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まるっと1日氷上を走行! 女神湖の「2019 iceGUARD 6&PROSPEC Winter Driving Park」に参加してみた

2019年1月19日 開催

氷上ドライビングレッスン「2019 iceGUARD 6&PROSPEC Winter Driving Park」が女神湖で開催された

 弊誌でもおなじみの元ラリードライバーでモータージャーナリストの日下部保雄氏が主催する氷上ドライビングレッスン「2019 iceGUARD 6&PROSPEC Winter Driving Park」が、1月19日に女神湖(長野県北佐久郡立科町)で開催された。

 この氷上ドライビングレッスンは、冬季に全面凍結する女神湖で、日下部氏をはじめ現役レーシングドライバーやラリードライバー、ジムカーナチャンピオンといったプロからのアドバイスを受けつつ、マイカーで凍結路面を走行できるというもの。

 この日の女神湖の天候は、ほとんど風もなくパキッとした冬晴れ。氷上ドライブができるようになった初日ということで、全面凍結した湖面の状況はよく、適度な雪もありコースが分かりやすいという、走行にはうってつけのコンディションだった。

湖上に車両を搬入する前に、下まわりを洗浄する
さまざまな駆動方式の車両が冬晴れの女神湖に集まった
ドライビングパークは横浜ゴムが協賛
TALEX(タレックス)の偏光サングラスの貸し出しも行なわれた

 走行の前に行なわれた開会式では、日下部氏が「自分が若いころ友達と練習をしたときに、いろんなシチュエーションで人の横に乗ったり、乗ってもらったり、あーでもない、こーでもないと勉強になったし楽しかった思いを皆さんにも共有していただきたいと思って、このドライビングパークを行なっています。3つのプログラムごと、2名のインストラクターがいます。一緒に悩むことはできると思いますので、遠慮なく声をかけてください」とあいさつした。

元ラリードライバーでモータージャーナリストの日下部保雄氏が“校長”を務める

 続けて、この日のインストラクターを務めた6名を紹介するとともに、コースの説明とアドバイスを実施。この日のコースは、手前に車両の制動力を確かめるためのブレーキングゾーン、奥にハンドリングの練習ができるスラロームゾーンを設ける「ブレーキング&スラロームエリア」、4つの円旋回コースを備え、アクセルワークとハンドリングの練習が行なえる「アクセルワークエリア」、回り込むコーナーを備え、スピードが出てしまいやすい「ハンドリングエリア」の3種類のコースが設けられた。

中央の日下部氏のほか、6名のインストラクターが参加
全日本ジムカーナチャンピオンを11回獲得した斉藤邦夫氏
スーパー耐久シリーズのほか、2018年のニュルブルクリンク24時間耐久レースにも参戦した松井猛敏氏
WRC(FIA世界ラリー選手権)への参戦歴を持つ小西重幸氏
全日本GT選手権への参戦歴を持つ岸剛之氏
TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge 2018にヴィッツで参戦し、チャンピオンを獲得した森岡史雄氏
スーパー耐久シリーズでチャンピオンを獲得した経歴を持つ廣川和希氏

氷上ではクルマが普段と違う乗り物に……!

 開会式の後は、8台ずつ3チームに分かれて走行プログラムを開始。といっても、自分の走りたいコースを好きなだけ走れるので、参加者は思い思いのコースで氷の感触を確かめていた。

1回50分のフリー走行時間の中で「ブレーキング&スラロームエリア」「アクセルワークエリア」「ハンドリングエリア」の3つのコースを、インストラクターのアドバイスを聞きながら自由に走ることができる

 記者も横浜ゴム製「iceGUARD 6(アイスガード シックス)」を装着したアウディ「RS 3 スポーツバック」をお借りして、3コースを走行。雪の上と氷の上でグリップ力がまったく異なることに戸惑いつつも、低速だからこそしっかりと路面の状況の違いが分かることに感心。もちろん、路面状況が伝わってもそれをうまく運転に活かせるかどうかはまた別の話で……。普段舗装路で乗っているクルマがまったく別の乗り物になってしまったかのように思えた。

記者は横浜ゴム製「iceGUARD 6(アイスガード シックス)」を装着したアウディ「RS 3」をお借りして走行

 そこで、各コースのインストラクターの方に運転をしていただき、アドバイスを頂戴することに。まずはハンドリングエリアを担当していた森岡史雄氏の運転する横でコツを聞いたところ、「滑ったからといって、焦ってステアリングを切りすぎたりアクセルを踏みすぎたりすると体勢がより崩れてしまうので、勇気を持ってどちらも戻すように心がけてみてください。回ってしまっても諦めずに戻すことでグリップ力が回復して、復活できることもあります」とのお話をいただいた。

森岡氏からは「諦めないで!」とアドバイスをいただいた

 アクセルワークエリアを担当していた斉藤邦夫氏からは「グリップしていないときにステアリングを切りすぎてしまうと滑ってしまうので、じっくり進んでグリップした感覚があったらアクセルを踏んでステアリングを切ると曲がっていきます。これは、駆動方式にかかわらずどのクルマでも一緒です」というアドバイスをいただいた。

斉藤氏からは「駆動方式にかかわらず、じっくり操作する」と教えていただいた

 ブレーキング&スラロームエリアを担当していた小西重幸氏からは「スラロームは3ステップくらい先読みして、ステアリングを切って曲がっている途中でステアリングを戻す、またすぐステアリングを切って戻す、という操作を早めに行なうとスムーズに走れます」というアドバイスをいただいた。さらに、「アンダーステアが出ている時、ちょっとグリップしたところでアクセルを“ガツン”とラフに入れると車両の体勢が崩れて、“クルマ本来の楽しみ”が味わえます(笑)」という、氷上だからこそ体験しやすい挙動のお話も聞くことができた。

小西氏からは「早め早めの操作を心がける」ということと、“クルマ本来の楽しみ”の味わい方をレクチャーいただいた

 今回お話を聞いたインストラクターの方々はそれぞれ違うジャンルで活躍されているためか、ドライビングのアプローチ方法が少しずつ異なっていたのがとても興味深かった。その中でも、「氷上でしかできない体験をつうじて、クルマをもっと楽しんでほしい」という思いを共通して感じることができた。

 ドライビングパークでは、約50分間のお昼休憩を挟み、午前と午後合わせて各チーム50分のフリー走行をみっちり計4回実施。最後に、円旋回コースの対角線上に2台の車両が並び、先に3周するか、3周するまでの間に相手がスピンしたり、相手との距離をスタート時から半分以上縮めたりすると勝ち抜けとなる「カーチェイス」と、ハンドリングエリアの後半部分を走行し、設けられた停止枠の中に完全停止するまでのタイムを競う「タイムアタック」という、学んだことの集大成となるプログラムが行なわれた。

学んだことの集大成となるプログラム「カーチェイス」「タイムアタック」が行なわれた

 いただいたアドバイスを参考にコースを走行し、経験を積んだ(つもりの)記者も「じっくり、早めに、諦めない」と頭の中で唱えながら、カーチェイスとタイムアタックの両方に参加してみたのだが、カーチェイスでは混乱してステアリング&アクセル操作がうまくできず早々に敗退。タイムアタックに至っては気負いすぎたのか、アクセルワークがラフになりスタート直後に大回転を喫し、タイムは下位に沈んでしまった……。

 最後は華々しい結果を残すことはできなかったが、アドバイスをいただいたあとはハンドリングエリアを走っていて「ここっ!」というグリップを感じたときに、しっかりアクセル&ステアリング操作を行ない、思い描いたようなラインで走行できたときにはかなり気持ちがよかった。アクセルワークエリアではきれいな円を描くことは叶わなかったが、横滑り防止装置のON/OFFの挙動の違いや、丁寧なステアリング&アクセル操作を行なうとアイスガード 6はしっかりとしたグリップ力を発揮して曲がっていくことができることを体感できたし、ブレーキング&スラロームエリアでは“クルマ本来の楽しみ”の片鱗をちょこっとだけ味わうことができた。

 氷上走行にまだ慣れてない最初のうちは「私の知っているクルマと違う……!」と感じてしまったけれども、すべてのプログラムが終わるころには、「クルマの挙動とタイヤのことを考えて走ったら、もっともっとドライブって楽しくなるんだ!」とドライビングの新たな発見に出会える、充実した1日だった。

ドライビングパークの最後は豪華景品が当たる抽選会やじゃんけん大会が行なわれた

 日下部氏主催のドライビングパークは、冬だけでなく夏にも開催されており、そちらではドライビングの基礎をみっちり学ぶことができるような内容となっている。どちらもドライブがもっと楽しく好きになれることは間違いないので、興味を持たれた読者の方はぜひ1度参加してみてはいかがだろうか?