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平成最後の「2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」レポート

平成元年生まれの5台の日本車も展示&走行

2018年11月17日 開催

 トヨタ博物館(愛知県長久手市)は11月17日、明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前 特設会場(東京都新宿区)にて、「2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」を開催した。

 12回目となる2018年のテーマは「Japanese Vintage Year 1989」。平成時代の幕開けとなった1989年、空前の好景気に後押しされて後にまで人気の続くモデルが多くデビューしたこの年を“ジャパニーズヴィンテージイヤー”と位置付け、100台ものクラシックカーに加えてテーマに沿った5台の日本車の展示を行ない、参加者、来場者が秋晴れの神宮外苑で楽しんだ。

オープニングセレモニー

 フェスティバルの開幕を告げるオープニングセレモニーでは、トヨタ博物館 館長の布垣直昭氏が主催者挨拶を行ない、「今年はテーマに沿ったクルマをメーカーの垣根を越えて集めることができたことで、このイベントが1歩ステップアップできた」と語り、協力を仰いだメーカーが快く協力してくれたことに感謝の意を述べた。

トヨタ博物館 館長 布垣直昭氏

 また、参加者代表の挨拶を行なった牛丸哲郎氏は「自動車に対する情熱や記憶、愛だとか、そういったものがずっと続いていけば自動車文化も長きにわたり醸成されていくのだろうと、今回参加してあらためて思いました。多くの方の記憶に残り自動車に対するハートに火がつくような1日になるよう共に盛り上げたい」と語った。

参加者代表 牛丸哲郎氏

 オープニングセレモニー終了後は恒例のクラシックカーパレードが行なわれた。参加車両約100台は中島秀之氏による1台1台の解説とともに、神宮外苑をスタート。二重橋~銀座~日比谷を走行して再び会場入りした。

ゼッケンNo.1のACソサイアブルが展示のみとなったため、パレードはNo.2 1927年 ロールス・ロイス ファントムIを先頭にスタートした
今年も中島秀之氏の解説とともにクラシックカーパレードはスタートした
パレードを終えた車両が続々と神宮外苑に戻ってきた。前方に見えるのは2020年に向けて建設中の新国立競技場

企画車両展示

 2018年のテーマは「Japanese Vintage Year 1989」。バブル景気のさなか、1989年に登場した5台の日本車が展示され、場内での走行も行なわれた。なお展示車両は各メーカーが所有するもので、これだけコンディションのよい車両が一同に揃うのは貴重だ。

スバル レガシィ ツーリングワゴン(1990)※1989年発売開始
トヨタ セルシオ(1991)※1989年発売開始
ニッサン スカイラインGT-R(1989)※1989年発売開始
ホンダ NSX(1990)※1989年発表 1990年発売開始
ユーノス ロードスター(1989)※1989年発売開始
メーカーの垣根を越え神宮外苑に集まった5台の日本車
会場では展示車の走行披露も行なわれた

記念乗車車両

今年も乗車して記念撮影ができるクラシックカーが3台用意された
1914年 フォード モデルT ツーリング(アメリカ)
1937年 ホルヒ 853(ドイツ)
1967年 ジャガー Eタイプ(イギリス)

来場者による人気投票

 会場では来場者による人気投票が行なわれ、30歳以上の来場者による投票ではNo.6「フォード モデルA」、29歳以下の来場者による投票「ユースセレクト賞」はNo.92「フェラーリ 308 GTS クワトロバルボーレ」が選ばれた。また、特別賞としてトヨタ博物館 館長賞にNo.37「ASA 1000 GT」、ヒストリカルコーディネート賞にはNo.17「ディーノ 196S(レプリカ)」、ベストコーディネート賞にはNo.34「ダットサン ブルーバード ファンシーデラックス」が選ばれ、表彰式が行なわれた。

30歳以上の来場者による人気投票で1位を獲得した「フォード モデルA」
人気投票2位の「ロータス Mk XI」
人気投票3位の「フォルクスワーゲン Type2 マイクロバス」
29歳以下の来場者による人気投票1位「ユースセレクト賞」は「フェラーリ 308 GTS クワトロバルボーレ」
トヨタ博物館 館長賞「ASA 1000 GT」
ヒストリカルコーディネート賞「ディーノ 196S(レプリカ)」
ベストコーディネート賞「ダットサン ブルーバード ファンシーデラックス」

 平成最後のトヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑は「Japanese Vintage Year 1989」をテーマに掲げ、平成元年に発売または発表されたクルマとともに催され、各メーカーから出展されたコンディションのいい車両が来場者を楽しませた。ちなみにマツダの出展した赤いユーノス ロードスターは、今年90歳になる女性オーナーから寄贈された1台で、ユーノス ロードスターの発売当時60歳だったオーナーが赤いちゃんちゃんこの代わりに購入したというエピソードを持つ。

マツダが出展したのは今年90歳になる女性オーナーからメーカーに寄贈されたユーノス ロードスター

 ビッグ3以外のアメリカ車を探していたというオーナーの「デロリアン DMC-12」は、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開の遥か前から雑誌などでこのクルマを知って憧れ続けたという。オーナーにとってデロリアンは劇中車ではなく、あくまで30年以上前から憧れ続けているアメ車なのだ。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の公開される前からこのクルマに憧れ続けていたというオーナーの「デロリアン DMC-12」

 また、今回のフェスティバルに親子で参加していた白い「トヨタ スープラ 2000GT ツインターボ」のオーナーは、初代「セリカ」から初代&2代目「セリカ XX」を乗り継ぎ、現在のスープラも新車から大切に乗り継いでいる1台だそうだ。息子さんが免許を取得して最初に運転したのもこのスープラだそうだが、この1台だけは息子さんに譲る気は無いと笑った。

白い「トヨタ スープラ 2000GT ツインターボ」」のオーナーは親子でこのフェスティバルで参加

 規定では一般参加車両は車歴が30年を超えるものとなっており、今年から1988年製造のクルマが仲間入りしている。貴重な戦前のモデルとともにクラシックカーと呼ぶにはまだ若いと思えるようなクルマも一堂に集まるのがこのフェスティバルの特徴であり、魅力の1つだ。古いクルマも、まだまだ若いと思えるようなクルマも、その1台1台にオーナーそれぞれのエピソードがあり、会場でオーナー同士や来場者が語り合う、ファンミーティングのような雰囲気も心地よい。

会場で販売されたトヨタ博物館オリジナルピンバッヂ&メモ帳の収益は、東日本大震災、熊本地震、西日本を襲った7月豪雨、北海道胆振東部地震の被災地に寄付される。また、会場内にはミュージアムショップやフードガレージも用意された

 2019年、新しい元号とともにトヨタ博物館も30周年を迎えるという。館長の布垣直昭氏は「こうした節目をステップアップの機会として、これからも自動車文化を盛り上げていきたい」と語った。