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島津製作所、採取簡単な唾液による新型コロナウイルスのPCR検査を実現

発売済の検出試薬キットで鼻咽頭拭い液と遜色ない結果を確認

2020年5月26日 発表

「新型コロナウイルス検出試薬キット」での唾液によるPCR検査が鼻咽頭拭い液と遜色ない結果に

 島津製作所は5月26日、同社の「新型コロナウイルス検出試薬キット」を用いて、従来の鼻咽頭拭い液ではなく唾液でのPCR検査の精度を調べたところ、鼻咽頭拭い液と遜色ない結果を得ることができたと発表した。

 これまで、PCR検査における鼻咽頭拭い液の採取は、感染者の咳やくしゃみなどによる医療従事者への飛沫感染が懸念されていたが、唾液による検査はこうしたリスクが低く、採取自体もより簡単にできるようになる。さらに、唾液による検査を可能にして検体採取の場所を増やせれば、必要な人にとっての検査機会が広がることにつながるとともに、新型コロナウイルスの症状がない手術前や入院前の患者に対して検査を実施することで、医療従事者の安全確保も可能となるとしている。

 今回の唾液による検査については、日本医師会から提案され、実際の精度評価では北海道大学病院からの協力を得たとのこと。北海道大学病院では、入院患者の手術時に新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べるスクリーニング検査で試験的に採用される。

 島津製作所の新型コロナウイルス検出試薬キットは、同社独自のAmpdirect技術をベースにして開発。「生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できる」というもので、PCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮可能。4月20日に発売してから、20万検体分(2000キット)を上まわる試薬キットを提供。当初は月間10万検体分(1000キット)と発表した生産量は、現在30万検体分(3000キット)に引き上げられている。