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マツダ 人見光夫氏などが講演した「サステイナブルZoom-Zoomフォーラム2019 in横浜」開催

「MAZDA3」試乗や開発陣のトークでマツダの開発哲学や最新技術を紹介

2019年6月22日~23日 開催

6月22日~23日に開催された「サステイナブルZoom-Zoomフォーラム2019 in横浜」。会場では新型「MAZDA3」も展示された

 マツダは6月22日~23日の2日間、マツダR&Dセンター横浜(神奈川県横浜市)を会場にしたファンイベント「サステイナブルZoom-Zoomフォーラム2019 in横浜」を開催した。

 このイベントの起源となっているのは2007年に実施された「環境技術フォーラム」で、2012年より今のタイトルとなったという。2017年を除いて毎年開催されていて、今回で12回目となるイベントなのだ。

 6月の初旬に広島の本社で開催された「MAZDA OPEN DAY 2019」が、モノ造りを中心にした展示と体験型イベントだとすると、今回のイベントはフォーラムと名付けられているだけあって、マツダの役員やデザイナー、主査、技術者の講演がメインとなっている。

 もちろん講演だけではなく、体験型イベントとして「MAZDA3などの試乗会」「MAZDA3クレイモデル造形の実演とお客さま体験」「スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー体験試乗会」「先進ライトALH体験」「CG体験」などの催しも行ななわれていて、マツダの各技術を感じることができる。

MAZDA3をはじめとした新世代のラインアップを用意し、試乗できるコーナーもあった。試乗コースは30分程度となっていて、十分に魅力を感じ取れるコース設定だった

 また、撮影は禁止となっていたが、マツダの技術研究所が研究しているテーマや進捗を知ることができるコーナーもあった。1つは「ステアリングの反力と脳の関係について」で、ステアリングを切った時にどれぐらいの反力があると心地よいのかなどを研究しているそうだ。今までは社内のスペシャリストによる味付けに頼っていたが、将来的には脳の反応を考慮してステアリングの操作感を作っていくことも検討されている。

 もう1つはカメラの応用技術で、ドライバーの目線がどこを見ているのか、そして前方の輝度や彩度などに違和感があるところをセンシングすることで、より安全な運転を促す仕組みを作ろうとしている。具体的には、人間の目線とフォワードカメラを統合して、危険箇所や危険予測をして安全性を高める研究を行なっているそうだ。

MAZDA3から採用された「スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー」を体感できるコーナー。アクセラとMAZDA3の比較になるのだが、「ながらウォーク」と呼ばれる健康器具を車両に装着して、微低速で走行させる。MAZDA3は明らかに身体の揺れが少ない。つまり、シャシー性能が上がって乗り心地も向上しているということだ
数多くあるマツダの安全装備の一部も紹介されていた。「ALH(アダプティブLEDヘッドライト)」が実際にどのように機能するのか、そして「360°モニター」の使い勝手などを体験できる

 メインとなる講演は、マツダのシニアイノベーションフェローの人見光夫氏と執行役員の中井英二氏による「SKYACTIV-Xと内燃機関の将来展望」、商品本部 本部長の猿渡健一郎氏による「マツダが考える人間中心の開発哲学とは」、MAZDA3の開発主査を務めた別府耕太氏による「MAZDA3の開発秘話」、MAZDA3のチーフデザイナーを務めた土田康剛氏による「魂動デザインの深化とMAZDA3デザイン」「『走る歓び』によってマツダが目指すものとは」の5つ。それぞれの講演が各曜日で2~3回あり、1回が約1時間程度と充実した内容となっていた。

パワートレーンの開発を統括している中井英二執行役員と人見光夫シニアイノベーションフェローによる内燃機関の将来展望の講演は、登場間近の新世代エンジン「SKYACTIV-X」の開発秘話や、どのように性能を達成したか、そして内燃機関の可能性を紹介していた
猿渡健一郎氏の講演は、マツダが提唱している「人間中心」の開発哲学についての内容。クルマの開発に人間が持つ機能や感覚などを取り入れていることを説明し、車両のスイッチを押したときの人間の感覚を、来場者にスイッチに触ってもらいながら解説していた

 どの講演も、開発で直接担当している役員や技術者が来場者に紹介を行なうことが最大の特徴。普段はメディアなどを通して伝わっている技術などが生の声で聞けるとあって、どの回も多くの来場者を集めていた。ほとんどの講演が一方的な紹介ではなく、対話も交えた講演となっていて、疑問を投げかけることもできる。それだけに、オーナーはもちろん、技術者を目指す若者なども参加していた。

MAZDA3を担当した土田康剛チーフデザイナーは、セダンとファストバックのデザインの違いや魂動デザインの深化などについて絵を描きながら解説。デザイナー自らがイラストを描いて見せることも珍しいはず
筆者も出演した、MAZDA3の開発主査を務めた別府耕太氏のトークショーでは、開発初期から量産までの苦労話や普段は伝えることの少ない主査の役割などを紹介。対話形式も盛り込み、来場者の際どい質問などにも答えていた

 また、ファミリー層向けに「歴代マツダ車の缶バッチ製作」「車型ロボットのプログラム学習」「ぬりえ・ペーパークラフト」「ラジコンサーキット」など、子供連れでも飽きないコンテンツを用意。デザインの講演会場にはMAZDA3のクレイモデルも展示されていて、クレイモデラーの実演とともに子供が実際に削る体験が実施された。

 初日の6月23日は早朝からの雨にもかかわらず400名に迫る来場者が訪れ、翌24日もほぼ同様の来場者を集めた「サステイナブルZoom-Zoomフォーラム2019 in横浜」。2020年はマツダ創立100周年となるので、同イベントもさらに趣向を凝らした内容になるかもしれない。事前登録制だったが無料で入場できるので、次回は足を運んでみてはいかがだろうか。

子供連れのファミリー層も数多く訪れていたのは、子供向けのコンテンツが多数用意されていたことも理由の1つだろう。マツダ歴代モデルの缶バッヂが作れるコーナーや、塗り絵、PCでプログラミングしてクルマ型のロボットを動かすコーナー、ラジコン、CG体験が用意されていた
チーフデザイナーが講演したホールに置かれていたMAZDA3のクレイモデル。講演の合間には、クレイモデラーによる実演と子供向けの体験が実施された。クレイは粘土なので子供にも親しみがあり、人気のコーナーとなっていた
スマートフォンで撮影した写真をその場でプリントアウトして投票するフォトコンテストも実施。誰もが気軽に立ち寄れるコーナーで、終日人だかりができていた
マツダのオリジナルグッズなども多数販売されていた。「ロードスター」やロータリーエンジン関連のグッズは、やはり好評を得ていたようだ