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ラリードライバー 奴田原文雄選手が、横浜ゴムのオールシーズンタイヤ「ブルーアース 4S」で雪上を激走
スタッドレスタイヤ「アイスガード 6」との違いを映像で
2019年2月1日 18:37
横浜ゴムは同社が北海道 旭川に所有する「北海道タイヤテストセンター」(TTCH、Tire Test Center of Hokkaido)において、スタッドレスタイヤ「アイスガード 6」などの説明会を開催した。その一環として、2018年から欧州市場に投入したオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」(以下、ブルーアース 4S)の試乗会やトラック用スタッドレスタイヤへの取り組みも詳説。同社の冬タイヤに関する最新技術の報告会となっていた。
これら多数のメニューの中から、本記事では横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「アイスガード 6」を装着して全日本ラリーを戦う、ラリードライバー奴田原文雄選手による同乗走行をお届けする。
奴田原選手は日本のラリードライバーを代表する選手。全日本ラリーでは、同じく日本を代表するラリードライバーとして知られる新井敏弘選手と激しくチャンピオン争いを繰り広げており、ランサー エボリューションの使い手としても有名だ。
TTCHで行なわれた試乗会のメニューの1つとして、その奴田原選手のドライブによる同乗試乗を実施。基本は奴田原選手が全日本ラリーで使用するスタッドレスタイヤ「アイスガード 6」を装着したランエボだったが、お楽しみメニューとしてオールシーズンタイヤ「ブルーアース 4S」を装着したCX-5の同乗走行も用意されていた。
オールシーズンタイヤ「ブルーアース 4S」は、ASTM International(American Society for Testing and Materials)による「Snowflake Mark」の認定を受けており、雪上走行性能を持つタイヤになる。ただし、スタッドレスタイヤのような氷上走行は想定しておらず、積雪路面での走行性能となる。そのため、日本の降雪地域で頻繁に発生する交差点手前のミラーバーンなどには対応せず、スタッドレスタイヤが普及している日本では販売されていない。
奴田原選手による同乗走行は、まずはスタッドレスタイヤ「アイスガード 6」を装着したランエボから。映像を見てもらえれば分かるが、60km/h以上の速度で雪道を文字どおりかっ飛んでいく。全日本ラリーでは、雪上ラリーでは市販スタッドレスタイヤのみが許可されており、アイスガード 6は奴田原選手が普段レースで使用している普通の市販品とのこと。ドライバーの腕が超一流なのは間違いないが、このような走行もアイスガード 6の雪上&氷上グリップ力があってこそのものだという。
雪上では奴田原選手のステアリング操作により、助手席に乗っても分かるほどのヨーが初期から発生し、薄い雪の膜の下から顔を出す氷上でもワンテンポ遅れるものの曲がっていこうとする力が発生する。奴田原選手はそれを間髪入れずに捉え、しっかりとコーナリングラインにクルマを乗せていく。
一方、オールシーズンタイヤ「ブルーアース 4S」を装着したCX-5は、薄い雪の膜の下からツルツル路面が顔を出すコンディションでまったくグリップをしないと思いきや、意外とグリップ感がある走りを体感できた。雪が積もっていれば確実に曲がっていき、雪の膜の下からツルツル路面が顔を出すコーナーでも、大きく膨らむ(一般道で対向車があったら事故確実)ことはあっても、ペースが落ちると曲がる力が発生し、奴田原選手はそれを巧にコントロール。しっかりコーナリングにつなげていた。
また、ブルーアース 4Sの走行時は悪天候がさらに悪化してホワイトアウト状態に。奴田原選手でもコースミスをして雪の山に軽く突っ込んでしまうが、さくさくっとバックで脱出できていたのが印象的だった。
この雪でも走れる性能をもったオールシーズンタイヤのジャンルは欧州で成長しており、約10%程度になるという。横浜ゴムはこの市場に欧州で切り込み、高い評価を獲得。それもあって同乗試乗を実施した。
確かにこの性能は驚異的ではあるものの、やはり氷上性能はスタッドレスタイヤとしてトップクラスの性能を持つ「アイスガード 6」と比べると雲泥の差がある。今回はフラット路面だったが、例えば夜の山道の下りの雪道のコーナーを「ブルーアース 4S」で走りたいかと言われると、表面は雪でもその下の状況を把握しづらいためそれは避けたい。
とはいえ、夏の路面もサマータイヤと同様に走ることができる上、雪道も一定の性能が確保されているのは魅力的だ。この特性をしっかり使いこなせる知識がある人にとっては、手に入れてみたいタイヤだろう。
そういったことも考えると、販売する場合はタイヤの販売実績のある横浜ゴムの直販サイト「ADVAN STYLISH COLLECTION ONLINE SHOP」(ADVAN消しゴムの販売で有名)などでの直販がよいのではないだろうか。購入者を特定でき、購入者からダイレクトな意見を得ることもできる。この分野のタイヤの本格的普及は始まったばかり。どのように成長していくか、今後が楽しみなタイヤだ。