ニュース

ホンダ、英国工場での生産終了は「ブレグジットとは関係のないもの」と強調した八郷社長の記者会見質疑応答

次期シビックについても言及

2019年2月19日 発表

グローバルでの4輪車生産体制の見直しについて発表する本田技研工業株式会社 代表取締役社長 八郷隆弘氏

 本田技研工業は2月19日、グローバルでの4輪車生産体制の見直しについて発表。同日、東京 青山のホンダ青山本社で同社 代表取締役社長 八郷隆弘氏が記者会見を行ない、記者からの質問に答えた。

 今回、同社は欧州での4輪車生産体制の見直しについて、2021年中に英国の「ホンダオブザユー・ケー・マニュファクチュアリング・リミテッド」(以下、HUM)での完成車の生産を終了する方向であること、同じく2021年中にトルコの「ホンダターキー・エー・エス」での「シビック セダン」生産を終了することなどを明らかにした。

 質疑応答に入る前に欧州の生産体制について補足説明があり、八郷氏は「今回のわれわれの内容は、グローバルにおける生産配置と生産能力の適正化、それと電動化の加速を行なうために実施するもの。今回のタイミングの発表は、われわれの次期『シビック』の生産拠点を決定するタイミングになったため本日の発表となりました。今回の内容は、ブレグジット(欧州連合からのイギリス脱退)とは関係のないものとご理解いただきたい。また、今後も英国、トルコでの事業は継続していくので、両国政府とは従来どおり良好な関係を作っていきたい」と強調した。

 質疑応答では、英国での生産終了に関する質問が多く出された。

 現在、英国・ウィルシャー州スウィンドン市にあるHUMでは約3500名の従業員がおり、「シビック ハッチバック」「シビック TYPE R」を生産している。

 英国での生産終了についての感想を聞かれた八郷氏は「私もイギリスの4輪製作工場に駐在して、今回の決定は生産を終了する方向で協議に入ることで残念な思いでいっぱいです。ただ、ヨーロッパでのわれわれのブランドをもう1度強化していくんだという中で、グローバルでの生産配置、生産能力の適正化ということを考えると、今回の選択が一番ではないかと決断をいたしました」と話し、同工場の今後については「今日から労使間で協議が開始され、その中でどういう支援ができるのか、できる限りのことをやっていきたいと考えています」とした。

 また、今回の英国での生産終了はブレグジットの影響ではないとしたことについて質問がおよぶと、八郷氏は「われわれがHUMで生産しているシビック 5ドアは、65%がイギリスやEU以外への輸出となっている。北米に55%、日本を含めたそのほかの地域に10%が輸出となっている。このグローバル供給のほうがわれわれとしては課題感が大きく、ブレグジットでなくグローバルでの生産配置と生産能力の適正化、それと電動化を見据えてやってきたことで、ブレグジットを考慮していないと言っているのはそういうこと」と説明した。

 次期シビックに関する質問では、生産拠点に関して八郷氏は「北米向けのシビックは北米で生産しようということは決定しているが、その他の地域は検討中で、まだ言える段階ではない」とし、日本から欧州地域に輸出するシビックに対してのEPA発行の影響について聞かれると、八郷氏は「HUMで生産しているシビックの5ドア以外の機種は日本から輸出をしているので、その機種についてはEPAが包んでいくことで収益がよくなっていくと考えている」との見通しを示した。

 今後の欧州事業の展開についての質問に、八郷氏は「欧州事業から撤退することは考えていない。特にわれわれの中国での競争力を活用しながら、日本の競争力もそうですが、新たに電動化が加速する中で欧州での事業基盤を強化していきたい」と話すとともに、「欧州は早いスピードで変わろうとしていて、電動化を各国が積極的に採り入れようとしていますし、われわれは中国のボリュームが増える中で、電動化もやっていかないといけないので、そこをうまくチャンスにして戦っていきたい。もう1度そこをこれからやっていこうと考えている」などと話した。