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100PSオーバーの電動スポーツバイク、Zero MotorCycles「SR/F」が日本デビュー
XEAMが扱う趣味性の高い電動モビリティに興味津々
2020年4月10日 12:45
- 2020年4月7日 開催
福岡県にあるスマートフォン、タブレットの総合アクセサリーメーカーであるMSソリューションズは、約3年前に「notte(ノッテ)」という電動スクーターを「XEAM(ジーム)」という電動バイクの自社ブランドにおいてオリジナル機種として販売を開始。その後、オリジナル機種にとらわれず、魅力あるモデルを独自に輸入して取り扱い車種を増やし、現在は電動バイクのセレクトブランドとして福岡市内に直営の電動バイク専門ショップを設けている。また、全国に217店(4月8日時点)のXEAM取り扱い店のネットワークを持っている。
そのXEAMが新たに取り扱いを始めたのが、アメリカの電動バイクメーカーである「Zero MotorCycles(ゼロモーターサイクルズ)」製の「SR/F」という大型スポーツモデルと、中国の電動バイクブランドであり、ヨーロッパ、韓国、メキシコなど広い地域で販売されている「SUPER SOCO(スーパーソコ)」シリーズだ。
日本では電動バイクというと原付クラスのスクーターが多いので、電動バイク=日常使いの道具的な乗り物というイメージもあったりするが、SR/FやSUPER SOCOの各車は、趣味として電動モビリティに乗りたい人も満足できる2輪車という位置付けになっている。
そんな両モデルの関係者向け試乗会が、4月7日に千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催されたので、その模様と用意されていた電動バイク各車の紹介をしていこう。
自分好みに動力性能をカスタマイズできるSR/F
アメリカの電動バイクメーカーであるZero MotorCyclesが発売するSR/F。市販電動バイクでは世界最高峰と言われるモデルで、日本の車両区分では大型二輪に属し、免許は大型二輪免許、もしくはAT限定大型二輪免許で乗車定員は2名。販売予定価格は300万円(税別)。
主なスペックは以下のとおり。同社が開発したZF14.4リチウムイオンバッテリーは14.4kWhの能力を持ち、同じくオリジナル品のZF75-10モーターの最大出力は82kW(110PS)/5000rpm、最大トルクは190Nm(19.37kgfm)を発生する。最高速は200km/h、最大航続距離は259kmと発表されているが、これは条件のいい状態での値なので実際の走行では約150~200kmあたりと思っていいだろう。
ZF14.4リチウムイオンバッテリーの充電は100V、200V(SAE J1772コネクター)に対応しているので、家庭での充電はもちろん、高速道路などに設置されている200V充電器も使用できる。充電時間は110~120V(レベル1)で8.5時間。208~240V(レベル2)では4.5時間と発表されている。
なお、モーターやバッテリーを積む電動バイクではイメージ的に車重が重くなっていそうだが、大型ネイキッドバイクと同等の約220kgだ。
SR/Fの走行フィーリングについては、ゲストライダーとして参加していたMIRAI代表の岸本氏に伺った。岸本氏は国内ロードレースへの参戦を経て、イギリスで行なわれているマン島TTやアメリカのPPHC(パイクスピークインターナショナルヒルクライムレース)に自社で開発した電動バイクで挑戦するなど、日本を代表する電動バイクライダーである。
その岸本氏に、まず電動バイクの魅力を伺った。すると「一番の魅力はモーターならではのフィーリングです。内燃機とはまったく異なるトルク特性とトルクの太さを持ちつつ、スロットル操作に対する反応がすごくリニアです。これは例えると内燃機エンジンを積むレーサー、それもすごく洗練されたレーサーのようです。また、電動バイクにはミッションがありませんが、ATともDCTとも違うシームレスな加速感は、従来のバイクと違う新しい乗り物に乗っている感覚が味わえて面白いところです」とスポーツタイプの電動バイクの特徴を語った。
SR/Fについては「デザインは見てのとおり、今風の洗練されたものでカッコいいと思います。出力は大きいのですが、モーターやバッテリー制御特性も洗練されているので、モードを切り替えることでモーターならではの速さを発揮するのはもちろん、タウンスピードでのんびり走ることもできます。今回はエコモード、レインモード、ストリートモード、スポーツモードを切り替えて走ってみましたが、モードごとに加速感だけでなく回生ブレーキの効きも変わるので、同じマシンに乗っていてもフィーリングは別モノになります。これは電動バイクならではの乗り味ですね」と語った。
また、この走行モード群にはカスタムモードもあり、これは専用のスマートフォンアプリを使うことで出力特性やトラクション設定をライダーの好みに設定できるようになっている。
アプリにはスロットル操作状況など含む走行ログを取る機能もあり、それを使えば走行後にログデータを見ながらより細かく自分仕様にセットアップできるので、出先で同じSR/Fに出合っても、同じ車種とは思えないほど異なる特性になっているということもありえる。これもSR/Fならではのことだ。
バイクの挙動については、「SR/Fは重量バランスをよくするためモーターを車体中心の低い位置に搭載していますが、ここにモーターを搭載するとリアスイングアームの支点であるピボットとモーターの軸部分がほぼ同軸になります。するとスイングアームの動きに対してベルト(SR/Fはベルトドライブ)の張りを強くできるので、モーターの出力がリニアにリアタイヤに伝わるようになります。加えて車体レイアウトから来るアンチスクワット効果があるので、安定したトラクションを掛けることができるのです。実際に袖ヶ浦フォレストレースウェイを走ったときもすべてのコーナーでスムーズに旋回することができました。それにモーターやバッテリーなどの重量物の搭載位置が集中化されているので、大柄な割にはクイックな動きができます。切り返しはとくに速いと思います」と解説をしてくれた。
試乗会で用意されていたもう1つのブランドは、SUPER SOCOという中国メーカーの電動バイク。こちらは原付1種から軽2輪まで5車種用意されていた。ちなみに電動バイクにおいてのナンバー区分はモーターの定格出力ごとに分けられていて、原付1種が0.60kWまで、原付2種が1kW以下、軽2輪が1kW越えとなっているので、SUPER SOCOの各車もその区分けになっている。なお、SR/Fは届け出の段階で大型二輪免許(AT限定含む)にしているので該当免許がなければ乗れない。
今回、Car WatchではSUPER SOCOの試乗をしていないので写真での紹介になるが、こちらのブランドはサイズ的にも価格的にも手の届きやすいところにあるものだし、スタイルもオートバイ的だ。それだけにオートバイ同様「趣味として乗る」ことにも違和感がないので、新しい趣味、人とは違う趣味を探している方はぜひ注目していただきたい。