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ホンダF1 田辺豊治TD、ニュルブルクリンク開催のアイフェルGPは「低温に十分対応できた」レース

ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏 (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 10月11日、F1第11戦アイフェルGPがドイツ ニュルブルクリンクにおいて開催された。このF1GPは、ホンダが2021年でF1参戦終了を発表後、初めて行なわれるGPになる。そのホンダPU(パワーユニット)を搭載するマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は2位表彰台を獲得、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)も6位入賞を果たした。

 決勝レース終了後、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見が行なわれた。

田辺豊治 ホンダF1 TD

 田辺です。本日はマックス・フェルスタッペン選手が2位表彰台、ガスリー選手が6位獲得。(マックス・フェルスタッペン選手は)予選で3番手ということで、メルセデスの2台にワンツーを取られ、1台のリタイアにより2番手。マックス選手は確実な走行でポジション獲得とポイント獲得ができた。

 ガスリー選手に関しては、かなり中段グループの各車が戦闘力を上げてきて僅差の中でいい形でレースができた。力強い走りで6位と。後半戦残り6戦ありますが、本当に我々そしてチーム、本人にとっても大きなモチベーションアップと励みなると思います。今年いい流れを非常に維持しているガスリー選手に、この先もモメンタムを維持してよい成績を出していってもらいたいと思います。

 アルボン選手に関しては、多分飛び石だと思うんですけどクーラーにダメージを与えて水のリークが起こったということからPUを痛めつけ、実際に問題が出るのが早かったのと、かなり急激な変化が出たのでそこでリタイアしています。

 クビアト選手はちょっと接触ということで、フロントウィングに大きなダメージで。復活したのですが、一番最後まで落ちて難しいレースでした。

 今回は金曜日がキャンセルになってしまい、土日、2日間のイベントでした。イモラの先取りみたいな形になりましたけど、PUレギュレーションなってから初のニュル、FP3のみの1時間で検証を行った上での予選でした。

 新しいTD(予選・決勝同一モード)が出てから、何セットか持って予選でこれ、レースでこんな感じでっていうのはなかなかできない。1つのモードで、特にICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)のパフォーマンスに関しては1つのモードで(のレース)をここ数戦経験してきた中での蓄積したノウハウを含め1時間で確認して、予選・レースともにいい形で準備ができた中で戦えたと思ってます。

 外気温に関して言いますと、10℃を切るような外気温。路面温度も低くて、低い側で合わせるには高い側で合わせるよりはやはり楽だなっていうのは終わってみて感じています。(温度が)高いともうどうにもならないとか、どうしても心配項目も増えますけど、低い側だとそれなりに守れば。

 人間と一緒ですよね。寒くてしょうがないときは着ればなんとかなる。暑くてしょうがないのときは脱いでもどうにもならない、そんな感じです。あまり例えよくないですね。やめましょう。低温に十分対応できたのでよかったと思っております。


 ハイブリッドPUを搭載するF1になって初開催となったニュルブルクリンクだが、田辺TDにとって「4台完走、4台入賞」という目標は達成できなかったものの、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手は最速ラップを刻むなど速さを見せた上での2位表彰台、アルファタウリのピエール・ガスリー選手は追い上げての6位入賞と、ホンダPUの力強さを見せられたレースだったようだ。

 前戦のロシアGPの際に、ハイブリッドPUを搭載するF1になって初開催となるニュルブルクリンクでのシミュレーション精度を気にしていたが、その精度については、「かなり精度よくシミュレーションできていました。どこでも当然シミュレーションしてるわけですけども、実際に走った結果のリレーションとそれの繰り返しですね、当然去年からやってるんですが、新しいサーキットにもうまく適合できるようになってきてるかなと思います」とのこと。

 次戦のポルトガルGPは、F1が初開催になるサーキット。そちらについても、「次も新しい初開催のサーキットとなりますが、やることは基本的に同じです。当然今回のシミュレーションと実走の乖離を見直しながら知見を入れて、シミュレーションして望むという形になります」と言う。

 今回のアイフェルGPにおいては、レッドブルのフェルスタッペン選手、メルセデスのルイス・ハミルトン選手とバルテリ・ボッタス選手が飛び抜けて速かった。もちろんドライバーの能力やチームの能力もあるが、事前の準備があまりできない中で、しっかりレースにアジャストできたということだろう。

 次もその3台が速いのか?と田辺TDに聞いたが、「我々のシミュレーションからそれは出ません。だれがどう早いか分からないです」と、他車の能力(他車がどのようなモードで来るのか完全に予測できない)との比較はできないとのこと。ただし、2020年シーズンはハミルトン選手、ボッタス選手、フェルスタッペン選手の3人がほかの選手より好成績を残しているのも事実。そのため、田辺TDは「勢力図から見ると3台なんですけど、私としてはぜひ4台で、あわよくば6台。アルボン選手とアルファタウリ2台で6台速いといいなと思ってます」と語ってくれた。

F1第11戦アイフェルGP 決勝結果
順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス601時間35分49秒64125
233マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ60+4.470秒19
33ダニエル・リカルドルノー60+14.613秒15
411セルジオ・ペレスレーシングポイント・BWT・メルセデス60+16.070秒12
555カルロス・サインツマクラーレン・ルノー60+21.905秒10
610ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ60+22.766秒8
716シャルル・ルクレールフェラーリ60+30.814秒6
827ニコ・ヒュルケンベルグレーシングポイント・BWT・メルセデス60+32.596秒4
98ロマン・グロージャンハース・フェラーリ60+39.081秒2
1099アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ60+40.035秒1
115セバスチャン・ベッテルフェラーリ60+40.810秒0
127キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ60+41.476秒0
1320ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ60+49.585秒0
146ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス60+54.449秒0
1526ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ60+55.588秒0
NC4ランド・ノリスマクラーレン・ルノー42DNF0
NC23アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ23DNF0
NC31エステバン・オコンルノー22DNF0
NC77バルテリ・ボッタスメルセデス18DNF0
NC63ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス12DNF0
2位表彰台を獲得したマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)(C)Getty Images / Red Bull Content Pool