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マツダ、2020年3月期 第2四半期の営業利益は前年同期比13.5%減の258億円。今後の方針を藤原副社長が語る
「SKYACTIV-X M-Hybridの認可が下り、商品化は順調に進捗」
2019年11月2日 09:15
- 2019年11月1日 開催
マツダは11月1日、2020年3月期における第2四半期(2019年4月1日~9月30日)の決算説明会を開催した。同期の累計売上高は1兆7066億円で対前年同期比1.3%減と最小限に抑えたものの、営業利益は258億円で同13.5%減、経常利益は340億円で同36.4%減、当期純利益は166億円で同30.3%減と大きく落ち込んだ。
また、通期見通しでは、累計売上高は対前年比1.8%減となる3兆5000億円、営業利益は同27.1%減の600億円、経常利益は同39.7%減の700億円、当期純利益は同31.9%減の430億円を見込む。
通期の営業利益は期初見通しの半分近くに
説明会では、マツダ 常務執行役員の藤本哲也氏が決算実績を解説した。第2四半期の営業利益については、出荷台数は減少しているものの販売費用の抑制や単価の改善などによって「台数・構成」において312億円の増益。「コスト改善」においてはコスト削減効果が原材料価格の上昇分を上まわって105億円の増益を果たしたものの、「ユーロやオーストラリアドルの悪化」による375億円の減益が大きく響き、その他開発費の高騰などもあって、前年同期と比べ40億円減の258億円となった。
通期見通しにおける営業利益については、「台数・構成」で477億円、「コスト改善」はさらに進んで211億円とそれぞれ増益を見込むが、為替の影響による799億円の減益がやはり大きく、前年比で223億円減の600億円になるとしている。期初に公表した営業利益見通しは1100億円だったが、今回の見通しでは500億円減少し、半分近くとなる。
第2四半期累計のグローバルにおける販売台数は、世界的な需要減もあって欧州市場以外が対前年同期比でいずれも減少。「販売費用の抑制や単価の改善など、将来に向けた販売の質的改善に優先して取り組んだ」としたものの、前年同期比8%減となる73万1000台で、全市場のトータルで6万5000台減少した。通期では米国、欧州、中国市場が微増となるが、日本やその他の市場で減少し、前年比1%減の155万台を見込んでいる。
MAZDA3の「SKYACTIV-X M-Hybrid」認可取得。技術開発は「順調に進捗」
こうした厳しい状況を受け、マツダ 代表取締役 副社長執行役員の藤原清志氏が、すでに発表済みの中期経営計画の概要と、今後の具体的な方針ついて説明した。
マツダの中期経営計画は、2020~2025年の、通常の製品開発の1サイクルとなる6年間における施策を定義するもの。現在、すでに「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electric)のようなクルマのテクノロジーに関わる変革と、「働き方改革」による業務の変革は避けられない時代になっており、藤原氏は「これらの変革をグローバルに、かつ1度に対応することが今求められている」としたうえで、2030~2040年にマツダとして「ありたい姿」に向けた重要な「ファーストステージ」として、この6年間を位置付けている。
中期経営計画の達成に向けた中期経営方針は「独自の商品・顧客体験への投資」「ブランド価値を低下させる支出の抑制」「遅れている領域への投資」という3つの要素からなる。1つ目の「独自の商品・顧客体験への投資」については、マツダコネクト2などのコネクテッド機能の導入、24V M-Hybrid(マイルドハイブリッド)の商品化などが実現済み。
これらは新世代商品第1弾となる「MAZDA3」から導入され、10月から販売を開始した「CX-30」も新世代商品第2弾として登場。東京モーターショー 2019で発表された、マツダとして初の量産EV(電気自動車)となる「MX-30」も2020年の発売を控えている。また、10月30日には日本においてもSKYACTIV-X M-Hybridの認可が下りたとのことで、藤原氏は「先行的に投資したCASE時代に必要な技術を織り込み、商品化が順調に進捗している」と胸を張った。
このほか、グローバルでの車名の統一、少ない商品群でも幅広いニーズをカバーするパワートレーンによるバリエーション展開などでブランド価値の向上を図っているとした。最新世代はもちろんのこと、現行世代の車種にも先進技術を投入することで商品改良したトップモデルを用意。量販価格帯からプレミアム価格帯まで「価格カバレッジ」を拡大したこともブランド価値向上に寄与しているとする。
ただし、価格カバレッジを広げたことをもって「マツダを高級路線に導こうとしているものではありません」と藤原氏は強調。量販価格帯のモデルにも先進技術を投入し、プレミアム価格帯のいわゆるラージ商品群には「高い商品価値に対して納得感ある価格」を提示。さらには販売現場のIT化、環境整備などを通じて、独自のブランド価値の醸成を目指しているとした。
2つ目の「ブランド価値を低下させる支出の抑制」に対しては、広告手法などにおける積極的なデジタル化や、欧州市場で実施済みの「KEEP ME INFORMED」という「双方向コミュニケーションハブ」の導入地域拡大を例として挙げた。また、即納できる販売体制やシステム変更による在庫の極小化、適切な年次改良による高い車両残価の維持、コネクテッド技術の活用による不具合発生の未然防止なども目指すとした。
3つ目の「遅れている領域への投資」については、主に製造現場における効率化、高精度化に関連する技術として、シミュレーションを駆使するモデルベース開発やモデルベースリサーチに向けたIT環境の充実、販売支援システムの拡充、さらには走行データや顧客情報を活用する次世代コネクテッドサービスの日本、米国での展開などを進めているとのこと。EVやコネクテッド、自動運転にかかわる協業も多数進行している状況だと語った。
その上で、中期経営計画における2020年からの6年間のうち、前半3年間は「足場固め」の期間、後半3年間は「本格的成長」の期間と定める。最初の3年間は現行世代の商品改良と、新世代の量販価格帯であるスモール商品群で収益を支えるとともに、CASEや新世代のラージ商品群への先行投資を行なう。そして後半の3年間では、最初の3年間を足場に、米国の新工場の立ち上げもプラスして、販売台数180万台、売上高4兆5000億円、5%超のROS(売上高利益率)を達成可能な成長軌道に乗せると意気込みを見せた。