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日本で設計・開発。ミシュランの新低燃費タイヤ「ENERGY SAVER 4」発表会

多くの性能がほしいユーザーをターゲットに開発

2019年12月10日 発表

オープンプライス

発表した「MICHELIN ENERGY SAVER 4」とミシュランマン、日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長 ポール・ぺリニオ氏(中央)、PC/LTタイヤ事業部ブランド戦略マネージャー 黒谷繁希氏(左)、製品開発本部 新製品開発部 シニアエンジニア 守部浩平氏(右)

 日本ミシュランタイヤは12月10日、ウェットブレーキング性能と快適性を向上させた低燃費タイヤ「MICHELIN ENERGY SAVER 4(ミシュラン エナジーセイバー フォー)」を発表した。ミシュラン エナジーシリーズの新製品となるもので、サイズは13~16インチまでの23サイズ、発売は2020年2月1日で価格はオープンプライス。

 ENERGY SAVER 4は既存の「MICHELIN ENERGY SAVER +(エナジーセイバープラス)」の後継となる製品で、日本の太田R&Dセンターが中心となって開発、日本市場を中心に、香港、台湾にも投入されるタイヤ。

 新製品の主な特徴としてはウェットブレーキ性能は5.5%向上させ、パターンノイズは5%低減、ロードノイズは9%低減させたこと。ラベリング性能では、転がり抵抗性能がサイズによってAAまたはA、ウェットグリップ性能はb~cとなる。

 採用した技術としては、縦溝幅を最適化してパターンノイズを低減した「新縦溝構造」、新たな素材を採用してロードノイズ低減と低転がり抵抗を両立させた「新採用アンダートレッドラバー」、低燃費性能とウェットブレーキング性能を両立させた「新開発コンパウンド」がある。

 ENERGY SAVER 4のラインアップは23サイズだが、タイヤ幅195mm以上では4リブパターン、185mm以下は3リブパターンとなり、さらに軽自動車サイズではスリップラインハイライトを付けて、タイヤの減り具合を分かりやすくした。

発表した低燃費タイヤ「MICHELIN ENERGY SAVER 4(ミシュラン エナジーセイバー フォー)」
タイヤ幅195mm以上の4リブパターン。撮影見本のサイズは205/55R16
タイヤ幅185mm以下の3リブパターン。撮影見本のサイズは195/70R14
軽自動車向けのサイズの3リブパターン。撮影見本のサイズは155/65R14
軽自動車向けのサイズではスリップラインハイライトを付けていて、側面からタイヤの減りが分かりやすくするとともに、トレッド面でもスリップラインを分かりやすくするデザインが施されている

 なお、ENERGY SAVER 4はENERGY SAVER +の後継でENERGY SAVERの名の付くタイヤでは3世代目にあたるが、「4」が付く理由は「PILOT SPORT 4」や「PRIMACY 4」などと同じ世代を意味する「4」だとしている。

ミシュランだけに「三つ星」のタイヤ

 発表会では、日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長のポール・ぺリニオ氏が自動車業界が100年に一度の変革期ということに触れ「タイヤにも同じ水準の進化が要求され、環境に配慮しながら、より快適に安心して移動できる多機能性が求められている」とし、ENERGY SAVER 4が「これまでの低燃費タイヤにとどまることなく、ミシュランが培ってきた技術を結集させ、さらなるユーザーニーズに対応した新製品になっている」と紹介した。

日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長 ポール・ぺリニオ氏

 ポール・ぺリニオ氏は、同社が発行するミシュランガイドになぞらえて、ENERGY SAVER 4のできを問われると「三つ星」と答え、「日本のユーザーの満足度一位を目指す」とした。

日本ミシュランタイヤ株式会社 PC/LTタイヤ事業部ブランド戦略マネージャー 黒谷繁希氏

 また、PC/LTタイヤ事業部ブランド戦略マネージャーの黒谷繁希氏は、ミシュランが日本で26年の低燃費タイヤの歴史に触れ、日本車にも標準採用の歴史があることや、既存のENERGY SAVER +が調査では高い消費者満足度を得ていることを紹介した。また、タクシードライバーといったプロから走る、曲がる、止まるという基本性能が評価され、乗客や乗員の安全面からも選ばれている点も挙げた。

環境性能タイヤの26年の歴史
旅客運送業のプロが認めた性能
ENERGY SAVER +における高い消費者満足度
ENERGY SAVER 4は日本の消費者のニーズを反映

 ENERGY SAVER 4については、タイヤに詳しくないユーザーも含め、低燃費タイヤとはいえほかの性能を犠牲にしたくない、多くの性能がほしいユーザーをターゲットに開発。ミシュランタイヤは外車用などという誤解に対する答えとしても「日本で設計・開発、日本を中心に展開していく」とし、日本の環境や日本のユーザーのニーズにフォーカスしたタイヤであることを強調した。

静粛性ニーズがある
ウエットグリップは5.5%向上
パターンとロードノイズを低減
ウェットブレーキの性能向上
静粛性や転がり抵抗の性能向上

 また、ウェットグリップ性能の向上のほか、パターンとロードノイズを低減したことについては、電気自動車やハイブリッド車によってエンジン騒音の減少、タイヤから発生するノイズがより顕著になり、低燃費タイヤのカテゴリーでも静粛性が求められると理由を説明した。

トレッドパターン
サイズのラインアップ

 タイヤの開発については、製品開発本部 新製品開発部 シニアエンジニアの守部浩平氏が、ミシュランの設計思想は「性能を上げた結果、トレードオフは許されない」と説明。通常、ウェットグリップの性能を重視すると転がり性能が落ちたり、転がり抵抗を向上させるとタイヤ剛性が落ちたり、摩耗性能を犠牲にしたりするなどの相反することがあるが、そうしていないことを強調した。

日本ミシュランタイヤ株式会社 製品開発本部 新製品開発部 シニアエンジニア 守部浩平氏
ENERGY SAVER 4の開発
机上検討フェーズで性能を見積もる
試作確認して性能を評価分析する
ENERGY SAVER 4 開発プロジェクトチームは太田R&Dセンターが中心