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国内外のクラシックカー250台がエントリーした「第14回クラシックカーフェスティバル in 桐生」レポート

2019年11月3日 開催

アルファ ロメオ「ジュリア スパイダー」が群馬大学の会場からパレードにスタート

 14回目を迎えるクラシックカーフェスティバル in 桐生が11月3日、群馬大学 理工学部 桐生キャンパスにおいて開催された。

 このイベントは1980年までに生産されたクルマであれば国産車、輸入車を問わず参加可能で、2019年は250台がエントリー。会場ではエントリー車が国別に分けられて展示され、来場者の目を楽しませていた。

新旧の「スバル 360」が集結
おそらく最も古いスバル 360の市販車。1958年6月26日製造の車両とのこと
本田技研工業「バモス」と「モトコンポ」
アルファ ロメオのモデルが集まる一角
ベントレー「Rタイプ サルーン」(左)とロールス・ロイス「シルバークラウド」(右)
群馬大学 同窓会記念館横に展示されたシトロエン「2CV」
マツダ「コスモスポーツ」
右手前に置かれているのはトヨタ自動車「2000GT」の前期型。非常に素晴らしいコンディションのこの車両は都内から自走で参加したという
トヨタ「スポーツ800」
1959年8月登録で今年“還暦”を迎えたという日産自動車「オースチン A50」。完全オリジナルの未再生原型車とのこと

 例年会場の中心には、テーマをもとにしたクルマが展示されており、今回はレーシングモデルに注目。毎年多数のメーカーが協力を惜しまず、自社のコレクションからヒストリックカーを持ち込んでいるのだが、今回は2013年(第8回)に続いてホンダコレクションホールが本田技研工業「S800」と「ブラバム ホンダ BT16」を出展。S800は1968年の鈴鹿12時間自動車レースのGT1クラスに出場してクラス優勝を飾った車両そのもの。ブラバムは1965年に、ブラバムレーシングチームにホンダがサプライヤーとしてエンジン供給し、F2に初参加したマシンだ。今回展示された個体はジャック・ブラバム自身がステアリングを握り、同年の第6戦 フランスグランプリで2位に入ったものだという。

 そのほか、7台しか生産されなかったロータス「マーク8」やベントレー「スピード6」、ブガッティ「T38」が展示された。ロータス マーク8は7台中3台目に作られた個体で、ロータス設立メンバーの1人であるナイジェル・アレン氏が初代オーナーだという。1955年4月にイギリスのブランズハッチで開催されたレースで2位の成績が最高戦績のようだ。

レーシングマシンをフィーチャーした今回は、ホンダコレクションホール所蔵の「ブラバム ホンダ BT16」(左)と「S800」(右)が展示された
フィーチャーされて会場の中心で展示されたレーシングモデルたち

 このようにレーシングマシンが展示されて注目を集めた一方、このイベントは国産車、しかも地元の群馬ナンバーのワンオーナー車が数多く展示されているのも特徴だ。単にワンオーナーと言えば新車購入したオーナーがそのまま乗り続けているクルマを指すが、ここには父から子へ、祖父から孫へといった“家庭内ワンオーナー”のクルマも数多く見られる。それらが当時の雰囲気を色濃く残しながら、使い込まれた印象を持っており、今でも丁寧に使われていることをうかがわせる個体が多いのも特徴と言えるだろう。

 また、子供や若者からお年寄りまで幅広い来場者に楽しんでもらおうと、子供のお絵描き大会やフードコートも充実。そのほか、参加車両のうちの60台ほどが桐生市内をパレード。車両展示の静とパレードの動が組み合わされることで、クラシックカーの魅力が伝わるように企画されている。

パレードに参加するブガッティ「T13 ブレシア」
メルセデス・ベンツ「190C」
トライアンフ「ヴィテス」
逆スラントノーズで一世を風靡したいすゞ自動車「ジェミニ 1800 LS/G」
日野自動車「コンテッサ 1300 DX」
オリジナルコンディションの日産「ブルーバード」
車高を落としてカンパニョーロ製ホイールを装着した日産「サニー セダン 1200」
メルセデス・ベンツ「300 SEL 6.3」
日産「チェリー」。同社初のFFとしてデビュー。クーペや2ドアはイベントで見かけることもあるが、4ドアのX-1は珍しい
パレード参加車は全車ゼッケンを貼って走行
子供のお絵描き大会でロータス 17を描いているところ
子供のお絵描き大会で製作された作品。いずれも名作だ
群馬県警も協力して白バイとパトカーを展示。来場者を気軽に乗せて記念撮影に応じていた
会場ではミニカー販売といったさまざまなガレージセールも行なわれた

 この時期に桐生市では、桐生ファッションウィークと銘打ち、市内のあちらこちらで同時多発的にさまざまなイベントが開催されている。「そのメインとなるのがこのクラシックカーフェスティバル in 桐生だ」と語るのは、2019年4月に桐生市の市長に就任した荒木恵司氏。また、このイベントは桐生商工会議所の協力を受けて進められていることもあり、桐生商工会議所 会頭の籾山和久氏も応援に駆け付け「桐生は匠の街であり、ものづくりの街。そこから世界に発信できるレベルの高い商品を作っている」と言う。

 そして「ものを作るだけではなく、文化も必要と考えおり、このクラシックカーフェスティバル in 桐生は非常に大きなイベントに成長し、街を活性化するもの。そして桐生の文化の中に大きく位置付けられるイベントだ」と大いに評価。その一方、「50年前に買った日産 ブルーバード SSSのプラモデルが売っていたので、懐かしくて買ってしまった」と、1人のクルマ好きとしての側面も見せていた。

非常に珍しいツェンダップ・ヤヌス 250。前後にドアがあり、背中合わせで乗ることになる
ツェンダップ・ヤヌス 250のフロント側。イセッタなどと同じようにドアが開く
ツェンダップ・ヤヌス 250のリア側。こちらのシートは後ろ向きに座ることになる
先頭(右)はシムカ 1200 S、後方(左)は同じシムカ 1000 GLS
プリンス グロリア(左)。右は2代目のワゴンモデル
マツダ ルーチェ レガート(左)と三菱自動車 ギャラン ラムダ(右)。ルーチェ レガートはロータリーエンジンを搭載したセダン
少し車高を落として精悍さを演出している三菱自動車 ランサー セレステ
日野 コンテッサが4台も並ぶ。左にある黒いヘッドライトカバーを装着したクーペは1300Lで、20台が製造された軽量モデル
ウィリスや三菱自動車のジープ軍団

 このように、イベントは終始にぎやかな雰囲気の中、老若男女2万人を超える来場者が足を運んで大盛況で行なわれた。最後にこのイベントの実行委員長である前原勝良氏は、「皆さんが秋の1日を楽しんで笑顔で帰ってもらう、その顔を見るのが嬉しい」と述べ、会の終了まで会場の隅々まで歩きまわって、車両を展示するオーナーだけではなく、イベントを見に来た来場者とも交流していた。

恒例となったボンネットバスも登場。希望者を乗せて会場周辺をドライブした