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「誰もが羨望し、恋い焦がれるクルマを目指した」。新型「MAZDA3」発表会

名称をアクセラからMAZDA3にした理由とは

2019年5月24日 開催

フォトセッションに臨むマツダ株式会社 丸本明代表取締役社長兼CEO(右)と別府耕太主査(左)

 マツダは、5月24日から販売を開始した新型「MAZDA3」の発表会を、東京 天王洲のウォーターフロントに位置するB&C HALLで実施した。

 新型MAZDA3の詳細は、「マツダ、『MAZDA3』を発売。深化した魂動デザイン初の量産モデル」「写真で見る マツダ『MAZDA3』」をご覧いただきたい。

発表会の会場はMAZDA3が提供する心にゆとりが持てる世界観を再現したそうで、どこか落ち着いた雰囲気の中で展示車両を見ることができた
MAZDA3は、世界で最も権威のあるデザイン賞の1つである2019年レッド・ドット賞のプロダクトデザイン部門で最高位となる「ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞していて、その紹介もされていた
発表会開場の壁面もMAZDA3の世界観を表すデザインコンシャスな作りとなっていた
MAZDA3の内装に使われている素材や外装色のサンプルも展示
発表会の冒頭でスピーチを行なった丸本明代表取締役社長兼CEO

 ソウルレッドのファストバックとマシーングレーのセダンの2台がアンベールされた後に登壇した丸本明代表取締役社長兼CEOは、「マツダは、2020年に創立100周年の節目を迎えます。次の100年に向けて、規模が決して大きくないマツダが存続し続けるために最も重要なことは『マツダの独自性』です。それを決して独りよがりにならず人とともに作る。マツダの人とともに作る独自性は、例えば商品開発において人を第一に考え、人間中心の開発哲学に基づき、人の手で魂動デザインを作り上げ、売り手と作り手が共創する。従業員、取引先、販売会社と同じ志を持って、仲間として製品を仕上げていく。このような考え方に基づき、MAZDA3の開発を行なってきました」と述べており、マツダが次の100年に向けて重要視する独自性に基づいた開発を体現したのがMAZDA3となる。

 続けて、「深化した魂動デザインによるエモーショナルなファストバックとエレガントなセダン。人間中心の開発哲学に基づく、SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREがもたらす走る歓びがお客さまに感じてもらいたい価値であるのは言うまでもありません。すべての領域で質感を磨き、新世代商品の第1弾としてお客さまの期待にさらに高い次元で応えて、自信を持って届けられる商品に仕上がったと思っています」とスピーチを締めくくった。

別府耕太主査は、MAZDA3は見て、乗って、走ることで心にゆとりを持てるというテーマに沿って解説を行なった

 丸本社長に続いて登壇した、MAZDA3の開発主査を務めた別府耕太氏は、「このMAZDA3はわれわれのクルマ作りそのものと言っても過言ではありません。マツダはクルマの基本とも言えるコンパクトカーにおいて、ファミリアから脈々と受け継いできたチャレンジの歴史を持っています。そして、そうしたコンパクトカーを愛してくれる方々が世界中にいます。そうしたお客さまの期待を超えるべく、今この時代に誰もが羨望し、恋い焦がれるクルマを目指して開発を進めてきました」と、まずは開発のコンセプトを語った。

 そしてMAZDA3は、この時代に自分が自分らしくいられるクルマで、そのために大事にしたことが“心にゆとりを持てること”だという。心にゆとりを持つために「見る」「乗る」「走る」の3つで工夫があると別府主査は解説する。

「まず『見る』は、MAZDA3は主張しません。むしろドライバーの心に火を点してくれます。クルマに個性を与え、完成させるのはドライバー自身になります。なぜなら、誰もが心の中に描く憧れの姿を表現しているからです。2つ目の『乗る』は、MAZDA3はゆらぎません。乗る人の心と身体のコンディションを整えてくれます。身体をリラックスさせるのではなく、積極的に使える状態を作ることこそ、疲れないドライブを実現しています。3つ目の『走る』は、MAZDA3は途切れません。走り出すとクルマと一体になれる、マツダらしいドライビングフィールを体感いただけます。MAZDA3は進化したSKYACTIVエンジンを搭載し、走る歓びの幅を拡げてきました」と述べるとともに、SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREや新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」などの最新技術、深化する魂動デザインを全面的に採用して作り上げたMAZDA3は、ドライバーや乗員の五感を刺激し、単なる移動手段にはとどまらないクルマを目指してきたという。

MAZDA3のチーフデザイナーを務めた土田康剛氏(左)と別府主査

 スピーチの最後に、別府主査は「MAZDA3はお客さまの毎日に寄り添い、心にゆとりを持てるようになるクルマです。だからこそ奇をてらうことなく、クルマとしての当たり前を人の心が動くレベルまで磨き上げてきました。憧れの姿をまとったデザインが心に火を点してくれます。心地のよい室内空間が心と身体を癒やしてくれます。そして、自然な運転感覚が感性を研ぎ澄ませる。このクルマならば、乗る人の毎日を色鮮やかに輝かせることができると信じています」と、MAZDA3の持つ特徴について語った。

MAZDA3のファストバックは、キャラクターラインを使わず美しく湾曲したパネルのみでボディを構成し、リフレクションを強く意識させる
ファストバック専用色となるポリメタルグレーメタリック
MAZDA3のセダンは、ワンモーションの動きが美しく伸びやかなプロポーションが特徴

 なお、発表会後にMAZDA3というネーミングについて別府主査に聞いたところ、「ラインアップとしてはアクセラの後継になりますが、新時代の幕開けでもある第1弾モデルとしてマツダを代表する決意や意気込みなどを含めて、アクセラという名前は使わずMAZDA3にしました。ファストバックとセダンのキャラクターを変えたことや基本要素を一新したことなど、新しいクルマを作り上げたという想いもあるので、MAZDA3というネーミングはふさわしいと思っています」と車名について回答をもらった。

 新たな表現手法を用いた内外装のデザインや人間中心の開発思想で作り上げたSKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE、世界初の採用となるSPCCI(火花点火制御圧縮着火)によるSKYACTIV-Xなど、多くのトピックと最新技術を盛り込んだMAZDA3。SUVが全盛のこの時代において、クルマの基礎となってきたコンパクトカーがどのくらい評価されて販売台数を伸ばしていくのか、今後の動向を見守っていきたい。

MAZDA3の系譜となる「ファミリア プレストロータリークーペ」や「ファミリア」もこの発表会のために広島から運ばれた