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ヤマハ、産業用ドローン「YMR-08AP」を活用した実証散布

散布時間は地上の約半分、薬剤の乾きも早いなど、さまざまな成果を確認

2020年5月25日 発表

浜松市の複数のばれいしょ畑で始まったドローンによる実証散布

 ヤマハ発動機は5月25日、UMS(Unmanned System)技術を活かした産業用マルチローター(ドローン)による農業への貢献状況を発表した。

 就業人口の減少や働き手の高齢化など、多くの課題を抱える日本の農業にあって、ロボット技術や情報通信技術を用いた「スマート農業」が大きな期待を集めている状況という。そうした中、ヤマハ発動機はUMS(Unmanned System)技術を活かした産業用無人ヘリコプターや産業用マルチローター(通称ドローン)といった製品群のさらなる進化に加え、作物の生育状況に応じて最適な防除や追肥を管理するプラットフォーム「YSAP(Yamaha Motor Smart Agriculture Platform)」を展開するなど、スマート農業の発展に向けたさまざまな取り組みを進めている。

 産業用マルチローターのラインアップに今春から加わった「YMR-08AP」は、自動飛行で農作業の省力化・効率化に貢献する製品で、オートパイロット機能による自動散布、専用ソフトによる簡単なルート作成等の特長を持ち、省力化や効率化に貢献しながら当社産業用無人ヘリコプターに匹敵する高い散布品質を実現するモデル。

 4月に静岡県浜松市の複数のばれいしょ畑で生産者、薬剤メーカー、JA、県農林事務所、ヤマハ発動機の協同による「ドローン(自動機)実証散布」がスタート。ドローンによる散布には、散布時間の短縮以外にも、農薬取締法では散布方法ごとに希釈薬液(水道水)の量が定められており、高濃度少量散布が可能な空中散布であれば、面積当たり必要な水を地上散布に対して大幅に削減でき、これまで1tトラックに大きな水タンクを積んでいた畑までの移動も軽トラック1台で可能になるなど、さまざまなメリットがある。

産業用ドローンの自動機「YMR-08AP」

 今回のドローンによる実証散布は、収穫期を迎える6月初旬まで地上散布と比較しながら続けられ、複数回の散布を終えた4月下旬の時点では、外乱にデリケートなばれいしょの病害を抑え込めているほか、散布時間は地上の約半分、希釈薬液量の違いから薬剤の乾きも早いなど、さまざまな成果が確認されている。

 ヤマハ発動機UMS統括部の武内真一氏は「今回の実証散布の目的は、ドローンを使った防除体系の確立です。疫病や害虫に弱いばれいしょは、他の野菜類と比較しても非常にたくさんの作業労力を要する作物です。ですから防除のための散布も小まめに行う必要があるのですが、一旦、手堀りによる収穫期に突入すると防除まで手が回らないといった生産者の皆さんの実情があります。防除の効率化という多くの生産者にとって非常に大きな関心ごとを、ドローンの自動飛行によってどれだけ貢献できるのか、今回の実証散布ではそれを数値化することまで目指しています。また、農業従事者の高齢化が進み、今後も生産量を維持していくには新しい力が必要です。ドローンの散布は、生産者の皆さんの期待も非常に大きい。重いホースを引きずって高齢者が防除している姿を目にすると、一刻も早く実用化しなければという思いを強くします」と述べている。

ヤマハ産業用オートパイロットマルチローター「YMR-08AP」(6分32秒)