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ホンダF1 山本雅史MD、「一戦一戦着実にレースをすることで、より多くの勝利を」

レッドブル・レーシングの首脳陣やマックス・フェルスタッペン選手と話をするホンダF1 マネージングディレクター 山本雅史氏(右から2人目)

 10月11日(現地時間)、F1第11戦アイフェルGPがドイツ ニュルブルクリンクにおいて開催された。ホンダPU(パワーユニット)を搭載するマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は2位表彰台を獲得、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)も6位入賞を果たした。決勝レース終了後、ホンダF1 マネージングディレクター 山本雅史氏によるオンライン会見が行なわれた。

 すでに大きな話題となっているが、本田技研工業は2021年シーズンをもってF1へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を終了することを決定。10月2日に代表取締役社長 八郷隆弘氏がオンライン会見を行なった。

 今回のF1第11戦アイフェルGPは、ホンダがF1参戦終了を発表して初めて行なわれるGPになる。このF1参戦終了はホンダの経営陣によって決定され、山本MDも参戦終了を受けて現場の対応を行なっている。参戦終了は決定されたが、ホンダがF1の参戦を終了するのは2021年シーズン終了後であり、今シーズンも来シーズンもF1で戦っていく。

 山本MDは、「今シーズンは、今日を入れると残り7戦。来シーズンも1年間。(10月2日)金曜日の撤退の話は非常にショックで、ファンの皆さまに寂しい思いをさせてしまったことは本当に自分自身も悲しく思っています。残りのレース、1年半を、現場はしっかり両チームとタッグを組んで、一戦一戦着実にレースをすることで、より多くの勝利を」と語る。

 2021年シーズンについては、「来年メルセデスとか他社も強くなってくると思いますけど、レッドブルと私たちも努力をしてチャンピオンシップ争いをもう1回やりたいと思っています。そういった意味でファンの皆さまに最後まで応援をお願いします」と、来シーズンも現場は全力で戦っていくことを約束してくれた。

一番うれしかったのは、八郷社長と同じくモンツァのガスリー選手の優勝。それに加えレッドブルでの初表彰台

 山本MDは、2016年からF1に携わる(2016年~2018年はモータースポーツ部 部長として、2019年からは現職であるF1専属のマネージングディレクターとして)役職に就いているが、この第4期F1活動でうれしかったことと、悔しかったことを聞いてみた。

「私が携わってきたレースでやっぱり一番うれしかったのは、ここは八郷(社長)と同じなんですが、やはり苦楽を長くともにしてきたトロロッソ、アルファタウリの今年のイタリアモンツァでのガスリーの優勝です。付け加えてほしいのですけど、レッドブルっていうのはもともとチャンピオンシップ争いをするチームなのですが、2019年のオーストリアGPの初優勝もうれしかったです。また、レッドブルで行った最初のオーストラリアGPの表彰台3位ですかね。僕はあのときは本当に目頭が熱くなって。多くの方々からメッセージもいただきました。(うれしかったことは)僕の印象で、レッドブルはオーストラリアGPの3位、アルファタウリは優勝したイタリアGPのモンツァです」。

「悔しいレースはたくさんあるので。とくにこれが悔しいっていうレースを1つ挙げろっていうのは非常に難しいのです。いつもレースの勝ちにこだわるというか、1つでも上の順位を目指していろんなことを考えてレースをやっています。レースの現場にいるので、例えば直近で言えば昨日の予選も、Q2まではマックスがポール取れるぐらいの力強さもありました。そういった意味では毎戦毎戦、自分が想像しているレースの予選もレースもその流れじゃないときは悔しいので、特に悔しいっていうのはごめんなさい、今すぐちょっと出てきません」。

 第4期ホンダF1の活動は、なかなか勝てない状況から始まった。それが劇的に変わったのが2018年のトロロッソ(現アルファタウリ)へのハイブリッドPU供給の開始だ。この話をまとめたのはよく知られているように山本MDで、それが2019年からのレッドブルへの供給へつながり、開幕戦オーストラリアGPでの3位、第9戦オーストリアGPでの第4期初優勝へとつながった。

 山本MDにとっては勝てる体制を作り上げ、これからというときに全世界的なコロナ禍により、モータースポーツの休止や日程変更、そして自動車業界への大打撃を受けての急速な構造変化の波が押し寄せてしまった。悔しかったこととして、そのコロナ禍のことが挙げられるかと思ったが、現場で勝利に取り組む山本MDにとっては、一戦一戦がうまくいかないときが悔しいという。

 今ではメルセデスとトップを争うまでに進化したホンダF1の戦いを見られるのは残り1年半。ホンダにとってももっともっとうれしいことがあるように応援したいし、悔しさも共有できるようF1関連の情報を適宜お届けしていきたい。