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マツダ 2019年3月期第2四半期決算、売上高は4.4%増の1兆7291億円ながら、営業利益は59.6%減の309億円

「平成30年7月豪雨」の影響で通期予想を下方修正

2018年10月31日 開催

決算説明会の出席役員。左からマツダ株式会社 取締役 専務執行役員 企画領域統括、グローバル IT ソリューション・MDI担当 古賀亮氏、マツダ株式会社 常務執行役員 企画領域統括補佐、財務担当 藤本哲也氏、マツダ株式会社 常務執行役員 営業領域総括、ブランド推進・グローバルマーケティング担当 青山裕大氏

 マツダは10月31日、2019年3月期の第2四半期6か月累計期間(2018年4月1日~9月30日)の決算内容を発表し、都内で決算説明会を開催した。

 2019年3月期の第2四半期6か月累計における売上高は前年同期比4.4%増の1兆7290億8800万円、営業利益は同59.6%減の308億7200万円、経常利益は同43.5%減の545億2100万円、当期純利益は同61.5%減の243億7700万円。グローバル販売台数は同2%増の79万6000台で、これは過去最高の販売台数としている。

 これに加え、8月1日に公表した2019年3月期通期(2018年4月1日~2019年3月31日)の連結業績予想の内容を修正。前回発表の数値から、売上高は200億円(0.6%)減の3兆5300億円、営業利益は350億円(33.3%)減の700億円、経常利益は300億円(23.1%)減の1000億円、当期純利益は300億円(37.5%)減の500億円にそれぞれ下方修正している。

マツダ株式会社 常務執行役員 企画領域統括補佐、財務担当 藤本哲也氏

 最初にマツダ 常務執行役員 企画領域統括補佐、財務担当の藤本哲也氏が登壇して決算内容について解説。同日発表の第2四半期6か月累計決算について藤本氏は、クロスオーバー系車種の好調な販売モメンタムが継続しており、地域別では日本、アジア地域などが台数成長を牽引。3列シートクロスオーバーSUVの「CX-8」は日本に続き、オーストラリアとニュージーランドで販売を開始して、順調な滑り出しになっていると過去最高となった車両販売について説明した。

 日本各地に大きな影響を与え、マツダの本社や工場などがある広島県で土砂崩れや浸水による被害が多数発生した「平成30年7月豪雨」の販売面での影響については、在庫車をリーンに絞り込むことで影響を最小化に努めたと藤本氏はコメント。また、2019年3月期の通期見通しについて、平成30年7月豪雨の影響による販売台数減に加え、為替前提、品質関連費用の見直しなどを反映して、グローバル販売台数161万7000台、営業利益700億円、当期純利益500億円に下方修正したことを紹介して総括とした。

2019年3月期 第2四半期6か月の決算総括

 市場別の販売状況では、日本市場は対前年比7%増の10万3000台となり、登録車シェアは対前年比0.4ポイント増の5.2%。CX-8が幅広いユーザーから支持されているほか、「CX-5」も前年同水準の高い販売台数をキープしている。このほか、「CX-3」「アテンザ」「デミオ」で実施した商品改良についても順調な販売に貢献しているという。

 北米市場では対前年比2%増の22万2000台となり、米国では、市場全体でセダン系車種の需要が落ち込んでいる中、商品改良を実施した「Mazda6(アテンザ)」が販売台数を維持。クロスオーバー系の車種は全モデルが前年以上の販売台数となり、前年同水準の15万1000台となっている。カナダでは対前年比3%増の4万3000台、メキシコでは「Mazda2(デミオ)」が台数を伸ばして対前年比10%増の2万8000台を販売している。

 欧州市場ではCX-5が対前年比20%増で4万8000台の販売と好調に推移しており、全体で対前年比2%増の13万5000台を販売。ロシアを除く欧州としては対前年比1%減の11万8000台となっているが、ロシアでは対前年比30%増という高い伸びで1万6000台を販売している。

 市場別で唯一大きく落ち込んでいるのが中国市場で、米中の貿易摩擦などの影響から買い控えのマインドが発生して販売環境が悪化。「Mazda3(アクセラ)」など主要モデルでも販売台数が減少して、対前年比11%減の13万3000台の販売になっている。これを受けてマツダでは、新技術説明会やデザインフォーラムの実施などで商品価値の訴求を実施。インセンティブに頼らない販売戦略を進めているという。また、2018年末の市場投入を予定しているCX-8についても、計画どおり進めて販売台数増に貢献することを期待していると藤本氏は語った。

 その他市場での販売台数は、対前年比8%増で20万2000台。中国市場の動向に強く影響を受ける状態となっているオーストラリアでは対前年比5%減の5万6000台の販売となったが、CX-5が販売を伸ばしており、新たに市場投入したCX-8も順調に立ち上がりになっていると説明。ASEAN地域については対前年比28%増の6万6000台を販売。ディーラーネットワークを強化したタイで対前年比40%増となり、ベトナムでも対前年比25%増と躍進している。

グローバル販売台数の一覧
日本市場は対前年比7%増の10万3000台を販売
北米市場は対前年比2%増の22万2000台を販売
欧州市場は対前年比20%増の4万8000台を販売
中国市場は対前年比11%減の13万3000台を販売
その他市場は対前年比8%増の22万2000台を販売

 また、平成30年7月豪雨の影響については、7月9日の豪雨以降に本社・宇品工場、防府工場で一時的に操業を休止。段階的に再開していき、9月10日からは正規操業をスタートさせた。この影響から、車両生産で4万4000台、海外生産用部品で2万3000台分が生産減につながり、業績面で約280億円の損失となっている。この対策として、前出のようにグループ内の在庫車を最大限に活用し、出荷への影響は生産減の約半数となる約2万2000台の減少に抑制した。

 通期見通しについては出荷の仕向地調整、リーンな在庫での販売対応、生産現場での地道な増産対応といった取り組みを行ない、下期での出荷影響をオフセットしていくとした。業績面での影響は、上期同様のレベルになるとの見通しで、引き続き影響の最小化に向けてリカバリーの最大化を図っていくと藤本氏はコメントしている。

財務指標では、売上高以外の各項目がマイナスとなっている
営業利益の変動要因
平成30年7月豪雨の影響のまとめ
2019年3月期通期のグローバル販売台数見通し
2019年3月期通期の財務指標見通し
2019年3月期通期の営業利益変動要因(対期初公表比較)
2019年3月期通期の営業利益変動要因(対前年比較)
2019年3月期で、これまでに取り組んできた各種施策と今後の予定。11月下旬に行なわれるロサンゼルスモーターショーで「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づいて開発した「次世代モデル第1弾」を公開する
米国での販売ネットワーク改革も順調に進んでいると強調
「電動化」「コネクティビティ」の技術戦略
現在進めている「足場固め」の先にある次期中期計画で本格的成長を目指す

 説明会の後半では質疑応答が行なわれ、販売台数が過去最高となる伸びとなっているにもかかわらず減収になっている要因について、藤本氏は「販売競争の激化によるインセンティブの増加が台数増を上まわったことに加え、ここ最近で安全技術の標準装備化を推し進めていますが、この搭載コストが販売価格に直結させられないこともあります。さらに当社ではフィアットさんやトヨタさんにOEM供給をしていますが、この台数が減ってしまったこともあって、出荷台数は増えていますが利益は台数構成でマイナス方向になっている状況があります」と解説。

 また、間近に控えた米国の中間選挙について、米国で政権交代などが起きるとその結果に自動車メーカーも大きな影響を受けることから、これについてどのように見ているかについて問われ、これについてはマツダ 取締役 専務執行役員 企画領域統括、グローバル IT ソリューション・MDI担当 古賀亮氏が回答。

 古賀氏は「1企業としてはコメントする立場にないが、あくまで個人的な意見として」としつつ「中間選挙が行なわれるタイミングでは為替が不安定になる傾向にあり、これは会社としてとても困っているところ。また、新しいNAFTA(北米自由貿易協定)に関連する法案が審議されているところですが、この審議が停滞することがあれば、これもネガティブな影響だと思います。最後に、議会運営では立場が苦しくなってくると、さらに強硬な考えが出てきたりするのではないかと、個人的には考えています」とコメントしている。

質疑応答でコメントする藤本氏
質疑応答でコメントするマツダ 取締役 専務執行役員 企画領域統括、グローバル IT ソリューション・MDI担当 古賀亮氏