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ホンダF1撤退発表後初レースは2位 メルセデスで優勝のハミルトン選手はシューマッハ選手に並ぶF1史上最多勝

F1第11戦アイフェルGP 決勝

2020年10月11日 決勝開催

マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1第11戦アイフェルGPが10月9日~11日の3日間にわたって開催された。ホンダが2021年でのF1撤退発表後に行なわれる最初のグランプリとなるアイフェルGPは、本来のスケジュールでは同じドイツのホッケンハイムでドイツGPが行なわれる計画だったが、COVID-19の感染拡大により、舞台をニュルブルクリンクに移して行なわれることになった。「ドイツGP」の名称が使えないため「アイフェルGP」に名称を変更して開催された。

 レースではポールポジションからスタートしたバルテリ・ボッタス(77号車 メルセデス)が電気系のトラブルでリタイアする中、予選2位からスタートしたルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)が優勝した。2021年限りでの撤退を発表したホンダ勢はエースのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が2位で表彰台を獲得し、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が6位に入賞した。

序盤を支配したバルテリ・ボッタス選手はマシントラブルでリタイア

スタート直後 (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 スタートではポールからスタートしたバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)、2位からスタートしたルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)、3位からスタートしたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)の3台が順位を維持したまま1周目を終えた。

 3台はいずれも順位を維持したまま周回するが、13周目の1コーナーでハミルトン選手がボッタス選手がタイヤをロックしてて大回りになってしまった隙を突いてトップに上がる。ところが、その後、ボッタス選手がピットインした後、ジョージ・ラッセル選手(63号車 ウイリアムズ・メルセデス)とキミ・ライコネン選手(7号車 アルファロメオ・レーシング・フェラーリ)との接触で、ラッセル車がコース脇に止まってしまったところでバーチャルセーフティカーが出て、その間にハミルトン選手とフェルスタッペン選手の2台がピットインし、それにより2台はトップと2位のままコースに戻ることを成功した。

 ところが18周目にボッタス選手には「ノーパワー」の無線が、ERSのトラブルが出たようで、その後ピットに入りガレージインでリタイアとなった。また、5位からスタートしたアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)と接触して、5秒のタイムペナルティが出され後、ピットに入りマシントラブルでリタイアになった。これで、メルセデス、レッドブルともに1台ずつ失うことになった。

レースの焦点はルノーのリカルド選手とレーシングポイントのペレス選手の3位争いに

 ボッタス選手がいなくなったことで、3位が誰になるのか、それがレースの焦点になった。この3位争いで最も先頭を走っていたのはダニエル・リカルド選手(3号車 ルノー)。予選4位になったシャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)を序盤に追い抜き、いわゆる「ベストオブレスト」(トップ3台以外の最上位)に上がった。その後、リカルド選手は16周終わりと早めにソフトタイヤを捨てて、ミディアムタイヤに乗り換える。1早めに交換したので、リカルド選手は2回ストップ作戦だと思われる。その後ろのルクレール選手も同様で10周終わりと早めに交換しており、こちらも2回ストップだと思われる。

 ところが、その後ろのセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)、そしてランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)、カルロス・サインツ選手(55号車 マクラーレン・ルノー)の3台は28周~29周まで引っ張っており、こちらは1ストップだと考えられる。

 ストップ組のリカルド選手、ルクレール選手と、1ストップ組のペレス選手、ノリス選手、サインツ選手の戦いとなる。

 3位争いから最初に脱落したのはノリス選手。ノリス選手はパワーユニットに問題を抱えて、同僚のサインツ選手に順位を譲り、エンジンのモードも安全モードに切り替えて走ることになった。その後44周目にノリス選手はコース脇にマシンを停めてリタイアになった。

 そのマシを排除するため 45周目にセーフティカーが出され、それによりリカルド選手はピットインしてタイヤを交換、さらにその後ろのサインツ選手、トップの2台(ハミルトン選手、フェルスタッペン選手)もタイヤを交換した。3位を走っていたペレス選手はステイアウトを選択したが、結局次の周にタイヤ交換を選択。その結果上位はほとんどの車両がタイヤを交換した。

ハミルトン選手はシューマッハ氏に並ぶ最多勝タイの91勝目、レッドブル・ホンダが2位

 セーフティカーがピットレーンに入ると、50周目にレース再開。その時点での順位は1位ハミルトン選手、2位フェルスタッペン選手、3位リカルド選手、4位サインツ選手、5位 サインツ選手。

 レースが再開されると、ハミルトン選手は抜群のダッシュで1位をキープ。2位フェルスタッペン選手は、3位のリカルド選手に1コーナーで迫られるものの、辛くも2位をキープした。その後1位、2位は自己ベストをマークしながら徐々に3位を引き離していく展開に。

 その後、3位のリカルド選手と4位のペレス選手、5位のサインツ選手の3台による表彰台争いになっていった。さらにその後ろでは予選20位だったスーパー代打のヒュルケンブルグ選手がグロージャン選手を抜き8位に上がり、前を行くルクレール選手を追いかける展開に。予選から代打として乗って、予選20位という状況からここまで追い上げてきたヒュルケンブルグ選手は「ドライバー・オブ・ザ・デー」にも選ばれる大活躍だった。最終的にはルクレール選手は抜けなかったが8位入賞でポイント獲得は立派な結果だと言える。

 結局レースはメルセデスのハミルトン選手がミハエル・シューマッハ氏の持つ最多勝に並ぶ91回目の優勝、最終ラップにファステストラップの1ポイントをとったフェルスタッペン選手が2位、そして3位はペレス選手を抑えきったリカルド選手がルノーに、ワークスチーム復帰以来初めての表彰台をプレゼントした。

 4位はペレス選手、5位はサインツ選手、6位はアルファタウリ・ホンダのガスリー選手、7位はヒュルケンブルグ選手を辛くも抑えきったルクレール選手、8位はそのヒュルケンブルグ選手、9位はグロージャン選手、10位はジョビナッツィ選手となった。

ルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool
最初のピットインでタイヤ交換を行なうマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool
F1第11戦アイフェルGP 決勝結果
順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス601時間35分49秒64125
233マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ60+4.470秒19
33ダニエル・リカルドルノー60+14.613秒15
411セルジオ・ペレスレーシングポイント・BWT・メルセデス60+16.070秒12
555カルロス・サインツマクラーレン・ルノー60+21.905秒10
610ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ60+22.766秒8
716シャルル・ルクレールフェラーリ60+30.814秒6
827ニコ・ヒュルケンベルグレーシングポイント・BWT・メルセデス60+32.596秒4
98ロマン・グロージャンハース・フェラーリ60+39.081秒2
1099アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ60+40.035秒1
115セバスチャン・ベッテルフェラーリ60+40.810秒0
127キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ60+41.476秒0
1320ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ60+49.585秒0
146ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス60+54.449秒0
1526ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ60+55.588秒0
NC4ランド・ノリスマクラーレン・ルノー42DNF0
NC23アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ23DNF0
NC31エステバン・オコンルノー22DNF0
NC77バルテリ・ボッタスメルセデス18DNF0
NC63ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス12DNF0