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ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏、「自己初の3位獲得、アルボン選手におめでとうという言葉を贈りたい」
2020年9月14日 03:34
9月13日、F1 第9戦トスカーナGPがムジェロ・サーキットにおいて開催された。決勝レースは2度も赤旗中断となるなど荒れた展開に。そのなかで、ホンダPU(パワーユニット)を搭載するレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボン選手が自身初となる3位表彰台を獲得した。
その一方で、レッドブル・ホンダのエースであるマックス・フェルスタッペン選手はPUに関連するトラブルによりクラッシュに巻き込まれて1周目にリタイヤ。前戦優勝したアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手も同じクラッシュに巻き込まれてリタイヤするなど、ホンダPU勢にとっては残念な部分もあった。
決勝レース終了後、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見が行なわれた。
👀@alex_albontakes P3 from Daniel Ricciardo
— Formula 1 (@F1)September 13, 2020
A decisive move that resulted in his first ever F1 podium! 🥉#TuscanGP🇮🇹#F1pic.twitter.com/bLKciSXY6n
田辺豊治 ホンダF1 TD
赤旗2回という大きく荒れたレースが、ムジェロサーキットでのF1初開催となりました。最初に、自己初の3位獲得ということで、アルボン選手におめでとうという言葉を贈りたい。一方で、2週連続でPUのトラブル。PUのトラブルからポジションを落としたところで、クラッシュに巻き込まれ、マックス選手がリタイヤ。そのときに、ガスリー選手もリタイヤということで1周目にして2台を失う形になりました。
クビアト選手は12番目からスタートして、クラッシュ、トラブルが多発しているレースの中で最後まで走りきって7位入賞しました。
ここのところ、両チームの中で調子がわるいなと思っていたアルボン選手、クビアト選手がそれぞれきっちりとポイントを獲得。とくにアルボン選手は表彰台。チームのモチベーション、担当エンジニア、当然ドライバーという面で、後半戦に向けてよいレースだったかなと思います。
マックス選手のトラブルに関しては日本で調べ始めていますが、きっちりと徹底的に解析して、後半戦に一切持ち込むことのないように対応して臨みたい。
レッドブル・ホンダのエースであるマックス・フェルスタッペン選手については、2週連続でPUのトラブルが発生しており、田辺TDは後半戦にはそのトラブルを持ち込まないよう解析していくという。
PUトラブルは、予選・決勝同一PUモードとなった前戦のイタリアGPでも発生していたが、予選・決勝同一PUモードによるものではないとのこと。また、予選・決勝同一PUモードはホンダPUに有利に働く、いやメルセデス勢の優位は変わらないといろいろ言われていたものの、イタリアGP、そしてトスカーナGPとも赤旗が出るなど荒れた展開のため、どちらに有利に働いたのか分かりにくい状況になっている。
前戦イタリアGPでホンダPUを搭載するアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手が優勝、今回のトスカーナGPではメルセデズ勢が1-2を決めたが、予選・決勝同一PUモードの実施はどのように評価されているのだろうか? この点を田辺TDに聞いたところ、「正直言って、分かりません」との答えが返ってきた。
「前回のモンツァが超高速コース、今回(ムジェロ)がそれなりにダウンフォースの付いた高速コースとはいえ、高速連続コーナーがあるコース。PUの差、車体の差を足し算してパッケージとしての差が出てきているので。同じサーキットで、『はい、今回から同一モードですね』とやれると多少は分かるような気がするのですが……。もう少しやってみて、何か言えるのかどうかなというのは、これからいろいろと考えていきたいと思います。現在、それが近付いたのか離れたのかというのは、私としては答えは出せない状況にいます」(田辺TD)。
もちろんレース展開を素直に見るとメルセデス勢の強さは明らかで、メルセデス勢との差の変化が分かりにくいのも、メルセデズ勢に食い込む戦いをしていたフェルスタッペン選手にトラブルが出てしまっている点にある。次戦のロシアGPではトラブルが起きることのない戦いを期待したいとろだ。
そして、そのロシアGPが開催されるソチ・オートドロームは、昨年ホンダ勢がメルセデス勢に対して苦戦したサーキットでもある。この点についての対策を田辺TDに聞いたところ、「当然、年間を通してですが、弱いところを解析して強くする、強いところをさらに伸ばすという開発をしています。そのため、放置はしていないという形になります」との回答をいただいた。F1開催は2週間あくので、ホンダ勢がどれだけ巻き返してくるのか楽しみに待ちたい。