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社員の手作りイベント「マツダ オープンデー 2019」レポート

魂動デザインが生み出されるデザイン本部内など普段は見られない施設も見学可能

2019年6月1日~2日 開催

6月1日~2日にマツダの広島本社で「MAZDA OPEN DAY 2019」が開催された

 6月1日~2日の2日間にわたって、マツダの広島本社で「MAZDA OPEN DAY 2019(マツダ オープンデー 2019)」が開催された。このオープンデーは、マツダ本社がある広島県安芸郡府中町など、周辺に住んでいる人にマツダの取り組みを知ってもらうために始まったイベントで、今回で4回目の開催となる。

 前回までは近隣の住民が対象となっていたが、今回は専用Webサイトで参加申し込みを受け付けた。そのため、広島県外の人でも自由に参加できるイベントとなり、マツダが想定していた応募者数を上まわってしまい、抽選で入場券が配布される形となった。来場者数は6月1日が3902名、2日が4442名となり、前回よりも2倍近い集客となった。

 オープンデーは、「来て!見て!体験!マツダで楽しさ大発見!」のコンセプトで実施されていて、とにかくコンテンツが豊富に用意されていた。どのコンテンツもマツダの社員が説明員となり、自らが携わっていることや取り組んでいることを熱心に説明してくれる。また、普段は立ち入ることができない本社内で催されているのも特徴。

 コンテンツは展示と体験に分かれていて、展示は「This is Mazda Design.」「パワートレイン技術展示&体験」「マツダの衝突安全技術展示&体験」「モノ造り歴史館」「レストア車両の展示」「クルマと記念撮影コーナー」「マツダミュージアム見学」「ロードスターと平成の30年展」「海外専用車の展示」「広島市消防団活動の展示&起震車による地震体験」「マツダ消防隊による消防車の展示&放水体験」。

 体験は「人間工学開発ラボ体験」「オーディオ音響開発室の見学&視聴体験」「電波暗室の見学」「CG体験コーナー」「キッズ走行ロボット開発体験」「灼熱&極寒体験 耐候実験室見学」「車両強度試験見学&体験」「ロータリー四十七士トークショー/ロードスターリバーサイドホテル物語」「技術本部 モノ造り説明コーナー」「地元協力会社 モノ造りROAD」「自動車専用船見学」「人馬一体試乗会」「こども免許証」「キッズ整備体験」「メカニック講座」「キッズ塗装体験」「ペーパークラフトコーナー」「来て、見て、話そう!環境や人にやさしいマツダの取り組み」「ぬり絵コーナー」「短大作品展示&おもちゃ体験」「RCカー走行体験コーナー」と、すべてを細かく見ていては、とても1日ではまわりきれないほどの内容となっていた。

社内のレストアプロジェクトによって蘇った車両が展示されていて、「MAZDA3」の発表会でもお披露目されていた「ファミリア」の姿もあった
参考出品されていた「CX-8」用のカールーフテント
会場内のいたるところにさまざまなヘリテージカーが展示されていた
国内では販売されていない海外仕様の車両。東南アジアなどで販売されている「BT-50」「マツダ2 セダン」「CX-4」「CX-9」が用意されていた
MAZDA3を使った人馬一体試乗会。高齢者の状態を疑似体感するスーツを試着し、ペダルレイアウトの重要性なども解説していた
歴代モデルのステアリングを展示し、変遷を紹介するコーナー。本革の素材を説明するコーナーもあり、部位によって異なる本革の質感を触って確かめることができた
エンジニアが自ら15万km以上を走行した「ロードスター NA8」のエンジンを分解して、内部の摩耗状態を説明するコンテンツ。エンジン内部を細かく解説していて、ここだけで長い時間を費やせるほどの内容となっていた
実際に開発時に使われているドライビングシミュレーターを体感できるコーナー
マツダのモノ造りを紹介するコーナーでは、塗装や板金、パワートレーンなどあらゆる技術を解説。ソウルレッドに塗られた「RX-7(FD3S)」のバンパーも展示されていた
マツダに納入していてるサプライヤーのコーナーも内容が充実
サプライヤーは計15社ほどが出展していて、自社のアピールとともに分かりやすく製品の技術力を紹介していた
魂動デザインが生み出されるデザイン本部内の一部も公開されていた。室内は車両のラインなどを見るために間接照明となっていて、スタジオのような内装。インテリアの仕上がりを確認するためのプロトモデルも公開されていた

 会場は前述のようにマツダの広島本社を使っているのだが、普段は携帯電話を持ち込むことも制限されていて、基本的にエントランス以外では撮影はできない。それが、オープンデーではほとんどのエリアで撮影が許可されるという大盤振る舞い。一部の施設内では撮影禁止だったが、それでも入場して開発施設を見学することはできた。また、通常は予約制となっているマツダミュージアムも開放されていて、撮影はできなかったが混流生産する製造ラインの見学も可能だった。

普段は予約制となるマツダミュージアム内も見学することができた。併設している混流ラインの工場も合わせて公開されていた

 そして、「ロータリー四十七士トークショー」「ロードスターリバーサイドホテル物語」といったマツダOBによる講演も開催。ロータリーとロードスターというマツダのヘリテージについて、現場を知る人から直接話を聞ける貴重な機会となった。ロータリー四十七士トークショーの後には、本社に残っているロータリーエンジンの研究室やエンジンベンチが置かれていた場所などの案内も行なわれた。

ロータリーエンジンを量産化させるために集結した「ロータリー四十七士」の1人、古元隆生さんによるトークショーも行なわれた。材料を専門としていた古元さんが、どのような研究や発想を経て「悪魔の爪痕」と呼ばれたチャターマークを解消したのかを解説
トークショーの後は、現在でも残されているロータリーエンジンの実験室などの史跡ツアーも開催された。ドアにはNSU-WANKELと書かれたライセンスが残っている

 このように充実した内容で開催されたオープンデーだが、想像以上に家族連れが訪れているのに驚かされた。子供向けの体験系コンテンツが充実していたのは確かだが、それだけでなくマツダに興味のあるファミリー層が多いということもあるだろう。

子供向けのコンテンツはどの区画にも用意されていて、クレイモデルを実際に削ってみる体験や、鋳物を砂型に流し込んで鋳造するコ-ナーなど、趣向を凝らしたコンテンツとなっていた
府中町の消防車やマツダ消防隊の放水体験、広島県警のパトカーや白バイの展示もあり、子供たちに人気のコンテンツとなっていた
こちらも子供に人気のキッズ整備体験コ-ナー。整備体験の車両がRX-8のパレードカー、AZ-1、NAロードスターと豪華

 マツダは、2020年の1月に創業100周年を迎える。100周年となる来年はオープンデーのほかに趣向を凝らしたイベントが開催されるはずなので、ぜひ現場でマツダのモノ造りやデザイン、乗り味などの魅力を体感してみてはいかがだろう。