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【SUPER GT第5戦 富士】午前中のフリー走行で、34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3と38号車 ZENT CERUMO LC500が大クラッシュ

道上選手、立川選手ともに救急車で運ばれたものの、大きな負傷はなし

2018年8月4日~5日 開催

38号車 ZENT CERUMO LC500に後方から追突され、とくにリアが大きく壊れた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3。クルマから無事助け出された道上龍選手

 SUPER GT第5戦となる「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 5 FUJI GT 500mile RACE」(以下、SUPER GT第5戦 富士)が8月4日~5日の2日間にわたって、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。初日となった8月4日は午前中にフリー走行、午後に予選が行なわれた。

 午前中に行なわれたフリー走行では、開始からしばらくして1コーナーで大きなクラッシュが発生し、セッションは赤旗で中断となった。このクラッシュは、ピットから出てきたばかりの34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍選手)に、ブレーキに突然のトラブルが発生した38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路選手)が追突するというもので、どちらの車両も大破するという大きなクラッシュとなった。

フリー走行をこなしていた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3
ピットイン後、ピットアウトしていく34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3。この直後事故が起きた
38号車 ZENT CERUMO LC500に追突され、1コーナーを横っ飛びに飛んでいく34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(後方車両)

 ドライブしていた道上選手、立川選手ともに救急車で運ばれたものの、大きな負傷などはなくガレージに戻ることができている。

 このうち34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は、車両のフレームも壊れてしまうような大きな破損状況で、レースへの出場を見合わせざるを得なくなってしまったほか、出走する予定になっていた8月末の「SUZUKA 10 HOURS」への出場も危ぶまれる状況になっている。

34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3に、ブレーキトラブルの38号車 ZENT CERUMO LC500が後ろから突っ込む

 事故はフリー走行がスタートして30分が経過したころに発生した。ピットでタイヤを交換して出てきた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍選手)がイン側をゆっくり回っているところに、後ろから38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路選手)が突っ込む形になった。

 立川選手がドライブしていた38号車 ZENT CERUMO LC500はストレートで突然のブレーキトラブルが発生し、ブレーキが効かない状態となり、イン側の縁石に乗り上げてそのまま滑っていくような形となり、ほとんど減速できていない状態で34号車に衝突した。

 この影響で38号車自身もリアとフロントを壊しながらスピンしてタイヤバリアに当たりようやく止まり、後ろから衝突された形の34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3もスピンしながらタイヤバリアに当たって止まった。どちらのドライバーもレスキューにより救出され、医務室に検査のために運ばれたものの、道上選手が腰の痛みを、立川選手は足が腫れているなど事故の影響を受けてはいるが、どちらも大きな怪我がなかったのは不幸中の幸いだった。

 ピットに帰ってきて会見に応じた道上選手によれば「ピットから出てきたらいきなりドーンと来て何が起こったのか分からない状態だった。大きなアクシデントだが、38号車の立川選手もこちらに当たったことで減速して大けがしないですんだと思う、2人とも大きな怪我でなくてよかった」と述べ、もらい事故ながら相手のことを心配する余裕もあり、道上選手の体を心配していた関係者も胸をなで下ろしていた。

34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は車両後部が大きく壊れ、今回のレースには出場しないと決定

 34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3はその後トレーラーに乗せられてピットに戻されて、メカニックやNSX GT3を製造したJAS Motorsportのスタッフなどによりチェックが行なわれた。車両後部フレームが千切れるなど大きく破損しており、サーキットでの修理は不可能と判断された。道上選手によれば「車両は全損に近い状況」ということで、今回のレースの出場は無理だとチームから正式に発表された。

 34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は、午前中のフリー走行で最初の30分しか走っていない段階では3番手のタイムをマークしていた。そのタイムはソフト、ハードという2つのコンパウンドのタイヤのうちハードで出したタイムで、ソフトタイヤに切り替えればさらにタイムを縮めることが可能と考えられていた。決勝レースでの上位入賞、表彰台の可能性も見えていた中での突然のもらい事故ということで、チームの関係者は全員ショックを受けていた。

 また、同チームは8月末に開催されるSUZUKA 10Hにエントリーしており、現在GT300に走らせている車両で参戦する予定だったのだが「現状ではSUZUKA 10Hに関しても出ることができるとは言えない状況。チームとしてはなんとかして出たいと考えているので、チームメンバーや関係者とよく話し合って最善の道を探していきたい」とのことで、まずは9月半ばに予定されているスポーツランドSUGOでのSUPER GT 第6戦に間に合わせることを最優先に、車両の修復なり、新しい車両の導入などに向けて準備を進めていくと説明した。

 現時点では見通しはまだ明確ではないとのことだった。

リアセクションが大きく壊れている38号車 ZENT CERUMO LC500。スピンしながらぶつかったことが分かる
1コーナーには多くの部品が飛び散っていた
リアの構造部材までダメージを負った34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3。第5戦富士は出場できない状態と判断された

 なお、38号車 ZENT CERUMO LC500に関しては、GT500の構造上モノコックさえ無事であれば修復はサーキットでも可能であり、チームは修復を続けている。予選には出られなかったものの、フリー走行では十分なタイムをマークしており、嘆願書を提出することで、8月5日の決勝レースを走ることは可能だと考えられている。