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ファーウェイ、アウディとの協業で自動運転レベル4を達成。ボッシュとの提携も発表

NVIDIA製品の性能を10%上回る新AIチップ搭載の車載モジュール「MDC 600」

自動運転に用いられたファーウェイのAIチップ搭載車載モジュール「MDC 600」

 中国企業のファーウェイは、中国・上海で開催した同社の年次イベント「HUAWEI CONNECT 2018」(会期:10月10~12日)において、アウディとの協業による自動運転車の市街地走行試験を実施し、自動運転レベル4を達成したことを発表した。

 352TOPS(Tera Operations Per Second)の処理能力を有する車載モジュールをファーウェイが新たに開発し、テスト車両に用いた。合わせて、自動車関連部品メーカーとして知られるボッシュとのクラウドサービスにおける提携も発表した。

アウディ Q7で市街地走行からオートバレーパーキングまで

イベントで発表されたMDC 600

 ファーウェイが開発した車載モジュールは「MDC 600」と呼ばれる。イベント初日の10月10日に発表したAI処理に特化したプロセッサ「Ascend 310」を8個搭載し、16個のカメラ、6個のミリ波レーダー、16個の超音波レーダー、8個のレーザーレーダーを制御可能なスペックを誇る。ディープラーニング処理能力は352TOPSで、この数値はNVIDIA製の自動運転車向け車載モジュールDRIVE AGX Pegasusの320 TOPSをちょうど10%上回ることになる。

MDC 600の主な性能
AIチップ「Ascend 310」を8個搭載する
背面のインターフェース

 テストでは、MDC 600をアウディ Q7に搭載し、カメラを14個とした以外はレーダー類をスペック上限まで利用したうえで、HDマップデータなどと組み合わせ、中国国内の市街地をあらかじめ決められたルートで走行。車両や歩行者などが混在する交差点を含むルートを、運転席に誰もいない状態で自動運転し、最後は地下駐車場へのオートバレーパーキングで走行を終えた。

テストに用いられたのと同型のアウディ Q7
車両には14個のカメラ、30個のセンサー類が装着
トランクに収められたMDC 600などの機器

 ステージでの発表時やイベントの展示会場では、自動走行のデモを動画で公開。車載映像、センサーによる周囲の認識状況、HDマップ、および車両ステータスなどを同時に見せながら、混雑する市街地の中を走る様子を披露した。交差点では対向車とのすれ違いを安全に行なうだけでなく、前方の車載映像では死角になっているところから横切る歩行者なども認識し、やり過ごしてから通過するシーンを見ることもできた。

 多くの部分が早回しの映像になっていたため、車両の細かな挙動をはっきりと確認することはできなかったものの、ブレーキングやハンドル操作においてはスムーズさに欠けるように見える場面、対向車に気を使わせて停止させる場面もあった。とはいえ、複数車線の広い道路も、片側1車線の狭い道路も問題なくクリアし、完全に無人の状態で自動駐車を終えるところまで見ると、ファーストリリースの段階であるにも関わらず高い完成度を実現していると感じられる。

ステージでの発表時に披露された自動運転の映像
カメラとセンサーが捉えた多数の映像
交差点を右折するときの車載映像
HDマップや周囲の認識状況を表示
最後はオートバレーパーキングで締めくくった

 このほか、ファーウェイは自動車部品メーカーのボッシュとの提携も発表した。ボッシュが持つIoTデバイス向けソリューション「Bosch IoT Suite」を、ファーウェイのクラウドプラットフォーム「Huawei Cloud」上から利用できるようにする。パブリック、プライベート、ハイブリッドのいずれにも対応可能で、多様な既存サービスと組み合わせることが可能なHuawei Cloudとの連携により、大量のユーザーやデータを扱うことの多いIoTデバイスにおいて、応用範囲が広く、よりスケーラビリティの高い運用が可能になるものと期待される。

Bosch Software InnovationsのCEO ステファン・フェルベール氏(左)と、ファーウェイのバイスプレジデントであるチェン・イエライ氏(右)が壇上で握手(写真提供:ファーウェイ)