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【SUPER GT第6戦 SUGO】「FROがなぜそこにいるのか分からなかった」GT500優勝の100号車山本・バトン選手、GT300優勝の61号車井口・山内選手の優勝会見

2018年9月16日 開催

左からGT500優勝の100号車 RAYBRIG NSX-GT ジェンソン・バトン選手、山本尚貴選手、GT300優勝の61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口卓人選手、山内英輝選手

 9月16日、「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 6 SUGO GT 300km RACE」で今季初優勝を果たしたGT500クラスの100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴選手、ジェンソン・バトン選手)と、GT300クラス優勝の61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人選手、山内英輝選手)の4人が、決勝レース後に優勝記者会見を開いた。ここでは会見で4人が語ったコメントをお伝えする。

GT500クラス 100号車RAYBRIG NSX-GT

山本尚貴選手
山本尚貴選手

 JB(ジェンソン・バトン)と参戦6戦目にして今季初優勝できて、ものすごくうれしいです。昨日のポールポジションもうれしかったんですけど、あまり喜びを爆発させ過ぎることなく、平常心を保ってレースに臨むことを心がけていました。

 やはりSUGOらしいレースというか、セーフティカーも入りましたし、終盤コースオフするクルマ、FRO(ファースト・レスキュー・オペレーション車両)が出るシチュエーションが多発して、なかなかすんなりいかないなと感じました。ですが、うまくレースを組み立てて、JBもいい仕事をしてくれて、チーム、メカニックをはじめエンジニア、監督も素晴らしい仕事をしてくれて、本当に感謝しています。

 メンテナンスガレージがATJに変わって、ATJにとっても初めての優勝。レースが終わってチームスタッフが泣いているのを見ると、みんなにも相当のプレッシャーがあったんだ、勝ちたかったんだと思うと、自分だけの勝利じゃなくてたくさんの人の責任と思いを乗せてレースを戦ったんだなとあらためて感じた1戦でした。

(勝利の最大の要因については)1つには絞れないですけど、個人的な思いでいうと、負けたレースからの積み重ねです。(次戦はハンデがつくので)楽なレースにはならないでしょうけど、本当にクルマとタイヤがうまく決まっていれば、ウエイトを積んでいても、燃料リストリクターが絞られていても、今回のように勝つことができる。前回も(ウエイトハンデ62kgの)23号車がポールポジションを獲ったり、(同58kgの)1号車が終盤で猛烈に追い上げたりと、今までとは違う雰囲気を感じています。

 次戦、まわりのクルマがさらに軽くなるなか、僕たちがウエイトを積んで燃料リストリクターを絞られるのは好ましい状況ではないですけど、いいセットアップといいタイヤのチョイスができれば、また今回と同じようなレースができるんじゃないかなと思っています。

ジェンソン・バトン選手
ジェンソン・バトン選手

 300kmレースのSUGOではいろんなことがあると聞いていたが、それはすべて本当だった。クレイジーなレースだった。GT300とGT500の44台のクルマが1度に走るこのサーキットはタフだということも分かったし、素晴らしい体験で、感動的な優勝になったと思う。チーム全員が頑張ったし、長らく待ち望んでいた初めての優勝が尚貴とともに達成できたのもうれしい。

 レース自体はタフだったけど、自分にとってはすごく楽しめた。今回の素晴らしい体験を通じて学ぶこともたくさんあった。例えば、最終コーナーはオーバーテイクするとコースアウトするから、外側から抜いちゃいけないってこととか(笑)。かなり怖かったのは、終盤にセーフティカーとFROが入った時。最後の5ラップは相当にタフだったのではないか。だからSUPER GTでの勝利が簡単だとは思わない、特にSUGOでは。

 あと、これはあまりいい話ではないんだけれど、レースの最後はほとんどレースになっていなかった。アクシデントがあったのは4コーナーだったのに、5コーナーにFROのクルマが現れて、なぜそこにいるのかが分からなかった。イエローフラッグが出ていたのでフルスピードで走っていなかったとはいえ、5コーナーのど真ん中にFROがいて危険なシチュエーションになっていた。SUPER GTは非常に安全に気を遣っているとは思うが、こういった部分の改善も考えなければいけないのでは?

(最終コーナーでのコースオフの影響はなかったか、という問いに)その前に12号車も同じようにコースオフしていたね。僕はここでのレースは初めてで、尚貴は僕に、あのコーナーにはマーブル(タイヤカス)があると忠告してくれていたけど、ずいぶん遅いGT300のクルマが前にいたので、エキサイトして外側から抜こうとしたら突然フロントを失った。マーブルのせいで、まるでウェットで走っているみたいだった。コースオフしたけれど、なんとかグリップさせて復帰して、タイヤをきれいにするのにたぶん3秒くらいタイムロスしたけれど、まだ運がよかった。芝生がラジエターに入ったけれどそれも問題はなかった。

(6戦目での勝利は期待していたよりも早かったか、遅かったか、という問いに)特に何かを期待していたことはない。F1と比べたらどんなレースも簡単だろうと思う人がいるかもしれないけれど、そんなことはない。SUPER GTはすごくコンペティティブなカテゴリー。ドライビングの難しさもあるし、予想以上にレースはタフ。6戦目で優勝して、今シーズンは開幕戦でも2位を獲得できていて、僕ら2人ともハッピーだとは思う。もっと早く優勝できればよかったけれど、これがSUPER GTだということ。常にタフなレースと言える。なんとか優勝できたとはいえ、今はもうその次を見据えている。

GT300クラス 61号車SUBARU BRZ R&D SPORT

井口卓人選手
井口卓人選手

 山内選手は本当に、“SUGOく”SUGOが得意なんだなって思いました(笑)。前半の逃げは素晴らしいタイムで走っていました。山ちゃん(山内選手)から無線で「タイヤきついかも」って入ってきたのがすごく早かったので、ロングランは覚悟してたんですけど、そのロングランも安定したラップで走れた。チームの皆さんも、苦労してこのクルマを作り上げてくれて、ファンの皆さんも懲りずに応援してくれて、そのお返しがここでできてすごくよかったと思います。個人的な話ですけど、昨年子供が生まれて、いつもパパは暗い顔をして帰ってくると思っているかもしれないので、今回は笑顔で帰れるのでほっとしています。

山内英輝選手
山内英輝選手

 あらためてSUGOが“SUGOく”好きなんだなと思いました(笑)。スタートからうまく流れをつかむことができて、チームのおかげでクルマのパフォーマンスはよかったんですけど、タイヤに問題があったのか変な振動があった。今までトラブルが続いていたのでそれが恐怖心に変わって、またトラブルが出るんじゃないかと怖かったんですけど、最後まで壊れないことを信じて走り切れました。最後に井口選手が長いスティントを担当してくれて、タイヤも最後までもたせてくれましたし、感謝しています。ダンロップタイヤ、チーム、スバル、皆さんの協力があったからこそ、この優勝があったんだと思います。