

レイヤードサウンドを試聴した「ゴルフ ヴァリアント ハイライン」

 ポップスから女性ボーカル、ピアノジャズ、ギター弾き語りなど、さまざまなジャンルの曲を聴いてみたが、妙な色づけが無いのでジャンルを問うことはなさそうだ。特にボーカルやピアノなどは余韻が感じられて心地よく、ギターではフレットの運指がリアルに感じる。前方向に広がるのでライブ系は拍手などを含め臨場感がより増している。システムにサブウーファーは含まれていないが、低域は音楽を楽しむなら純正サウンドで十分だと感じた。

 なお、後部座席ではスピーカーからの直接音が近く、サウンドドライバが遠くなってしまうせいなのか、効果がかなり薄い。これを補うため、天井部分にサウンドドライバを埋め込む4chシステムが汎用のレイヤードサウンドのセットにはすでにあり、フォルクスワーゲンのシステム向けにも鋭意開発、調整中とのことだったので、いずれ追加されることと思われる。

 また、富内氏の話によると、ゴルフのボディは静粛性や形状からサウンドを楽しむことに向いていて、レイヤードサウンドの効果が高いとのこと。さらに、チューニングショップ「COX」の「COXボディダンパー(YAMAHAパフォーマンスダンパー)」という、車体下に装着しボディの変形や振動を抑制するダンパーを取り付けると、より高品質なサウンドが楽しめるようになるという、興味深い話題もあった。

 レイヤードサウンドのセット価格は16万円(税込み)。工賃は別途かかる。参考取り付け時間は3.5時間と、得られる効果から考えると、サブウーファーやサテライトスピーカーなどを埋め込むより手軽に付けられる。ゴルフ、ゴルフ ヴァリアント、ザ・ビートル向けで、ゴルフは2017年のフェイスリフト前の世代から取り付けに対応する。また、ゴルフ同士であれば将来の移植も対応できるようにしたいとのこと。取り付け後、2年の長期保証が付くのも安心できる部分だ。

 ここで紹介しているのは、ゴルフなどフォルクスワーゲン向け車種専用のシステムで正規ディーラーで販売するシステムだが、レイヤードサウンド自体は汎用製品になる。2015年から日本向けに登場していて、どんな車種でも取り付けできるセットが2chと4chのシステムにて正規取扱店などにて販売されている。これらはゴルフ以外にも取り付けが可能だ。

 いくらサウンドのレベルが上がると言われても、記事で読むだけでは半信半疑だろう。今後、フォルクスワーゲン正規ディーラーにデモカーが配備されるようなので、ぜひ自身の耳で確かめてみてほしい。

レイヤードサウンドのデモカーの前で。写真左から、フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 アフターセールス本部 販売促進課 富内眞悟氏と、レイヤードサウンド・セールス&マーケティング株式会社 代表取締役 佐藤大氏