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【SUPER GT第6戦 SUGO】「CLASS 1規程でNSXが出られない、ということはない」とGTアソシエイション坂東代表

2018年9月16日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏の定例会見が行なわれた

「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 6 SUGO GT 300km RACE」の舞台となったスポーツランド SUGO(宮城県柴田郡村田)で9月16日、GTアソシエイション 代表取締役の坂東正明氏による定例会見が行なわれた。社会的に注目度が高まっている「働き方改革」や、DTM(ドイツツーリングカー選手権)とSUPER GTが2019年以降の交流戦で採用する「CLASS 1規程」などについて語った。

働き方改革はGTAが率先。労働時間の管理を模索

――8月の定例会見で働き方改革についての話があったが、その後具体的な進展は?

坂東氏:モータースポーツ業界におけるメカニックなどチームに関係する仕事に対して、魅力ある世界を作らなければいけない。高齢化が進んでいるなか、チームに労働条件のアンケートを取った。アンケート結果は60%くらい上がってきている。

 モータースポーツが盛んになってくるなかで、オーガナイザーとしては、365日稼働のためのサーキットの使い方などを今後どうしていくか。イベントが盛り上がってきている部分もあり、開催回数も増えてきている。それに対して、SUPER GTだけでなくスーパーフォーミュラ、スーパー耐久など他のカテゴリーにおける労働についても把握しようとしている。

 今、われわれができるのは、金・土・日曜日のサーキットのイベント行事の体制をきちんと作り上げることが1つ。例えば金曜日の設営時間、撤収時間、土曜日の朝の入り時間や夕方の退場時間(などを考えなくてはいけない)。今のやり方では(単純に労働時間を制限すると)集客や導線が間に合わなくなったり、オフィシャルの車検などの活動にも影響する。

 基本的に時間があるとずっと作業をやり続けるチームもあるので、退場時間を決めるのは今やろうとしているところ。実際にやってみて、プラスで何かがあった場合にまた考える。あとはイベント。チームやドライバーのトークショーを含めてイベントの時間帯も考えて、搬出時間も制約していく方向で考えている。金・土・日曜日の3日間について労働時間の管理をSUPER GTで模索していく。

 夏休みをきちっと決める。そういう休日を設けることもモータースポーツ業界において必要なのかと思う。1つ1つできるところからやりながら、他の団体などに意見を求めて、すり合わせていこうと思っている。

TNHとGTAで日本のモータースポーツを作る理念に変わりはない

「SUPER GTはTNHとGTAで、日本の確固とした存在をモータースポーツに作り上げる」との理念を語る坂東氏

――2019年以降、DTMとの交流戦において、SUPER GTがDTMとの共通レギュレーションとなるCLASS 1規程に準拠することについて、進捗はいかがか。

坂東氏:(DTM運営元の)ITRと話をしているCLASS 1規程については、粛々と進めているところ。(レギュラーのシリーズ戦において)CLASS 1規程になったとき、ホンダの「NSX」はいかなることになるんだろうという話はあるが、SUPER GTのシリーズ戦においては現行と同じになる。

 2019年のジョイントイベント(交流戦)に関してはNSXは参加できる。2020年はCLASS 1に、ということで調整している。GTAとしては国内のレースをつぶしてCLASS 1にとはならない。TNH(トヨタ、日産、ホンダ)があって、GTAがあって日本のモータースポーツを作るということには変わりない。SUPER GTはTNHとGTAで、日本の確固とした存在をモータースポーツに作り上げる。これが理念。

 今のところ(SUPER GTでは)SUPER GT(の規程)+αで、できるだけコストを抑えて、EVパーツ、コモンパーツを使いながらミッドシップとFRの共存共栄を図っていく。2020年のSUPER GTにNSXが出られないという話はどこにもない。TNHのどれかを外して日本のモータースポーツを作り上げるのはかなり難しいと思う。GTAとしてはそれは避ける。そうできないのに、CLASS 1だから(全車)FRだという風には言えない。

(DTMの最終戦が行なわれる)ホッケンハイムで、今回のコラボレーションに関するCLASS 1のレギュレーションとコモンパーツ、EVパーツに対する調印式を早めにアグリーしたい。

富士のモータースポーツビレッジにはアルミ溶接などの施設を

――今回からNSX GT3の最低車両重量が10kg増えた。そうなった経緯をあらためて教えてほしい。

坂東氏:2014年から3メーカーとわれわれとで話し合いをして、ミッドシップハンデを作り上げた。2017年の岡山のショートコース、富士の高速サーキット。この2つを見たうえで、ホンダに対する他2メーカーの均衡化を図るというところで、15kg、29kgなどの(重量ハンデの)選択肢を考慮した。

 その後、チームの頑張り、セットアップの進化などがあり、均衡化がある程度図れた状況下で、15kgだったのを10kgに落ち着かせることができた。チーム、タイヤメーカー、マニファクチャラー、ホンダの力が大きくなってきて、より面白い均衡したレースに結び付いたかなと思う。

 勝ち逃げをやるレースではなく、モータースポーツのファンづくりと、技術競争をやる部分と、魅力あるレース、いろんなものを加味していかなければならない。これだけじゃ(ウエイトハンデが)足りないから(もっと増やすべき)、という話ではない。性能調整については性能調整委員会にもアドバイスいただく。

――富士スピードウェイにおいて「モータースポーツビレッジ計画(仮称)」が立ち上がっている。GTAとしてどんな施設を用意してほしいか。

坂東氏:プロモーターとしては、富士スピードウェイで行なうレースにおける駐車スペースなど、環境面で1つ。また、レースチームが現行持っているものよりクオリティの高い設備を投資してもらえないかと。例えば厚みのあるアルミの溶接をしたいとき、御殿場には(対応できる工場が)あまりない。アメリカにはそういう設備がいっぱいある。

 こうした設備投資は1チームではできない。ファクトリーがもしそういうものを借りられるのであれば便利になると思う。SUPER GTだけじゃなく、他のレースのチームも含めてそういう施設を利用できるエリアになってくれれば。

――15日の予選では、GT300のQ1を2つに分けた。その感想を。

坂東氏:サポートレースのF4と、SUPER GTという2つのイベントとの兼ね合いでこうなった。雨などがあって進行が遅れ遅れになっても(予選が)できたというのが1つの成果。この狭い中で、危険度(と)安全性(のバランスを考えると)、アタックできないことがGT300でも往々にしてあったので、サポートレースも含めて考えると、2つに分けることについてはよかったと思う。