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F1第4戦 イギリスGP、最終ラップにパンク発生。そのままゴールしたメルセデスのハミルトン選手が優勝。レッドブル・ホンダは2戦連続2位

2020年8月2日 決勝

F1イギリスGP、前戦に続き2位表彰台を獲得したマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・ホンダ) (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1第4戦イギリスGPが7月31日~8月2日(現地時間)の3日間にわたり、シルバーストーンサーキットで開催された。決勝レースは、メルセデスのルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)がポールポジションスタートから逃げ切りポール・トゥー・フィニッシュを実現。最終ラップに左フロントタイヤがパンクするというトラブルが発生したが、後続との大きなタイム差が功を奏し、2位に入ったマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・ホンダ)との差が5秒に縮まる中でギリギリ優勝した。3位はフェラーリのシャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)。

 メルセデスは開幕から4連勝、レッドブル・ホンダは2戦連続の2位表彰台となった。

 そのほかのホンダPU搭載勢は、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が7位、アレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が8位、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)はクラッシュでリタイアとなった。

スタッフと握手するマックス・フェルスタッペン選手 (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

予選でレッドブルに約1秒の差をつけたメルセデス

 第4戦イギリスGP、同じシルバーストーンで開催されるF1 70周年GP(Formula 1 70th Anniversary Grand Prix 2020)、スペインGPと3週連続で開催されることになったF1だが、イギリスGPの週末は、レーシングポイントのセルジオ・ペレス選手が、COVID-19のPCR検査で陽性になるという衝撃のニュースからスタートした。これにより、ペレス選手は自主隔離に入り、イギリスGPには参加できないことになってしまった。そこで、レーシングポイントは、昨年までルノーからF1に参戦していたニコ・ヒュルケンブルグ選手を招集。ペレス選手の替わりにイギリスGP、そして翌週の70周年GPの2戦に参戦することになった。

 予選ではここまでの3連勝の勢いそのままにメルセデス勢がポールと2位というフロントローを独占した。ポールを獲得したのはポイントリーダーのルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)で、2位は同じくメルセデスのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)。

 驚異的だったのは、3位になったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)に約1秒の大差をつけたことで、メルセデス勢の優位が際立った予選になってしまった。

 レッドブル・ホンダのもう1台となるアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は、FP2(フリー走行2回目)にクラッシュして、FP3(フリー走行3回目)にはパワーユニットのトラブルで走れなかったことが影響して12位。前戦と同じくQ3へ進むことができなかった。

 アルファタウリ・ホンダは、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が11位、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)が14位となりともにQ2に進出。決勝レースではタイヤ選択の自由を得て、ポイント獲得のレースを目指すことになった。

 フェラーリ勢はシャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)が4位。チームメイトのセバスチャン・ベッテル選手(5号車 フェラーリ)は10位となり、2台ともQ3へと進出して復調傾向を印象づけた。

決勝レースは、序盤に2度のセーフティカーが出る大混乱。2台のメルセデスが独走

 レースでは1周目の終わりに、レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボン選手の左フロントとケビン・マグネッセン選手(20号車 ハース・フェラーリ)の右リアが接触し、マグネッセン選手は最終コーナーのアウト側にクラッシュ。その結果、セーフティカーが出ることになった。この接触は審議委員会により審議が行なわれ、アルボン選手に5秒のタイムペナルティ(レースタイムに5秒加算)が出されることになった。このインシデントによりセーフティカーが出されたが、マグネッセン車の排除は比較的すぐ終わり、レースは再開された。

 レース再開後数周してから12周目に、アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアト選手がハイスピードコーナーで大クラッシュ。クビアト選手は怪我などはなくクルマから降りることができた。これにより再びセーフティカーが入ることになった。コース上に留まることを選んだロマン・グロージャン選手(8号車 ハース・フェラーリ)を除く全車がピットに入り、タイヤ交換を行なう。

 19周目にレースがリスタートすると、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が首位を独走、チームメイトのボッタス選手が2位を走り、この2台が約1~2秒程度の差でレースを争う形に。3位のレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が7~8秒離されてついて行く形になり、レースは完全にメルセデス2台で争われていった。2台のメルセデスはファステストラップを相互に出す激しい競争を見せ、緊張感のあるトップ争いを展開した。

レースは最後の数ラップで大混乱。パンクしたままハミルトン選手が勝利

2位を走るメルセデスのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)を追い上げるマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・ホンダ) (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 このまま終わるのかと思われたレース終盤、残り3周の段階で2位を行くバルテリ・ボッタス選手の左フロントのタイヤがパンク。ボッタス選手はその結果丸々コースを1周パンクしたまま走ることになり、ポイント圏外へ転落することになった。

 2位に上がったマックス・フェルスタッペン選手は、3位に上がったフェラーリのシャルル・ルクレール選手との差を見てピットに入りタイヤ交換を決断。ファステストラップを取り1ポイントを追加する作戦に出た。その後方では4位を走っていたカルロス・サインツ選手(55号車 マクラーレン・ルノー)も左フロントがパンク、これで後方集団も1台ずつ順位が繰り上がることに。

 ところが、パンクの発生はそれで終わりにはならなかった。最終ラップにトップを走っていたルイス・ハミルトン選手も右フロントのタイヤがパンクし、大きくスローダウン。2位のフェルスタッペン選手は激しく追い上げたものの、残り5秒差となったところでゴール。もしピットストップをしていなければ、フェルスタッペン選手が優勝したところだったが、それは「タラレバ」に過ぎない話で、残り2周の段階でピットに入ってタイヤを替えたのは妥当な判断だろう。

 パンクしたまま走り切るなど薄氷の勝利となったが、これでハミルトン選手は第2戦から3連勝。2位はレッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手で2戦連続で2位、3位は開幕戦以来の表彰台となるフェラーリのシャルル・ルクレール選手。4位はルノーのダニエル・リカルド選手(3号車 ルノー)、5位はランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)。

 ホンダ勢は、後半追い上げたピエール・ガスリー選手がコース上でフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手、ランス・ストロール選手(18号車 レーシングポイント・メルセデス)をオーバテイクし7位。レース序盤の接触の影響でタイヤ交換を2回行なうことになったレッドブル・ホンダのアルボン選手は後半追い上げて8位に入賞した。

ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)は7位、アレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は8位 (c)Getty Images / Red Bull Content Pool
F1 第4戦 イギリスGP 決勝結果
順位カーナンバードライバー車両周回数タイム(1位との差)
144ルイス・ハミルトンメルセデス521時間28分01秒283
233マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ52+5.856s
316シャルル・ルクレールフェラーリ52+18.474s
43ダニエル・リカルドルノー52+19.650s
54ランド・ノリスマクラーレン・ルノー52+22.277s
631エステバン・オコンルノー52+26.937s
710ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ52+31.188s
823アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ52+32.670s
918ランス・ストロールレーシングポイント・BWT・メルセデス52+37.311s
105セバスチャン・ベッテルフェラーリ52+41.857s
1177バルテリ・ボッタスメルセデス52+42.167s
1263ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス52+52.004s
1355カルロス・サインツマクラーレン・ルノー52+53.370s
1499アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・フェラーリ52+54.205s
156ニコラス・ラティフィーウイリアムズ・メルセデス52+54.549s
168ロマン・グロージャンハース・フェラーリ52+55.050s
177キミ・ライコネンアルファロメオ・フェラーリ51+1 lap
NC26ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ11DNF
NC20ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ1DNF
NC27ニコ・ヒュルケンブルグレーシングポイント・BWT・メルセデス0DNF