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11回目の開催となる「2017 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑」レポート

2017年11月25日 開催

 トヨタ博物館(愛知県長久手市)は11月25日、明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前 特設会場(東京都新宿区)にて、「2017 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑」を開催した。

 11回目の開催となる今年のテーマは「過去を振り返り未来を想う-動力源の遷り変わり-」。参加した100台を超えるクラシックカーとともに、テーマに沿ったさまざまな動力源の自動車も展示され、参加者、来場者がともに秋晴れの神宮外苑で楽しんだ。

オープニングセレモニー

 会場の絵画館をスタートし、二重橋~銀座~日比谷をパレードして再び会場入りする、一般参加車両約100台による恒例のクラシックカーパレードに先駆けて行なわれたオープニングセレモニーでは、トヨタ博物館 館長の布垣直昭氏が主催者挨拶を行ない「新しく登場したものだと思われている人も多い電気自動車は、実はガソリン車登場以前からありました。また、歴史的には蒸気自動車や木炭車など、多様な動力源があったことを今回の展示で振り返ってみてもらい、そこから未来のクルマがどうなるのかという想いを馳せていただければ幸せです」と語った。

トヨタ博物館 館長 布垣直昭氏

 来賓代表として登壇した自動車史研究家の高島鎮雄氏も、自動車の登場初期の動力源は電気、蒸気、ガソリン、三つ巴の戦いだったことや、19世紀末期のロンドン、ニューヨーク、パリのタクシーはほとんど電気だったという史実を披露した。また、人間にとって初めて100km/hを超える乗り物だったのが飛行機登場以前の電気自動車であり、クランクで始動しなければならないガソリンエンジンよりも、臭いがなく簡単に使える電気自動車が当時から女性に人気だったことに触れ、今の時代を「そんな電気自動車が戻ってくるようで面白い」と語った。

自動車史研究家 高島鎮雄氏

 なお、参加者代表の挨拶は、車齢が30年を超えて2017年から参加資格が得られるようになった、1987年の日産自動車「Be-1 キャンバストップ」を発売当初から乗り続けている市川和子氏が行なった。

参加者代表 市川和子氏
車齢が30年を超え、2017年から参加資格を得た参加者代表 市川和子氏の日産自動車「Be-1 キャンバストップ」。購入当時はもちろん希望ナンバー制度などなかった時代だ

企画展示車両

 今年のテーマ「過去を振り返り未来を想う-動力源の遷り変わり-」に合わせ、さまざまな動力源を持ったクルマが展示された。タッタッタッと軽快なリズムを刻みながら走る、世界初のガソリン自動車「ベンツ パテント モトールヴァーゲン」(レプリカ)や無音で走る20世紀初頭の電気自動車「ベイカー エレクトリック」が来場者の前で走行を披露した。

【ガソリン】ベンツ パテント モトールヴァーゲン(1886年・ドイツ)※レプリカ
【電気】ベイカー エレクトリック(1902年・アメリカ)
【蒸気】ロコモビル スチーム カー(1899年・アメリカ)
【薪】トヨタ BM型トラック 薪トラック改造車(1950年・日本)
【灯油等】トヨタ スポーツ800・ガスタービン ハイブリッド(1977年・日本、プロトタイプ)
トヨタ スポーツ800・ガスタービン ハイブリッドのガスタービンエンジン
写真左から、【水素】トヨタ MIRAI(2015年・日本)、【ガソリン+電気】トヨタ プリウス(1999年・日本)
自動車の動力源の遷り変わり

記念乗車撮影車両

 会場には運転席や助手席に乗り込み、記念写真を撮影できる車両が用意された。「フォード モデルT ツーリング」(1914年・アメリカ)、「ナッシュ メトロポリタン」(1954年・アメリカ)、「ロータス エラン S4」(1972年・イギリス)の3台。

乗車可能なオープンモデル3台が用意された

一般参加オーナー車両

 一般参加車両は来場者による人気投票が行なわれ、クロージングセレモニーで上位3台が発表された。

人気投票1位のベントレー 6.5L(1928年・イギリス)
人気投票2位のフェラーリ 328GTS(1986年・イタリア)
人気投票3位のMG J2(1932年・イギリス)
ロールス・ロイス ファントムI トルベートツアラー(1925年・イギリス)
ロールス・ロイス シルバーゴースト(1926年・イギリス)
ロールス・ロイス 20HP(1929年・イギリス)
ロールス・ロイス ファントムII コンチネンタル(1925年・イギリス)
フォード モデルA フェートン(1931年・アメリカ、日本生産)
オースチン A90 アトランティックコンバーチブル(1950年・イギリス)
MG TD(1951年・イギリス)
オースチン A40 サマーセットクーペ(1952年・イギリス)
ビュイック スーパー(1953年・アメリカ)
メルセデス・ベンツ 170S(1953年・ドイツ)
MG TF 1500(1954年・イギリス)
フォルクスワーゲン タイプI コンバーチブル(1954年・ドイツ)
シトロエン トラクシオンアバン ライト 15(1956年・フランス)
オースチン ヒーレー 100-6(1957年・イギリス)
MG MGA(1958年・イギリス)
シボレー コルベット(1958年・アメリカ)
オースチン ヒーレー(1959年・イギリス)
シボレー コルベット(1959年・アメリカ)
BMW 600(1959年・ドイツ)
メルセデス・ベンツ 190SL(1959年・ドイツ)
モーリス ミニ マイナー(1959年・イギリス)
ダットサン フェアレデー(1960年・日本)
ポルシェ 356B/1600クーペ(1961年・ドイツ)
オースチン ヒーレー 3000 MkII(1962年・イギリス)
ボルボ PV544(1962年・スウェーデン)
ロータス エリート(1962年・イギリス)
フォード フェアレーン 500(1963年・アメリカ)
トヨタ パブリカ(1964年・日本)
ボルボ PV544(1964年・スウェーデン)
MG ジェット MkII(1965年・イギリス)
トヨタ スポーツ800(1965年・日本)
トヨタ スポーツ800(1965年・日本)
日産 セドリック カスタム(1965年・日本)
ダットサン ブルーバード(1966年・日本)
フィアット ヌォーヴァ 500(1966年・イタリア)
フォルクスワーゲン タイプ2(1966年・ドイツ)
ホンダ S800(1966年・日本)
アルファ ロメオ 1300GT ジュニア(1967年・イタリア)
日産 シルビア(1967年・日本)
フィアット ヌォーヴァ 500 F(1967年・イタリア)
アルファ ロメオ 1750 ベルリーナ(1968年・イタリア)
スバル 1000 スポーツセダン(1968年・日本)
DAF 44(1968年・オランダ)
トヨタ パブリカ コンバーチブル(1968年・日本)
三菱自動車 コルト 1500 スーパースポーツ(1968年・日本)
ルノー 8 ゴルディーニ(1968年・フランス)
いすゞ ベレット 1600GT ファストバック(1969年・日本)
オペル 1900GT(1969年・ドイツ)
シトロエン DS21(1969年・フランス)
ジャガー Eタイプ 2+2クーペ(1969年・イギリス)
スバル 360(1969年・日本)
ダットサン サニー(1969年・日本)
日産 ブルーバード 1600 SSSクーペ(1969年・日本)
フィアット 124 スポルト スパイダー(1969年・イタリア)
ポルシェ 911S(1969年・ドイツ)
トヨペット クラウン スーパーDX(1970年・日本)
日産 セドリック スペシャル6(1970年・日本)
ポルシェ 911E(1970年・ドイツ)
メルセデス・ベンツ 280SL(1970年・ドイツ)
MG MGB MkIII(1971年・イギリス)
トヨタ カローラ(1971年・日本)
トヨタ クラウン(1971年・日本)
日産 グロリア(1971年・日本)
ロータス エラン スプリント(1971年・イギリス)
トヨタ クラウン ハードトップ 2800 スーパーサルーン(1972年・日本)
トヨタ セリカ 1600GT(1972年・日本)
ボルボ P1800ES(1972年・スウェーデン)
マツダ コスモスポーツ(1972年・日本)
ロータス ヨーロッパ ツインカム(1972年・イギリス)
ヴァンデンプラ プリンセス 1300(1973年・イギリス)
ディーノ 246GT(1973年・イタリア)
BMW 2002 ツーリング(1973年・ドイツ)
フォルクスワーゲン カルマンギア TC(1973年・ドイツ、ブラジル生産)
ホンダ Z(1973年・日本)
トヨタ カリーナ 2ドアハードトップ 1600GT(1975年・日本)
トヨタ セリカ リフトバック 2000GT(1976年・日本)
MG ミジェット(1978年・イギリス)
いすゞ 117クーペ 2000XG(1979年・日本)
トヨタ カローラ レビン(1979年・日本)
トヨタ スプリンター リフトバック(1980年・日本)
トヨタ ランドクルーザー(1980年・日本)
いすゞ ジェミニ(1982年・日本)
日産 フェアレディZ(1982年・日本)
トヨタ スプリンター トレノ(1983年・日本)
トヨタ セリカ 1600GT-R(1984年・日本)
スバル レオーネ(1985年・日本)
トヨタ パブリカ ピックアップ(1985年・日本)
ホンダ シティ カブリオレ(1985年・日本)
ポルシェ 944(1986年・ドイツ)
シトロエン CX25 GTI(1987年・フランス)
ダイハツ ミラ TR-XX(1987年・日本)
トヨタ カローラ レビン(1987年・日本)
日産 サニー カリフォルニア(1987年・日本)
日産 Be-1 キャンバストップ(1987年・日本)
日産 プレジデント ソブリン VIP(1987年・日本)
マツダ サバンナ RX-7(1987年・日本)

会場内の走行や車両以外の展示も充実した会場

 戦前の貴重なモデルから、世代によってはちょっとだけ懐かしいモデルまで揃った、幅広い車種で来場者を選ばない敷居の低さと、自動車文化を後世に伝える専門性の高さの両立はこのイベントの大きな魅力だ。また、会場内ではフードガレージやミュージアムショップのほか、東日本大震災、熊本地震被災地に向けた被災地支援オリジナルグッズ販売、交通安全体験コーナーなど、クラシックカー以外の展示も充実。大正末期に竣工した聖徳記念絵画館の敷地に流れるMCの中島秀之氏によるクラシックカー解説の名調子や、バディ・ホリーやビートルズのBGMも特定の時代に偏らない雰囲気で、多くの人が気軽に楽しめるであろう内容であった。

トヨタ博物館も舞台となるTVドラマ「真夜中のスーパーカー」の告知も行なわれた。2018年3月28日にNHK-BSプレミアムにて放送予定だ
トヨタ博物館オリジナル商品も充実
大正末期に竣工した聖徳記念絵画館をバックに走るクラシックカー
背景に見えるのは建設中の新国立競技場。時の流れを感じる風景だ